2021年 3月 3日 (水)

GoToトラベル「高齢者は自粛を」菅&小池トップ会談に「拍子抜け」「やった振りパフォーマンスだ」と怒りの声(1)

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   「大山鳴動して鼠一匹」とはこのことか――。2020年12月1日夕方。テレビのニュース速報に、

「菅義偉総理と小池百合子東京都知事が緊急会談へ。GoToトラベルの東京都除外が話題か?」

というテロップが流れ、メディアが沸き立った。犬猿の仲だった2人のトップ会談。第3波の感染拡大の対策として、どんな協議が行われたのか。しかし、ふたを開けると、

「65歳以上の高齢者と基礎疾患を持つ人の自粛を要請する」

という抜本的対策とはほど遠い内容だった。なぜこんな茶番劇になってしまったのか。ネット上では「2人のやったふりパフォーマンス」という怒りの声が殺到している。

  • 東京都に頭を下げさせた? 菅義偉首相
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国と都、責任の押し付け合いの落としどころ

   主要メディアの報道を総合すると、「GoToトラベル」事業を巡り、東京都の小池百合子知事は12月1日夜、首相官邸で菅義偉首相と会談した。2人は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、重症化リスクの高い65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人を対象に、都内を発着する旅行の利用自粛を求めることで一致した。自粛期間は12月17日まで。

   会談後、都庁で取材に応じた小池都知事は、

「重症者をいかに抑えるかという観点から、国と都で合意した」

と語った。また、菅首相も官邸で記者団に、

「国と都がしっかりと連携し、感染拡大をなんとしても阻止することで一致した」

と述べるなど、これまでの確執を捨て去り、両者は感染拡大防止のために協力し合うことで合意したように見える。

   しかし、この言葉どおりに受け取るメディアはほとんどいない。産経新聞(12月2日付)は「GoToトラベル 東京65歳以上は自粛 国と都、責任の押し付け合い」という厳しい見出しで、2人の思惑をこう伝える。

「(国と都の合意は)感染拡大を防ぐ観点からは疑問符もつく。政府と都が互いに責任を押しつけ合う構図も垣間見える。仮に人口の1割強を擁する東京都をGoTo事業から除外した場合、すでに利用制限を課した札幌、大阪両市をしのぐ規模で事業の経済効果が損なわれ、キャンセルなど現場の大混乱も避けられない。決断を避けたい思いは政府も都も共通している。感染拡大に伴い、事業への風当たりが強まるなか、無策でもいられない。そこで限定的な自粛要請が落としどころとなった」

というわけだ。

   しかし、「両者の思惑はすれ違う」と、産経新聞はこう続ける。 小池都知事は会談後、記者団に、

「私どもは『停止』ということで要請した。いろいろ考え、その中で『自粛』という結論に至っている」

と明かしたうえで、

「(GoToトラベルは)国の事業だ」

と何度も繰り返したのだった。

   小池都知事としては、今回、より踏み込んだ措置を求めたと強調することで、「対策が不十分だ」という批判の矛先をかわしたい思いも透ける。

   一方の菅首相。会談後、記者団の取材に応じたが、素っ気なさが際立ったという。自粛要請については、

「東京都の判断として理解できる」

と冷たく言い放ち、言外に都の判断だと示唆。札幌、大阪両市に制限を課した時のように、協力を呼び掛けることもしなかった。官邸幹部に至っては、

「高齢者や基礎疾患のある人はもともと気を付けているのではないか」

と語るありさまで、実効性は見通せない――。産経新聞は、そう結んでいる。

   要するに双方とも責任に痛手を負わない形での「感染拡大に努力した」とアピールする政治決着だったというわけだ。

医療専門家「あまりにひどい内容にびっくり」

国の責任をキープした? 小池百合子・東京都知事
国の責任をキープした? 小池百合子・東京都知事

   それでは、そもそも今回の会談は、なぜ開かれたのか。東京新聞(12月2日付)「都知事・首相『高齢者ら自粛』決着 トップ会談拍子抜け」が、内幕をこう書いている。

「11月以降、都内では重症者も増え、医療機関のひっ迫感を増していた。『札幌市や大阪市のように、東京もGoTo除外すべきだ』。都への風当たりが日増しに強くなった。『知事も長引かせられないことは分かっていた』と都幹部が明かす。(一方の菅首相サイドは)『会談予定は12月1日になって急きょ入った』。官邸筋が打ち明けた」

   じつは菅首相は、ぎりぎりまで東京発着のGoToトラベルを制限する案をためらっていた節があるという。そんな首相の意向を忖度するように官邸内では、「感染者が増えるカーブが、ちょっとなだらかになった印象だ」(首相周辺)などと楽観論が展開される場面が目立った。

   だが、ある専門家の厳しい見解が流れを変えた。ちょうど、小池都知事とのトップ会談が行われることになった12月1日、日本医師会の中川敏男会長が菅首相と「マスク会食」をして、こうクギを刺したという。

「医療現場や医療提供体制がひっ迫しています。早め早めの対応で感染はコントロールが可能です!」

   こうしてトップ会談が行われたわけだが、その内容について、東京新聞は専門家の「呆れた」というコメントで、こう結んでいる。

「『あまりにひどい内容でびっくりした』と話すのは、医師で医療ガバナンス研究所の上昌弘(かみ・まさひろ)理事長。高齢者や基礎疾患のある人たちは『元々感染に注意していた人たち。移動制限を要請しても、医学的に合理性がない』と指摘する。無症状の感染者の移動が感染拡大につながっているとの見方を示したうえで、『そうした人々の移動をどう止めるかが喫緊の課題だ』と警鐘を鳴らした」

   今回のトップ会談の合意について、医療専門家の見方は厳しいものばかりだ。翌12月2日のテレビ各局の情報番組では専門家たちの意見を次々と紹介した。

   二木芳人・昭和大学医学部客員教授(フジテレビ系『とくダネ!』)

「(政府は第3波に)GoToは関係ないと言っておきながら、これはちぐはぐですよね。あちこちに移動して広げているのは、むしろ若い人たちで、高齢者や基礎疾患のある人はすでに自粛しているのではないでしょうか。(65歳以上の自粛としたことで)むしろ若い人たちに自分たちは旅行して大丈夫という誤ったメッセージを伝える心配があります」

   北村義浩・日本医科大学特任教授(テレビ朝日系『モーニングショー』)

「感染症の拡大防止には人の動きを止めることは劇薬と言っていいほど効果があります。ただ、もう少し広範囲でしっかりやった方がよい。実効性がどれくらいあるかはクエスチョンマークがつきます」

   日本感染症学会指導医の水野泰孝医師(日本テレビ系『スッキリ』)

「短期間でも(旅行を)しっかり止めるのが理想です。旅行だけでなく、もっと強力な要請をしないと、感染が広がっては意味ありません。なぜ停止ではなく自粛なのか。それでどこまで効果があるのか。よくわかりません」

(福田和郎)

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