2021年 9月 21日 (火)

「勝手なことしやがって」二階派幹部が激怒! 菅首相が「GoToトラベル」停止に踏み切ったわけ(1)

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「勝手なことしやがって!」

   観光族のドン、二階俊博派の議員が激怒した。また、所管の国土交通省幹部もテレビにニュース速報が流れる10分前まで「寝耳に水」だった。

   菅義偉首相は2020年12月14日、突然、年末年始の「GoToトラベル」キャンペーンの全国一斉停止を発表したが、それほど電撃的な決断だったようだ。

   「GoToトラベル」に執着していた菅義偉首相はなぜ急に変心したのか。主要メディアの報道から探ると――。

  • 「GoTo停止」の理由を国民に説明しない菅義偉首相
    「GoTo停止」の理由を国民に説明しない菅義偉首相
  • 「GoTo停止」の理由を国民に説明しない菅義偉首相

国交省幹部も「発表の10分前まで寝耳に水」

   今回の突然の「GoToトラベルの全国一斉停止」の発表は、所管官庁の国土交通省幹部も「寝耳に水」だったようだ。

   12月15日放送のテレビ朝日系情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」の中で、テレビ朝日経済部の延増惇(えんそう・じゅん)記者は、こう伝えた。

「国土交通省、観光庁を取材すると、急転直下ぶり、混乱ぶりを実感します。全面除外について現場に知らされたのは、テレビで速報が流される10分前だったそうです」

   取材する中で、タイミングを疑問視する声も上がっているという。

「霞が関では、遅きに失した感があります。国交省の幹部は『結果論だけど、11月中に一時停止して、年末年始に再会すべきだった』と話していました」

と報告したのだった。

   土壇場の決断とあって、自民党幹部の中にも根回しが行き届かず、「寝耳に水」だった者が多かったようだ。GoToトラベルを主導してきたのは、全国旅行業協会の会長を務める二階俊博幹事長率いる二階派の議員たちだ。二階派に激震が走り、菅首相に対する怒りが渦巻いていると、毎日新聞(12月15日付)「与党、衆院選影響懸念」がこう伝える。

「毎日新聞世論調査で内閣支持率が前回(11月7日)の57%から40%へと17ポイント急落した。菅義偉内閣を『支持しない』が『支持する』を初めて逆転。自民党のベテランは『ステイホームと言いながら旅行しろと言っている。むちゃくちゃだ』と言い放った。政府が事業停止を表明したのは、こうした声に押された形だ」
「GoTo停止」に激怒した(?)観光族のドン二階俊博幹事長
「GoTo停止」に激怒した(?)観光族のドン二階俊博幹事長

   しかし、二階派には知らされていなかったようだ。

「自民党の二階俊博幹事長は全国旅行業協会の会長も務めるGoTo推進論者だ。自民ベテランは『首相は二階氏の意向に背いて判断するのは難しいだろう』とも指摘する。二階派幹部は突然の一時停止表明に『どういう趣旨なのか。勝手なことをしやがって』と不満を漏らした。全国での事業停止も年末年始に限ったのは、苦境にあえぐ観光産業の下支えは不可欠との意見に配慮したとみられる」

   つまり年末年始だけという中途半端な一時停止になったのは、二階俊博幹事長に配慮したというわけだ。その二階俊博幹事長は12月15日午前の記者会見で、

「これ以上の拡大防止と医療体制を守るには日本全体が引き締めて対応することが必要ではないか。成果を見守りたい」

と述べ、いちおう菅首相の決断に理解を示した形だ。

   主要紙の社説でも、こうした菅政権の行きあたりばったりぶりに批判が相次いだ。産経新聞主張(社説)は12月15日付、「GoTo全国停止 28日まで待つ必要あるか」で、こう糾弾した。

「遅きに失し、中途半端である。これで感染拡大と戦えるのか、不安である。菅首相は『皆さんが落ち着いて年明けを迎えることができるように、最大限の対策を講じる』と述べた。それならばなぜ全国停止を12月28日まで待つのか。(『勝負の3週間』と位置付けた時期に)大きな施策を講じるべきだったが、『勝負』の掛け声は国民に響かなかった」
「トラベル事業は、不要不急の外出自粛要請と明らかに正反対を向き、政府の姿勢を分かりにくくしている。だから批判の対象になったことに理解が足りない。感染が収束傾向に転じるのを待って堂々と再開すればいい」

「GoToは感染に関係ない」観光庁の根拠の裏事情

   毎日新聞社説(12月15日付)「GoToの一時停止 後手に回った責任は重い」は、「自らの小出しの対策が感染拡大を招いたのに、菅政権は国民に責任を転嫁している」と批判した。

「経済を優先し、感染対策を小出しにすることで事態を悪化させてきた。追い込まれた末の、あまりに遅い対応だ。年末年始に向けて状況を好転させたいのであれば、すぐにでも停止するのが筋だろう。菅首相はネット動画配信で『(専門家から)移動で感染しないという提言を頂いている』と述べた。今回の判断と矛盾する発言だ。突然方針を変えた理由について、納得のいく説明もない」
「西村康稔経済再生担当相は、国民に『危機感を共有して欲しい』と呼びかけた。しかし、感染拡大下でGoToのようなアクセルを自ら踏んでおきながら、感染拡大の責任を国民に転嫁するような物言いだ。専門家の提言を正面から受け止めず、後手に回って感染を拡大させた政府の責任は重い」

   ところで、菅首相が「GoToトラベル」に執着してきたのは、「GoToトラベルが感染を拡大させたというエビデンス(根拠)は存在しない」ということを理由に挙げている。なかでもよく引用されるのが、GoToによる感染が、200人台(12月13日現在で累計276人)にとどまっているとする観光庁の「調査結果」だ。利用者が延べ約5200万人に達するのに対し、あまりに少ないというのが「根拠」だった(編集部注:統計上の感染率は0.00053%)。

   毎日新聞(12月15日付)「コロナへの影響割れる見方 観光庁、感染276人止まり」が、いったいどういう調査からこの数字が出てくるのか、観光庁の担当者を直撃している。

「『276人』という数字はどう集計したのか。観光庁によると、GoToによる感染者は保健所を通じて把握される。保健所は陽性者が出ると行動履歴を調べ、もしその人が旅行に行っていれば宿泊施設や旅行業者に感染したことを連絡する。その際、業者側が該当の人物を調べ、GoTo利用者だと分かれば、GoToの事務局や観光庁に報告するという流れだ」

   つまり、業者の自主的な調査と自己申告に頼っているわけだ。そこで毎日新聞記者は、

(1)もし業者が、GoTo利用が減ることを恐れて報告を隠していればどうなるのか。
(2)また、陽性者の行動履歴は本当にわかるのか。
(3)さらに利用者が旅行先の地元住民に感染させるケースは把握できるのか。

などの当然の疑問を観光庁担当者にぶつけた。

   観光庁担当者は、(1)の業者が隠す心配については、外部通報窓口も用意して情報漏れの対策をしている(2)については、陽性者の行動履歴が明らかになることが前提で、観光庁と保健所は情報共有に務めており、これまで宿泊施設従業員の感染は確認されていないと答えた。

   ただ、(3)の旅先で感染を拡大させるケースは、観光庁担当者は、

「濃厚接触者などの追跡は不可能だ。本当に一つも漏らしていないかと言われるとつらいが、できる限りの部分は把握しているはずだ」

と述べて、GoToトラベルが感染拡大につながっていないと強調するのだった。

(福田和郎)

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