あるテレビのバラエティ番組で、目上の俳優さんにタメ口(対等な言い方)の若手芸人がいました。見ていて「いつか怒られるに違いない」とドキドキしながらみていました。ところが、(意外にも)目上の俳優さんが気分を害する様子はありません。というか、むしろ、お互いが打ち解けて、いい雰囲気で番組が進行していきました。ちなみに、芸人と俳優の年齢差は30歳以上あったと思います。タメ口を武器にした若手芸人番組上のことなので、気分を害していても我慢していた可能性はありますが、この若手芸人はタメ口を武器に大先輩たちとプライベートでも仲がいいくらいのようで、馴れ馴れしいフランクさは活躍を広げる武器になっているようです。このようなフランクさは芸能界だけの武器でしょうか?そんなことはないと思います。ビジネスの世界でも年上の先輩に対して、(タメ口とまでは言いませんが)フランクな話しぶりをすることが効果的な場合があります。フランクとは「気さくさ」ということ。堅苦しさ、よそよそしさを感じさせず、素直にオープンな姿勢で話すこと。「どのように感じておられますか?」と聞かれたら、堅苦しくて本音を話しづらいところを「ぶっちゃけ、どう考えているの?」と言われたら、どうでしょうか?これがフランクな話し方です。そんな話し方が、目上の誰にでも効果的とは言いません。年が近い先輩で、自分が上だと自負している人だと気分を害してしまう可能性が高いかもしれません。あるいは年齢に関係なく形式的な会話にこだわるタイプの人は「常識がない」と悪い印象を刷り込むことになりまねません。なので、相手を見極めて活用したいですね。思い込んでやってみるでは、どのように見極めればいいのでしょうか――。ポイントとなるのは、自分を立ててほしいタイプなのか、違うのか。会話に耳を傾けます。自慢話が多い人は自分を立ててほしい可能性が大。フランクに話すと嫌われる可能性があるので避けましょう。逆にタイプとわかれば、フランクな会話をしてみてもいい可能性が大。試してみては、どうでしょうか?堅苦しい言い方「ご多忙とは存じますが、何とかお願いできないでしょうか?」フランクな言い方「忙しいでしょうけど、お願いしますよ」といったぐらいの話し方をしてみるのです。相手を間違えなければ、お互いの距離をグッと近くして、仕事がスムーズに進むことになります。こうした言い方は、苦手なのに意識的に活用。企業経営者と仲良くなって大きな仕事をまとめている営業。役員に無理難題を頼んで、社内をまとめている管理職など、フランクな話しぶりを武器にしている人にたくさん会いました。自分は礼儀正しく話したいけど、相手はそうでもない。むしろフランクに話してくれたほうがうれしい......と思い込んで、やるのだそうです。するとフランクな話し方に慣れてくるようです。勇気をもって、試してみてください。(高城幸司)
記事に戻る