2024年 4月 25日 (木)

「脱日本」「不買運動」そっちのけで大人気の日本からの輸入品が「廃プラゴミ」とは!【日韓経済戦争】

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   日本製品の不買運動が続くばかりか、文在寅(ムンジェイン)大統領自らが「脱日本」を訴え、日本から輸入してきた部品や素材の国産化を進める韓国で、意外なものが大人気になっている。

   資源ゴミの廃プラスチックだ。特にペットボトルが重宝がられており、輸入の半分は日本からだという。

   いったいどういうわけか。韓国紙を読み解くと――。

  • 日本では清潔にしたペットボトルをゴミ出しする(写真はイメージ)
    日本では清潔にしたペットボトルをゴミ出しする(写真はイメージ)
  • 日本では清潔にしたペットボトルをゴミ出しする(写真はイメージ)

日本人はペットボトルを清潔にしてゴミ出しする

   朝鮮日報(2020年12月27日付)が「『韓国の廃プラスチックは汚い』... 日本から廃ペットボトル昨年5万トン輸入」という見出しで、こう伝えている。

「韓国では廃プラスチックがリサイクルにつながらず、ゴミの山になっているが、その一方ではリサイクル業者が海外から廃プラスチックを輸入するという現象が起こっている。輸入が増えているのは、加工後に繊維・包装容器などにリサイクルするためだ」

   朝鮮日報の取材に応じた繊維メーカー関係者は、

「一部のアパレルブランドでは環境にやさしいイメージ作りのためリサイクル繊維の納品を要求するが、韓国の廃プラスチックは質が落ちるので、清潔できちんと分別されている日本の廃プラスチックなどを輸入するしかない」

と話した。

   廃プラスチックの中でも、特にリサイクル繊維を主に作る廃ペットボトル(PET=ポリエチレンテレフタラート)は昨年の輸入量が10万1900トンで、このうち日本からのものが5万5800トン(55%)と半分を超える。今年の輸入量(5万8200トン)でも40%が日本からのもの(2万2900トン)だという。

清潔な日本の廃プラが好まれると報じる朝鮮日報(2020年12月27日付)
清潔な日本の廃プラが好まれると報じる朝鮮日報(2020年12月27日付)

   なぜ、文在寅政権の「脱日本」「克日」政策に反してまで、日本からの輸入に頼らざるを得ないのか。

   じつは、韓国では資源ゴミのリサイクルシステムがあまり完備しておらず、リサイクル業者は国内で回収した資源ゴミの多くをもっぱら中国に輸出してきた。ところが、中国は2017年7月、国内の環境政策のために世界貿易機関(WTO)などに、プラスチック、ビニール、繊維、金属など24品目の資源ゴミの受け入れを禁止すると通知し、2018年1月から発効した。

   ヨーロッパ諸国は新たな輸出先として東南アジアなどの新市場を確保した。しかし、韓国は新たな輸出先を見出すことに失敗。採算が悪化したリサイクル業者が2018年以降、プラスチックや発泡スチロールなどを回収しないとマンション管理事務所などに通知する騒ぎが広がっている。

   こうしたこともあって、韓国のリサイクル業者は「高品質」の日本の廃プラスチックを輸入するようになったというわけだ。日本の廃プラスチックは接着剤を使わず、ラベルの分離も簡単で、韓国産の廃プラスチックに比べて収益性が高いという。

   ところで、韓国では資源ゴミを清潔にしてから出すというモラルがないのだろうか。韓国国民の「ゴミ出し」事情はどうなっているのか。ソウルに部屋を借りる日本人向けの不動産のサイトをみると、リサイクルゴミ(資源ゴミ)に関しては日本とほとんど変わらないようだ。こう書いてある。

「こちらは(生ゴミ類と違って)専用の袋は必要ありません!日本と似たような感覚で紙、プラスチック、ビン、缶などをきれいな袋に集めて出すか、収集場に行くと分別できるようになっています。ただし、ペットボトルや缶などは洗ってから出してください」

韓国の「生ゴミ」は恐ろしく厳格な分別ルール

日本ではしっかり分別してゴミ出しする(写真はイメージ)
日本ではしっかり分別してゴミ出しする(写真はイメージ)

   ところが「生ゴミ」の出し方については、恐ろしく厳格である。韓国在住の日本人のブログ「えもにっきさん」の「いつも悩む韓国の生ゴミ分別問題」によると、このように細かく分別されているのだ。

「韓国に来てから私を悩ます地味に大きな問題。それは生ゴミ分別問題です。韓国は、生ゴミは分別処理加工し、動物のエサにしたり、肥料にしたりするとのことで、きっちり分けなければならないのですが、このコシウォン(留学生宿舎)のルールでは、動物が食べられるもの → 生ゴミ、動物が食べられないもの → 一般ゴミ、※キムチやトウガラシ、ニンニク、卵の殻、チキンなどの骨、種、硬い皮などは一般ゴミと記載されています」
「うん。これは理解できます。こうやって書いてあっても生ゴミ入れにキムチ、卵の殻が入っているのは謎ですが、私がいつも悩むのはこの生ゴミたち。バナナの皮、キウイの皮、オレンジの皮。私がよく食べるフルーツですが、フルーツの皮って動物は食べられるのかな? という疑問」

   そこで、「えもにっきさん」がほかの自治体の規定を調べると、半端なく細かく規定されているところが多いのだ。たとえば、こうである。

   生ゴミに該当しないものとして、以下の例が羅列されているありさまだ。

(1)肉類:骨(軟骨も)、手足の爪、歯など。
(2)野菜類:土のついたネギの根、タマネギ、ニンニク、トウモロコシ、サトウキビ、ショウガ、パイナップルの皮など。
(3)果物:モモやスモモなど家畜が呑み込めない大きさや硬さの種、クリやクルミの殻など。
(4)魚介類:皮、骨、貝殻、イカの口など家畜が呑み込めない硬い部位。
(5)卵:殻。
(6)その他:ティーバック、茶殻、漢方薬を煮出した残りかす、油かす、コーヒーかすなど。

   これでは、「生ゴミ」と「一般ゴミ」の選別に疲れ果てて、ペットボトルの洗浄にまで神経が行き届かなくなるかもしれない。

(福田和郎)

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