2020年 12月 6日 (日)

福井発!「食べきり運動」って何? 食品ロス削減は「家庭」から【オンライン座談会】

   まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」問題――。自治体、事業者(企業)、家庭(消費者)それぞれの立場でできることがあり、連携しながらみんなで課題解決にあたることが、最近のトレンド。

   そのムーブメントの火付け役にあたり、食品ロスの問題に注力してきた自治体が、福井県だ。全国に先駆けてスタートした「おいしいふくい食べきり運動」では、県内の外部団体との協働で成果を上げてきたが、どのような取り組みを行っているのだろうか。

   前回、食品ロスについて解説していただいたジャーナリストの崎田裕子さん(参考リンク:「家庭でできる食品ごみを出さない方法 崎田裕子さんに聞く」(J-CASTニュース 会社ウォッチ 2020年9月30日付)、福井県安全環境部 循環社会推進課 資源循環グループ 企画主査・杉下左和さん、福井県連合婦人会 会長の田村洋子さんとともに、家庭でできる食品ロスの対策を考えていく。

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ジャーナリストの崎田裕子さん。東京都内の会議室と福井県庁をオンラインでつないで座談会を実施した。

忘新年会シーズンに実践したい「宴会五箇条」

   ―― まずは、福井県の「おいしいふくい食べきり運動」について、どんな経緯で始まったのでしょうか?

杉下左和さん(福井県安全環境部循環社会推進課)「おいしいふくい食べきり運動は2006(平成18)年度に始まりました。もともとのねらいは、忘新年会での食べ残しを減らすことでした。宴席ではお酒をつぎに回ったり、歓談したりで、自分の席でなかなか落ち着いて食事ができないものです。それが食べ残しにつながっては、やっぱりもったいない。そこで、食べきり運動を立ち上げ、あわせて『宴会五箇条』を設けました。
適量注文や幹事による食べきりの呼びかけなどに加え、最初の30分と終了前の10分は席を立たず、食事を味わう時間(おいしい食べきりタイム)にしよう、と促しています。また、宴会の場となるホテルやレストランが用意してくださる、地場の食材を使った料理をおいしくいただいてほしい、という願いもありました。そのため、もし残してしまった場合は、自己責任の範囲で、持ち帰って食べきろうと伝えてもらっています。食べきり運動はその後、小売店や家庭にも浸透していきました」

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杉下左和さん(左)と田村洋子さん。田村さんは、全国地域婦人団体連絡協議会常任理事も務める。背景に見えるのは、福井県のマスコットキャラクター「Juratic(ジュラチック)」。

   ―― 食べきり運動を家庭に広めていく際には、県内の13市町に地域組織を抱える福井県連合婦人会(婦人会)との連携が欠かせなかったそうですね。

田村洋子さん(福井県連合婦人会)「私たち婦人会では2013(平成25)年度から、食べきり運動をもっと広めていきたい県の依頼を受けて、業務委託というかたちで、連携しながら啓発活動に取り組んでいます。当初、私たちも知識がなかったので、勉強会を実施。食品ロスに関する統計を見ながら、理解を深めていきました。そのとき、自分たちがふだん、どれくらいの量のごみを出しているか初めて知り、想像以上の食品ロスがあったことに驚きました」

   ―― 具体的な活動は?

田村さん「活動の主体となるのは、婦人会の会員の中から、立候補で参加する推進員たち。各市町で数人から十数人程度、県全体ではあわせて120~130人ほどが携わっています。啓発活動の柱は、幼稚園や保育園への訪問です。年間およそ50園(昨年度の実績は63園)を回り、寸劇、紙芝居、歌やダンスなどを交えた学習会を行ってきました。幼児を対象にすると、保護者である若いお父さん、お母さんにも話が伝わりやすい、というメリットがあります」

   ―― 子どもたちが楽しめる学習会になっているのですね。

田村さん「学習会の時間は40分ほどです。場合によっては、保護者にも見てもらいます。家に帰ってからも話題にしてほしいので、食べきりに関するチラシや、アンケートを添えた『お便り』を手渡すこともあります。紙芝居や寸劇では、食べ残して捨ててしまうと、お米や野菜たちが悲しむよ。野菜嫌いの子も多いので、どんな野菜も食べられるようになってほしいな――。そんなメッセージを込めています。ちなみに、私たちも毎回同じ内容ではつまらないので、新しいお話や見せ方を日々考えています。だから、大変なんです(笑)。でも、自分たちが楽しんでいて、保育園や幼稚園に行くのをすごく楽しみにしています」

   ―― 崎田さんも取材の一環で、学習会を視察したそうですね。

崎田裕子さん「はい。皆さん、とっても楽しそうでした。楽しいなかでも、伝えるべき内容はきちんと押さえ、『今日のことを、おうちに帰ったらお話してね』と呼びかけていたのは印象的でした。子どもって、その日あったことを絶対しゃべりますから。そうすることで、家庭でも食べきりの習慣を広める好循環になったのだと思います。
また、訪問先の先生に話を聞くと、学習会のあと、子どもたちがすごく食べ物に関心を持った、と。それを機に、園内の庭で野菜を育て始め、収穫した野菜を給食で出したら、子どもたちは喜んで食べたそうです。そうやって、食育にもつながっていく。皆さんの学習会が、いろんな刺激を生んでいるなと感じました」

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