2021年 9月 21日 (火)

EU内の旅行解禁! ドイツ流ウィズコロナの夏休みの楽しみ方(神木桃子)

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   夏休みを間近に控えた2020年6月15日、ドイツではEU(欧州連合)加盟国とシェンゲン協定(欧州26か国の領域を国境検査なしで越えることを許可する協定)の加盟国、および英国に対する渡航警告が解除されました。一部とはいえ、正式に観光目的の海外旅行が解禁されたかたちです。

   とはいえ、ドイツ国内ではマスク着用義務に1.5メートルの間隔保持、消毒などの感染防止対策がいまだ課せられています。観光地でも、人数制限をかけたり、バリケードを設置したりとコロナ仕様。夏の休暇シーズンを「1年で最も美しい時間」とたとえるドイツ人は、ウィズコロナの夏休みをどのように過ごすのでしょうか。

  • 川沿いの階段は、1.5メートルの間隔が空くように線がひかれている(筆者撮影)
    川沿いの階段は、1.5メートルの間隔が空くように線がひかれている(筆者撮影)
  • 川沿いの階段は、1.5メートルの間隔が空くように線がひかれている(筆者撮影)

分散型夏休みで「密」を回避

   まず、大前提としてドイツの夏休みは「分散型」です。お盆休みのような、多くの人が一斉に休暇をとる日はありません。さらに学校の夏休み期間は、州によって異なります。たとえば、首都であるベルリン州の2020年の夏休みは6月25日から8月7日まで。一方、ミュンヘンを擁するバイエルン州では7月27日から9月7日までと、ひと月もの開きがあるのです。加えて、子どもは授業を受ける義務が法律上あるため、夏休みを過ぎてから家族旅行に行くことは認められません。必然的に、親はこどもの夏休みにあわせて休暇をとることになります。

   実際、どのように休暇をとっているのか、ドイツ大手製薬会社で働く日本人女性のAさん(30代)に話を聞いてみました。

Aさん「休暇をとるときは、同僚と重ならないように調整したり、仕事をカバーしてもらうよう頼んだりして、休みのあいだも仕事がまわるようにしています。緊急要件の代理をする担当を記載すること、締め切りやプロジェクトの山場のときには、長期の休暇をとらないことがマナーです。また、子どもの学校や幼稚園、学童の休みに合わせなくてはいけない人を、優先するよう調整しています。夏ではなく、他の時期に休みをとる人もいますよ」

   このように、夏休みといっても休暇をとる時期はバラバラなのが当たり前。Aさんの話を聞くかぎり、休める環境づくりが整備され、業務に支障はなさそうです。

   分散型夏休みは、企業や役所に勤める保護者が休暇をとりやすくなるだけでなく、過度な渋滞が避けられ、旅行の需要を分散させることができます。ドイツの夏休みのスタイルは、図らずしも「密」になるリスクを減らすことにもつながっているのです。

地元で過ごそうキャンペーンも

   そうは言っても、感染のリスクを気にしないわけにはいきません。今夏の休暇にコロナの影響はないのか、引き続きAさんに話を聞きました。

Aさん「子どもが小さく、ここ数年は遠方へ行っていないので、日本への一時帰国を見合わせたほかは影響ありません。7月と8月にお休みをとり、1週間は滞在型の国内旅行で、残りは家ですごし、家族との時間や趣味を楽しむ予定です。まわりも家族と過ごす、国内か隣国で旅行、旅行にはいかない休暇のスタイルが多いです」

   リサーチ会社YouGovが6月に実施したアンケート調査によると、ドイツでは87%の人が、コロナの影響で休暇の計画が制限を受けるだろうと答えています。具体的には「とても強く」(11%)、「強く」(22%)、「多少」制限をうける(54%)となり、制限をうけないと答えた人はわずか9%でした。

   その他の回答を見ても、休暇の予定は縮小、旅行先は近場を選ぶ傾向であることがわかります。海外旅行は、2018年にドイツ人の休暇旅行先の78%が海外だったというデータ(出典元:Die Welt)と比べると半分以下です。

出典:YouGov「Sommerurlaub 2020: Viele planen eine Nummer kleiner」より筆者作成
出典:YouGov「Sommerurlaub 2020: Viele planen eine Nummer kleiner」より筆者作成

   筆者の住むデュッセルドルフ市では、この流れを受け、自宅で休暇を過ごす市民に向けた広告キャンペーンを展開。「あなたの街で休暇を」をキャッチコピーに、ウェブサイトでは市内で楽しめるイベントやアクティビティを紹介しています。

キャンペーンポスター(引用:Landeshauptstadt Düsseldorf)
キャンペーンポスター(引用:Landeshauptstadt Düsseldorf)

   キャンペーンポスターには、街の象徴であるライン川を背景に、「ビーチへ行きましょう」とスペイン語で大きく書かれています。

   スペインは、ドイツでは人気の休暇先。川岸をビーチに見立て、スペインに「行ったつもり」になろうという主旨なのでしょう。「どんな状況であっても夏休みを楽しむ!」というドイツ人の熱い想いを感じずにはいられません。筆者も休暇シーズンは自宅ですごす予定なので、ライン川のビーチに出かけてみようかと思います。(神木桃子)

神木桃子(こうぎ・ももこ)
神木桃子(こうぎ・ももこ)
ドイツ在住ライター
島根県生まれ、東京・多摩育ち。物事の成り立ちを知りたいと大学では有機化学を専攻。小売業界でのオーガニック製品や地域産品のバイヤーを経て、2014年よりドイツに移住。「もっと心地よくグリーンな暮らしへ」をテーマに、ドイツのマーケット情報やトレンド、ライフスタイルについて執筆活動中。3歳になる娘と日本人の夫との3人暮らし。
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