世界中で愛されたサッカー界のスーパースター、元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ氏が死去し、悲しみが広がっています。母国アルゼンチンでは政府が3日間の服喪を決定。世界中のメディアが「神の子」の華々しい業績や波乱に満ちた生涯をトップニュースで報じ、SNS上ではペレやメッシ、クリスチャン・ロナウドといったスター選手たちが次々と哀悼の意を示しています。悲しみの中にも「我がヒーロー」への愛情と感謝に満ちたメッセージの数々はサッカーファンならずとも思わず胸が熱くなりますが、サッカー界の歴史を変えた?あの「神の手」の伝説も、多くのメディアが愛おしげに報じています。世界中を震撼させた「神の手」!英語では何と言うの?それにしても、マラドーナ氏がここまで愛されていたとは驚きです。心不全のためブエノスアイレス郊外の自宅で死去したニュースは、瞬く間に「breakingnews」(速報)として地球を駆け巡りました。わずか60年の短い生涯でしたが、世界中の人々に与えたインパクトは、はかり知れません。FootballlegendDiegoMaradona,oneofthegreatestplayersofalltime,hasdiedattheageof60(最も偉大な選手の一人、サッカーレジェンドのディエゴ・マラドーナ氏が60歳で亡くなった:英BBC放送)HewasrankedwithPeleamongthebest,andhisabilitytosurpriseandstartlewonoverfansandevencriticswinover引きつける、味方にする(マラドーナ氏はペレ氏に比肩する最高の選手だが、彼の意外性や仰天させる能力は、ファンだけではなく批評家たちも味方にした:米紙ニューヨークタイムズ)ニューヨークタイムズ紙が伝えたように、マラドーナ氏はサッカーの実力だけではなく、人間味あふれる個性や想像を超えるようなプレーで、サッカー界を超えて愛されてきました。マラドーナ氏の訃報に際し、数多くの「伝説」の中でメディアが取り上げているのは、1986年ワールドカップメキシコ大会でのイングランド戦です。準々決勝でサッカーの母国イングランドと対戦したマラドーナ氏は、ヘディングと判定されながら、じつは手でボールを触れていたとされる、いわゆる「神の手」ゴールで先制。約60メートルのドリブルで相手選手5人を抜き去って、2点目を挙げたプレーも「伝説」を彩りました。それではこの「神の手」、英語ではどう表すのでしょうか?MaradonawascaptainwhenArgentinawonthe1986WorldCup,scoringthefamous'HandofGod'goalagainstEngland(1986年のW杯でアルゼンチンのキャプテンだったマラドーナ氏は、有名な「神の手」ゴールでイングランドチームを破った:英BBC放送)なるほど、「HandofGod」(神の手)なのですね。お年寄りから小さな子どもまで、世界中の人々が「神の手伝説」は知っているはず。「HandofGod」と英語で言うだけで、「ああ、マラドーナの話題だな」と通じるでしょうから、ぜひ、思い出に浸りながら使ってみてください。胸を打つ「存在してくれただけでありがとう!」の言葉報道によると、晩年のマラドーナ氏は薬物やアルコールとの戦いが続くなど往年の輝きを失っていたようです。ある海外メディアは「マラドーナ氏の人生はお得意のドリブルのようにジグザグだった」と評していました。それでも、「問題ばかりだけど、愛さずにはいられない」といった不思議な魅力にあふれていたらしく、著名人がこぞってマラドーナ氏への思いを述べています。アルゼンチン代表の監督と選手という関係だったリオネル・メッシ氏は、インスタで次のようなメッセージを公表しました。Heleavesusbutdoesnotleave,becauseDiegoiseternal.彼は亡くなったが去ってはいない。なぜならディエゴは永遠だからだ。Ikeepallthebeautifulmomentslivedwithhim私は、彼と過ごしたすべての美しい瞬間と共にいる。う~ん、世界を代表するトップスターが共に過ごした「thebeautifulmoments」(美しい瞬間)ってどれだけ素晴らしかったのでしょうか。二人だけに通じる世界感があったのでしょうね。繊細なメッシらしい、美しいメッセージでした。サッカーの「王様」と呼ばれた元ブラジル代表のペレ氏は、自身のツイッターで「Oneday,Ihopewecanplayballtogetherinthesky」(いつか、天国で一緒にサッカーをしよう)と、思いをつづっています。天国ではなく、二人が地上でサッカーをする姿をもう一度見たかった、というファンも多いのではないでしょうか?ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナルド氏は、自身のツイッターにマラドーナ氏とのツーショット写真を掲載。マラドーナ氏のことを「Anunparalleledmagician」(比類無きマジシャン)だったと評し、「Youwillneverbeforgotten」(決して忘れ去られることはないだろう)と、永遠の別れを悲しんでいました。数多くのメッセージのなかで、私が一番「胸キュン」となったのは、マラドーナ氏の母国アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領のコメントでした。全国民が3日間の喪に服し、大統領官邸で通夜が営われるなど「国を挙げて」祖国の英雄を弔うことを決定する一方で、次のような声明を発表しました。Youtookustothetopoftheworld.(あなたは私たちを世界の頂上に連れて行ってくれた)Youmadeusimmenselyhappy(あなたは私たちを、とてつもなく幸せにしてくれた)Thankyouforhavingexisted,Diego.(ディエゴ、存在してくれてありがとう)「存在してくれてありがとう」とは、なんとステキなことばでしょうか。紆余曲折あったにせよ、マラドーナ氏の存在がどれだけアルゼンチン国民の誇りだったのか。良いも悪いも、現役時代の輝くようなプレーも引退後の苦しむ姿も、すべてを包み込んで同時代に生きてくれたことに感謝する......。そんな思いがひしひしと伝わってきます。「Thankyoufor」......マラドーナそれでは、「今週のニュースな英語」は、フェルナンデス大統領の感動コメントから、「Thankyoufor」(~に感謝する)を使った表現を取り上げます。「Thankyou」(ありがとう)の後に「for」を加えて、より具体的にありがとうの気持ちを伝える表現です。会話だけではなくメールなどの文章でも幅広く使えるので、「定型」を覚えておくと便利です。Thankyouforyourcooperation(ご協力ありがとうございます)Thankyouforyouradvice.(アドバイスをありがとうございます)Thankyouforyourreply.(お返事をありがとうございます)Thankyouforhelpingmemoveout(引っ越しを手伝ってくれてありがとう)Thankyouforcallingmeback(折り返しお電話をいただきありがとうございます)マラドーナ氏の人生はドリブルのようにジグザグだったかもしれませんが、ストレートな人生では考えられないほどの影響を多くの人に与えたようです。Thankyouforhavingexisted(存在してくれてありがとうございました)。(井津川倫子)
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