2024年 4月 24日 (水)

【企業分析バトル 第2戦】売れるユニクロ、GU 「世界」のファーストリも株は魅力的ではないかも......(早稲田大学)

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   気が付けば、もう6月。春の暖かさを通り超し、夏の暑さを感じる今日この頃です。株式市場も気が付けば、大きく反発。日経平均株価は、新型コロナウイルス感染拡大前のピーク(2万4115円)から直近の底(1万6358円)を基準とすると,もうすでに83%(6月6日終値2万2863円)反発しています。

   実態経済との乖離が指摘されていますが、価格はあくまでも需給バランスで決まる以上、需要の大きさを感じ取れます。

   世界中での財政出動、中央銀行の買いオペが株価に直接与える影響と投資家心理に与える影響の大きさが相当に大きいようです。メインストリートを救うために、ウォールストリートが真っ先に救われる。外聞は良くないですが、すでに証明された合理的で現実的な手段だと思われます。市場の自律調整機能に完全に頼るのは危険ですし、誰も20世紀前半の大恐慌の再発など望んでいません。

  • BtoCのカジュアル衣料で好調!(写真はイメージ)
    BtoCのカジュアル衣料で好調!(写真はイメージ)
  • BtoCのカジュアル衣料で好調!(写真はイメージ)

会社の規模、売上高、経常利益とも右肩上がり

   中央銀行の影響力の大きさがわかったところで、今回は、そのような力の恩恵を強く受けていそうな企業を見ていきたいと思います。どのような企業が恩恵を受けやすいかというと、日銀が主にTOPIX、日経225、JPX日経400のETF(上場投資信託)を購入している以上、東京証券市場に上場している大企業が恩恵を受けやすいです。

   今回はその中でも、日銀の間接保有額が巨大な会社、「ファーストリテイリング」(株式コード9983)を取り上げたいと思います。

   ファーストリテイリングは、世界的に有名なカジュアル衣料品のブランド「ユニクロ」と「GU」を運営する親会社です。株式会社ユニクロは、同社の完全子会社です。東証一部に上場しており、一般消費者をターゲットとしたBtoCの衣料小売りの会社です。

   現在(6月5日)の株価は,6万3940円です。高いですね......(笑)。

   本決算は8月で、2019年8月期決算の売上高は2299億円、営業利益は257億円、包括利益は155億円です。また自己資本利益率(ROE)は18.6%、総資産利益率(ROA)は8.1%となっています。

   直近10年の売上高、経常利益、1株当たりの当期純利益(EPS)、1株当たりの純資産(BPS)は下表のように推移。会社の規模の増加と共に、売上高、経常利益が伸びていることがわかります。

◆ 堅調に伸びてきた利益と企業規模 ◆
表:直近10年の各値推移
表:直近10年の各値推移

   キャッシュフロー(CF)は、営業CFが3005億円、投資CFはマイナス787億円、財務CFマイナス1024億円となっています。営業がうまくいっており、債務も積極的に返済しているようです。

PER「63倍」PBR「6.2倍」では......

   ファーストリテイリングの強みは、高いブランド力と大きい企業規模から来る豊かな経営資源にあります。経営資源があることは非常にいいことです。新規の地域開拓、事業開拓においても既存のノウハウ、資金を活用できます。

   また、同じカジュアル衣料の市場にライバル会社が登場しても、経営資源を集中的に投入することによって、ライバル企業がニッチな層や特異的な強みをもっていない限り、窮地に追い込むことが可能になります。最終手段としてはライバル会社の買収も選択肢に入れることもできるのです。

   また、業種も魅力的です。「衣服」は、いつの時代も必要なものです。10年後に、人々が衣服を着ていないとは想像しにくいです。さらに、ハイブランドでないため、サイクルで訪れる不景気による贅沢品の消費低下にも対処が容易です。

   このように、非常に魅力的なファーストリテイリングですが、今回は買うのを見送りたいと思います。

   理由は、株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)にあります。予想PERは63倍であり、PBRは6.2倍です。PERは、会社の利益と株価の関係から割安性を測る指標です。一般的に「PERが低ければ低いほど、会社が稼ぐ利益に対して株価が割安である」といえます。

   PBRは、企業の株主資本(純資産)から見た株価の割安度です。「PBR=1倍」が評価基準なので、理論上PBRは1倍を下回らないと考えられるため、「PBRが1以下」の企業は割安性が極めて高いといえます。

   そうやって考えると、ファーストリテイリングのPER「63倍」PBR「6.2倍」というのは、割高であるといえます。

   これらから、私の基準では魅力的な価格ではないという結論に至りました。いくら事業が魅力的な企業であっても、その価値に価格が見合っていなかれば、到底買う気にはなれません。よって株式の購入は見送りたいと思います。

「ファーストリテイリング」(9938)
年初来高値(2020年6月10日)   6万6130円
年初来安値(2020年3月13日)   3万9910円
取得株数                 な し

【株式取引ルール】
月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
1年間のトータルで損益を競います。
プロフィール
早稲田大学 AM
基幹理工学部3年。資本主義では資本家が頂点にいることを察し、またインフレリスクを回避するため、消極的に株式投資をはじめる。趣味は読書、料理とバイト代で株を買うこと。資本主義における株式の力を強く信じており、その力に魅了されている。
好きな言葉は「Be Fearful When Others Are Greedy and Be Greedy When Others Are Fearful.」。東京都出身。
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