米国大統領選をキッカケに考えた 株価の推移を見て気づいた長期運用のよさ

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   2020年11月3日は、米国大統領選挙の投開票日です。経済大国である米国の動向は世界経済や金融市場に大きな影響を及ぼすことから、今後4年間のリーダーを決める大統領選挙には、おのずと注目が集まります。

   日ごろはあまり投資に関心のない人、相場に無頓着な人も、このときばかりは「トランプ氏とバイデン氏のどちらが勝ったほうがいいのか?」とか「保有している資産は、選挙前に一たん売却したほうがいいのか?」と、気になるようです。

コロコロ変わる市場参加者の見方

   共和党のドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン前副大統領の経済政策の大きな違いは、トランプ大統領は大型減税で経済を活性化させるのに対し、バイデン氏は増税による社会保障の充実で経済を底上げさせることです。

   また、バイデン氏は環境保護を重視しており、クリーンエネルギーとインフラへの投資を通じて経済成長を促進させるとしています。

   当初、市場参加者のあいだでは、「増税を掲げるバイデン氏の勝利は株安」といった見方が共通認識でしたが、米国の株式市場が堅調に推移する今では、「法人税の増税でたとえ企業の利益が減少したとしても、大型の景気対策が出れば、利益の減少分を補えるので、バイデン氏の勝利は株高」といった見方も出ているようです。

   「プロ」の投資家は、日々の価格変動に合わせて見方を変えながら売買を繰り返し、利ザヤを稼ぐことができるかもしれません。しかし、個人投資家が「プロ」と同じ投資スタンスでいいはずはありません。毎日のニュースや価格変動に惑わされることなく、長期の視点で資産形成を行なうべきです。

   大統領選挙の結果がどうなろうと、次期大統領は米国の景気を悪化させたり、株価が下落したりする事態は避けたいはずです。なぜなら、米国人は年金などを通じて株式を保有している人が多いからです。

   もちろん、新型コロナウイルス感染拡大第2波、第3波の懸念はありますが、何も対策が打たれずに放置され、その結果、株式が下落するとは考えにくいと思います。

米国の株価は長い目で見ると右肩上がり!

   国際通貨基金(IMF)の2020年10月の経済見通しによると、米国経済は新型コロナウイルスの影響で、今年の成長率はマイナス4.3%とするものの、2021年はプラス3.1%としており、景気回復が予想されています。

   下グラフは、米国の株価と1株当たり利益の推移を示しています。長期の株価は概ね企業の利益と同じように推移していることがわかります。多くの人がより便利で、より豊かな生活を希望し、企業はそれらのニーズに応えた製品やサービスを提供してきた結果であることを、このグラフから見てとれるのではないでしょうか。

米国の株価は長い目で見ると右肩上がり!
米国の株価は長い目で見ると右肩上がり!

   新型コロナウイルス感染拡大の影響で、郵便投票が大幅に増加するとみられており、選挙結果の判明に遅れが出た場合、公約に掲げた政策の実行が遅れるなどの懸念から、短期的には市場が大きく変動する可能性があります。

   しかし、あえて短期の価格変動には目を瞑り、将来の右肩上がりを期待して市場に居続けるという考え方は「アリ」ではないでしょうか。(日興アセットマネジメント マーケティング部 山口亮二)

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