2021年 1月 24日 (日)

韓国紙が「自民党が韓国大使館、サムスン電子の差し押さえを計画」と報道 この荒唐無稽な話ホントなの?【日韓経済戦争】

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   徴用工問題で、韓国の裁判所に差し押さえられた被告の日本企業の資産の現金化が迫っている。もし、現金化されたら日本と韓国の対立は致命的な段階に突入する。

   そんななか、韓国の有力紙が、自民党がトンデモない報復手段を考えているとスクープした。在日本韓国大使館と、サムスン電子日本支社への差し押さえを政府に強硬に訴えているというのだ。

   さすがに政府も「法的に無理だ」と反対しているというが、この報道、どこかおかしい。ネットの声も拾うと......。

  • 徴用工問題に手を打てない文在寅大統領
    徴用工問題に手を打てない文在寅大統領
  • 徴用工問題に手を打てない文在寅大統領

自民党外交部会の強硬派が暴走?

   この「トンデモ」(?)スクープを報じたのは、発行部数が約230万部と韓国最大を誇り、歴史も古い朝鮮日報だ。編集方針は保守的で、現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権を激しく批判し続けている。

   2020年10月18日付で「【独自】在日韓国大使館・サムスン電子日本支社の差し押さえも検討」という見出しで報じている。「独自」とトップに掲げたのはスクープであることを表している。

「日本の政権与党、自民党が韓国大法院(最高裁)による徴用賠償判決で差し押さえられた日本企業の資産が現金化された場合の報復措置として、東京の在日韓国大使館、サムスン電子日本支社の差し押さえを日本政府に要求したことが10月18日までに明らかになった。これについて、日本政府は法的検討を行い、困難だとの立場を伝えたが、自民党は依然として強硬対応を求めている」

   菅義偉首相が就任以来、徴用企業の資産が売却された場合、訪韓できないとの立場を盛んに韓国政府に伝えた背景には、自民党のこうした強硬な立場があったというわけだ。朝鮮日報が続ける。

「複数の東京の外交筋は『自民党外交部会の強硬派は、差し押さえられた日本企業の資産が売却された場合、断交を辞さないほど強硬に対応すべきだとし、東京の韓国大使館とサムスン電子支社に対する差し押さえ案を報復措置として要求した』と述べた。韓国政府を代表する大使館と財界を象徴するサムスン電子に対する差し押さえを求めた格好だ」
日本が在日韓国大使館とサムスン電子支社の差し押さえを検討と報じる朝鮮日報(2020年10月19日付オンライン版)
日本が在日韓国大使館とサムスン電子支社の差し押さえを検討と報じる朝鮮日報(2020年10月19日付オンライン版)

   この荒っぽい要求に対し、日本政府は法務省、外務省などが法的検討を経て、日本の憲法や法律に反しており、そうした報復措置は難しいとの立場を自民党側に伝えた。在日韓国大使館は条約に基づく治外法権区域であり、サムスン電子は(戦後に創業されて)徴用問題とは無関係な民間企業だからだ。

「それでも自民党外交部会の一部は収まらなかった。もし資産が売却されたら、東京の韓国文化院(編集部注:韓国文化を体験できる文化施設)に対する制裁、韓国の駐在外交官の人数制限などの措置を取るべきだとする要求を続けている。別の外交筋は『在日韓国大使館とサムスン電子の差し押さえというのはとんでもない発想だが、自民党がそれを求め、日本政府が法的検討まで行ったという事実が重要だ』とした上で、『それほど日本の保守層が資産の売却問題に敏感であることを示している』と指摘した」

この「大事件」を日本メディアはなぜか完全無視

韓国の出方をうかがう菅義偉首相
韓国の出方をうかがう菅義偉首相

   ただ、この朝鮮日報の報道にはいくつか疑問点が浮かぶ。まず、韓国紙が日本の政界の動きを「独自取材」でスクープするということが非常に珍しいということ。ほとんどの場合、「日本の〇〇新聞によると」という引用の形で報道する。これは、日本メディアが米国の政界の動きをスクープすることが稀で、「米CNNによると」「ニューヨークタイムスによると」という引用の形で報道するケースが多いのと同じだ。

   次に不思議なのは、10月20日現在、この「荒唐無稽な」自民党の動きを後追いで報道する日本のメディアが見当たらないことだ。もし自民党の外交部会で「韓国大使館とサムスン電子支社に対する差し押さえ案」が論議されたとすれば、日本の記者たちのアンテナにキャッチされるはずだ。

   3つ目は、韓国でもこの報道に対する反応が鈍く、後追いをしたのは中央日報くらいのものだったこと。10月19日付の「自民党『韓国内の日本資産が現金化されればサムスン日本支社差し押さえ』指示」という記事で、「朝鮮日報が東京発記事で伝えた」とそのまま引用する形で短く報道した。

   むしろ、韓国メディアの関心は、10月18日に訪韓した日韓議連の河村建夫幹事長の動静と、堰を切ったように靖国神社を2度も参拝して「退任後、右翼性向を露わにした安倍前首相」(ハンギョレ新聞)のニュースに集まった。

韓国側、または日本側が流したフェイクニュース?

   こうしたことから、ネット上ではこんな「観測」が流れている。

「サムスンの資産差し押さえって...日本のマスコミさえ全然報じていないのに、いったいどこから湧いてきた話なの? なぜ韓国紙に? ガセだろうね。韓国大使館の差し押さえだって法治国家の日本では無理だもの。どこかの国のように国民感情で法を歪めるなどあり得ません。そんなことより、ビザの発給停止や金融制裁のほうが現実的だし効果があるのでは」
「報復措置を事前に相手に知らせるバカはいない。この記事が事実なら自民党も相当おめでたい。国会議員ともあろう人がこんなこと言う? これじゃあ、かの国と変わらないよ。日本が感情的になってどうするの」
「自民党はホントにそんなぬるいこと言っているのか? いくらサムスンが韓国GDPの2割近くを占めるといっても、日本支社の資産などたかがしれている。1企業がちょっぴり被害をこうむるだけで、対韓国政府にはほとんどインパクトがない。どうせやるなら、国際条約違反の制裁としての金融制裁と、在韓日本企業を徹底的に撤収できるよう、タップリ財政予算を組んでほしい」
「これ、はっきり言って朝鮮日報のフェイクニュースでしょう。かの国の政府は報道機関を使って、世論の怒りを煽り立てるのが常套手段。それだけ行き詰っている証左でもあるが...」
「いやあ、逆に日本政府か自民党がリークしたのでは。こういうわかりやすくて派手なお仕置きをちらつかせて、『そんなことできっこない!』と相手を安心させておいて、後からじわじわと効いてくる、気づいたときには顔面蒼白になる効き目のあるお仕置きを用意していると思うよ」

(福田和郎)

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