2020年 10月 22日 (木)

家庭でできる食品ごみを出さない方法 崎田裕子さんに聞く

   まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」問題にいま、高い関心が寄せられている。

   食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律)が2019年10月に施行されたことで、10月は「食品ロス削減月間」、また10月30日は「食品ロス削減の日」と定められた。世界的なSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みと相俟って、このところ各企業や自治体を中心に、その対策には積極的だ。

   そんな食品ロスの、国内外での課題は何か、そして私たちには何ができるのか――。食品ロスの問題に詳しい、ジャーナリストの崎田裕子さんに聞いた。

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食品ロスの問題に詳しい崎田裕子さん。「食品の無駄な廃棄を事前に防ぐとともに、きちんと使い切る、食べきることがポイントです」

供給量に対して約3分の1は食品廃棄になる

   ―― まずは、食品ロスのどんなことが課題か、全体像を教えていただけますか。

崎田裕子さん「現在、世界で生産される食料の約3分の1が、食品廃棄物になっているといわれています。近い将来、温暖化の影響にともなう食料生産量の低下。一方では、世界人口の増加が予測されているだけに、食品廃棄物の量をいかに減らすかは喫緊の課題です。そうした背景から2015年の国連総会では、世界のリーダーたちによって、SDGs(持続可能な開発目標)と呼ばれる、2030年までに達成すべき17の目標が掲げられました。このうちSDGsの目標12-3では、明確に食品ロス・食料廃棄物の減少がうたわれています。それ以来、食品ロスの注目度はより高まったといえるでしょう」

   ―― 日本での状況はいかがでしょうか。

崎田さん「日本も世界の状況と同じく、供給量に対して約3分の1は食品廃棄物になっています。しかしここで問題なのは、日本の食料自給率は37%で、単純計算で63%が海外からの輸入です。それなのに、世界とほとんど変わらない割合の廃棄物を出してよいのか。日本は真剣に考えなくてはなりません。
農林水産省および環境省の2017(平成29)年度の推計によると、年間約2550万トンの食品廃棄物のうち、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品(食品ロス)の量は約612万トンでした。世界には健康に暮らせる栄養を摂れない方が8億人います。およそ9人に1人の割合です。国連の機関(国連世界食糧計画)の食糧援助量は2015年、年間約320万トンで、日本の食品ロスはその2倍近い量に相当します。その事実からも、私たちはもっと食を大切にしなければならないのです」

   ―― そのような世界的な動きの中で、日本では2019年に食品ロス削減推進法がスタートするとともに、事業者(企業)や自治体による食品ロス削減に向けた取り組みが加速していくのですね。

崎田さん「はい。法律に先立って、食品ロス削減に向けた数値目標も定まっています(食品ロスの削減目標は、食品関連事業者には『食品リサイクル法』で、家庭では『第四次循環基本計画』のもと、それぞれ2030年までに2000年比で半減させると設定)。こうした目標や約束事のもと、食品ロスの問題に対して、社会全体で、みんなで取り組むことが明確になりました」

   ―― 具体的にはいま、どんな取り組みが進んでいますか?

崎田さん「食品関連事業者のうち、流通にかかわる製造業、卸売業、小売業の関係者が熱心なのは、加工食品の納品や販売に関する『3分の1ルール』と呼ばれる商慣習の見直しです。これは、メーカーから消費者に届くまで、それぞれの過程の関係者の手元で、賞味期限の3分の1に収める、という仕組みです。
ここでは仮に、賞味期限が3か月の食品を例にして、このルールを説明すると、(1)メーカーが製造してから、卸および小売(スーパーなど)まで1か月以内に納品する。その後、(2)小売は消費者へ1か月以内に販売する。そして、(3)消費者は最低限、購入してから1か月の賞味期限が保証される、というわけです。
消費者がおいしく安全に食べられるようにと設けられたルールでしたが、とくに(1)や(2)の段階で、返品を含めて大量の廃棄につながっていたため、長らく課題であると意識されていました。いまこそ考え直してもよい時期ではないかと、納品までの期限を延長したり(2分の1ルールへの変更)、スーパーなどでも賞味期限が近いことを説明したうえで安く販売したりする動きが出ています」

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