2024年 4月 20日 (土)

【企業分析バトル 第4戦】重油が流出したバルク船の運航主・三井商船株は「買い」なのか!?(早稲田大学)

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海運業は市況の影響を大きく受ける

   次に、売上推移と財務状況についてみていこうと思います。下表は、直近10年の売上高、経常利益、一株当たりの純利益(EPS)、一株当たりの純資産額(BPS)を表しています。

   売上高も経常利益も安定していないことがわかります。これは、海運業が市況の影響を非常に大きく受けるからだと考えられます。

安定性に乏しい経常利益

(表1)商船三井の直近10年の売上高、経常利益、EPS(純利益)、BPS(純資産額)
(表1)商船三井の直近10年の売上高、経常利益、EPS(純利益)、BPS(純資産額)

   また、貸借対照表によると、貸方は流動資産3874億円、固定資産1兆7470億円で資産合計2兆1344億円、借方は流動負債4466億円、固定資産1兆362億円で、負債合計は1兆4828億円、純資産合計が6516億円となっています。

   見てのとおり、固定資産と固定負債がともに多額です。固定資産のうちの船舶が7153億円であり、海運業としての船舶保有によるものです。また、固定負債のうち6659億円が長期借入金です。

   このことから、財務面に関しては健全であると太鼓判を押せるような状態ではなく、船舶の製造、保有、運航には多額の資金が求められることが考えられます。

   海運業は、新規参入にはコストが高く、新たな企業が海運業において経済価値を見出すことは難しいでしょう。しかし、船舶の製造コストは過去に比べ低くなっており、海運市場は誰でも新規参入することができる単一自由市場でもあります。

   そのため、製造業、エネルギー事業などの事業の過程に海運を挟む必要がある会社が、海運関連の子会社を作り自社製品、材料の運搬を行い付加価値の最大化に動くことは考えられます。その点で、現在の海運業においては運賃を抑え、新規参入を検討している会社に経済価値を見出させないことが求められてきました。

   そのため、海運会社では保有船舶の運用効率化が喫緊の課題となっていました。それゆえ、海運大手の日本郵船、三井郵船、長崎汽船が合同で設立した会社、Ocean Network Expressは船舶効率運用の課題を解決するための会社と考えられます。

   3社が保有する船舶を用いて複合運用、共同運航船を作ることで未使用船舶の割合を低くしています。設立当初は、3社のコンテナ船部門が統合したため、サービス面の水準が低下しておりました。しかし、最近は徐々に軌道に乗ってきて、利益も伸びており、将来にわたりさらに増加すると予想されます。

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