2020年 12月 1日 (火)

コロナ禍で打撃を受けた不動産セクター 足元の状況はどうなっているのか!?(中山登志朗)

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コロナ禍で住宅が売れにくいから「価格が下がる」は誤りか?

   こうなると、住宅価格の先行きも気になるところですが、現在のところ価格相場には新築も中古も大きな変化は認められません。というのも新築は売主であるマンション・デベロッパーやハウスメーカーが供給調整によって需要とのバランスを取っており、特に数多くの物件を市場に投下しているわけではないので、価格を下げなければ売れないという状況にはなっていないのです。

   また、中古住宅の価格も市場に出てくる数が少なくなっていることから新築市場同様に需給バランスがタイトになり、結果的に価格が下落する局面には至っていません。むしろ、物件が少ないことで価格が上昇するエリアもあります。コロナ禍で住宅が売れにくくなっているから価格も下がっているはずだと考えるのは早計です。

   ただし、コロナ禍の影響が今後、長期化することになれば状況は変わってきます。当然のことながら、先の需要を見越して開発用地を購入し、物件の供給計画を立てているマンション・デベロッパーやハウスメーカーも、景気低迷によって購入予定者が激減すれば、企業体力の小さいところが新築物件を順次値下げしてくる可能性はあります。

   中古市場も住宅ローンが維持できなくなるケースが増えてくることが考えられますから、コロナの影響が長期化し、経済の先行きに不安材料が増え始めると、市場価格も弱含みに推移する可能性が出てきます。上場企業の1000社以上が業績の下方修正を余儀なくされている現状を踏まえれば、コロナ次第とはいえ、今後の住宅価格の弱含みについても想定しておくべきでしょう。

   一方、賃貸住宅の賃料では、市場が動く春までの期間を終えていることもあって、大きな動きはなく、いずれの地域でも相場賃料が大きく変動しているといったことはありません。

   ただし、こちらも筆者が所属するLIFULL HOME'Sの「借りて住みたい街ランキング緊急調査」では、賃借人の意向がやや郊外方面に向いているという結果が明らかですから、今後の推移は注意深く見守る必要があるでしょう。(中山登志朗)

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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