2024年 4月 19日 (金)

マジやる気? 小池都知事の「人々は希望を求めて東京五輪開催を望む」発言が総スカン(2)

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「都民のみなさんは現在を見ていますが、私たちは将来を考えています」

   小池百合子都知事がAFP通信のインタビューに応じ、こんな「上から目線」発言で「東京五輪を断固開催する」と発言したことがネット上で総スカンをくっている。

   それしても、これだけ新型コロナウイルスが猛威を振るっているのに、政府や東京都は「マジ東京五輪をやる気?」という疑問の声が起こっている。

  • 東京五輪主会場となる新国立競技場
    東京五輪主会場となる新国立競技場
  • 東京五輪主会場となる新国立競技場

東京五輪が開けないと菅政権がつぶされる恐怖心

   それにしても、この深刻なコロナ禍にあって、何が何でも東京五輪を開こうとするのはなぜだろうか?

   毎日新聞の名物コラム「時の在りか」(2020年12月5日付)の「GoToコロナ五輪の怪」という見出しの記事で、伊藤智永・編集委員兼論説委員がトンデモない理由を紹介している。

「なぜ、五輪は中止できないか。経済的損失が、コロナでも決行する時よりはるかに大きいという試算がある。納得がいかない旧大蔵省OBが、後輩の武藤敏郎(東京五輪)大会組織委員会事務総長(元財務事務次官)に問いただしたら、諭(さと)されたそうだ。『東京五輪ができずに、半年後の2022年2月、北京冬季五輪が成功裏に行われたら、国内の反中世論が激高して政権が持ちません。中国は全入国者の健康状態を徹底監視する恐るべきシステムを用意し、国家の威信にかけてやりますよ』......と」

   東京五輪が開けないと、反中国の保守世論に菅政権がつぶされてしまうという恐怖心があるようだ。

   しかし、大会組織委員会周辺からも「もう中止にしたら」という声が上がっている。組織委の顧問を務める茶道裏千家の千玄室(せんげんしつ)前家元だ。千玄室さんは日本馬術連盟会長を務めており、競技団体の長という立場でもある。京都新聞(2020年5月31日)「東京五輪『中止検討せざるを得ない』組織委顧問の千玄室氏 現状での開催に危機感」という見出しのインタビュー記事で、こう語っているのだ。

「五輪はスポンサーがあってこそ実現でき、膨大な費用がかかる。日本を含む世界各国がコロナ対策で予算を費やし、リーマンショック以上の経済危機の時に五輪をやるのかという批判が出てくると思う。反対の声が大きくなれば、大会の中止を検討せざるを得ない」
「馬術は唯一動物を扱う競技で、我々は費用面など万全の態勢を整えてきた。選手は馬と一緒に欧州にいて、出国できない。馬場で馬に乗ることも制限されている。他のスポーツでも、世界各国で出場が決まっている選手が来年まで気力を維持できるか」

   そして、最後にこう語るのだった。

「前回の東京大会(1964年)を含め、かつてはアマチュアだけが出場できる大会だった。今は商業ベースになっている。こんなスポーツの祭典で本当にいいのか。もっと素朴に、選手は国のためだけでなく、自分のために記録を出したい。それだけ。一つの五輪哲学を、ここで日本が立てるべきです。ちょうどいいチャンス。みなさん考えてほしい」

GoToと同様、引っ張るだけ引っ張って突然ギブアップか

東京五輪のイメージ(東京五輪組織委公式サイトより)
東京五輪のイメージ(東京五輪組織委公式サイトより)

   ネットでも「中止にすべきだ」という声が圧倒的に多かった。ヤフーニュース「みんなの意見」のアンケート調査で、「東京五輪・パラ、2021年夏に開催すると思う?」と聞くと、2020年12月16日15時現在、投票数は3万9118票で、「中止になると思う」(78%)、「開催すると思う」(11.9%)、「再び延期になると思う」(7.4%)、「分からない」(2.7%)という結果だった。8割近くが「中止になる」と予想した。

   国際ジャーナリストの高橋浩祐氏は、こう投稿した。

「世界の新型コロナ感染者数と死者数は右肩上がりで、どの国も五輪どころではないのが実情だ。国内をみても、東京五輪の延期に伴い、大会経費は総額1兆6440億円となった。これだけの費用を五輪開催に投じるのであれば、ひっ迫する医療現場で必死に頑張っている人々やコロナ禍で仕事を失った生活困窮者への支援に充てるべきではないか。また、日本ではあまり報じられていないが、日本のコロナ対策の安全を不安視する報道が海外では少なくない。人口100万人あたりの検査件数がいまだ世界220か国中151位にとどまる。五輪を開催するのであれば、もっと検査体制を完備し、市中感染をきちんと追跡し、収束させる努力をまずすべきではないか」

   本当に開催できるのか、疑問の声があふれていた。

「開催できるというなら、その根拠を示したらいい。トランプ大統領の選挙疑惑と同じ。世界のコロナ感染がいつおさまるのか。アメリカはコロナで亡くなった人30万人を超え、バイデン次期大統領はコロナ対策最優先で、オリンピックなど眼中にないのでは。オリンピックは世界から選手と観客がきて初めて成立する。足元の東京でも先ほど新規感染者が678人(12月16日15時発表)になりました。やがては1000人超えまでいくでしょう。政治家なら『コロナに打ち勝つ』みたいな精神論を言わず、現実をしっかりみてほしい」

   また、小池都知事の「上から目線」の発言にカチンときた人が多かった。

「『国民や都民のみなさんは現在を見ています。私たちは将来に備えてのことを考えています』って、ずいぶんな上から目線。小池知事、国民は、現在も将来も見据えて、開催はやめたほうがいい、と申し上げているのです。多くの人が望んでいないオリンピックを、なぜ開催するのかという意義を問いたい。まずは、国民の懸念が払拭できるコロナ収束の見通しを説明すべきではないでしょうか?平和の象徴のオリンピックでパンデミックを引き起こしたら、それこそ汚名ですぞ」
「都民です。東京都は都庁職員約1000人を五輪組織委事務局に出向させることを決めています。知事のいう開催に備えての措置です。コロナ流行で医療機関ひっ迫のなか、都庁職員は1000人単位で出向をさせる余裕があるのですか。納得できません」
「鼻っ柱の強い小池さんをギャフンと言わせるには、IOC(国際オリンピック委員会)が中止を決断することだが、それには、『WHO(世界保健機関)による中止勧告』『米国の不参加表明』『各競技団体による不参加表明』などが必要だろう。しかし、WHOの専門医がいくら子供向けとはいえ、『サンタクロースはコロナの免疫を持っています』などという寝ぼけたことをいっている状態だからな」

   東京五輪は「GoToトラベル」と同じ結果になるのでは、という声も多かった。

「東京五輪はGoToと同じで、引っ張るだけ引っ張って、突然ギブアップという最悪な流れになるでしょうね」
「GOTOと同じ結末になるだろう。コロナの見通しも立っていないのに、現時点で開催を強調すること自体ナンセンス。五輪ともなると、世界中から人が移動してくるからGoToどころではない。感染拡大を懸念して年末のGoTo中止を決めたばかりなのに、五輪開催を強調するのは大義としても成り立たない。それに欧州やアフリカの選手の予選はいつやるの? ウイルスは忖度しないよ。これまでのやり方で打ち勝てる相手ではないことが、まだわからないのか」

誰が「中止」を言い出すか、チキンゲームだ

   一方、小池都知事も本心は「無理だ」と思っているのでは、と理解を示す意見も多かった。

「五輪は巨額な経費がかかっているから、開催都市(東京都)も開催国(日本)もIOCも、自分から先に中止とは言わない。手順としては、裏で話し合って中止が決まり、補償の配分を決めてハード的な中止・解体の流れと、選手・関係者への対応を決めてから、中止を公表すると思う。それまでは、開催都市の責任者として内心無理だと思っていても、決して中止とは言えない状況だと思う」
「どういう契約になっているかわかりませんが、中止になった場合は違約金や放映権料などIOCの多額の損失を東京都がかなり補償しなければならないでしょう。IOCから『止める』と言わせないと経費負担がのしかかるから、小池知事は最後までやると言い続けると思う。誰が言い出すか、チキンゲームになるでしょうね」

   菅義偉首相がやってのけたGoToトラベルキャンペーンの「やーめた」どころではない大騒ぎになりそうだ。

(福田和郎)

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