2024年 4月 19日 (金)

国産タオル「メード・イン・ジャパン」品質で復権 2019年売上規模は過去10年で最高

)販売チャネルの多角化に積極的

   タオル専業メーカーは販売チャネルの多角化にも、積極的に取り組んでいる。具体的なアプローチはSPA(製造小売)業態への転換やEC市場への参入だ。SPAは消費者ニーズを素早く製品に反映できるとして、20年ほど前からアパレル業界に広まった。タオル業界にも取り入れられ、製品のブランドを示すタグをつけるなどして高品質をアピールし、新規顧客やリピート客の確保につなげている。

   ブランド化や販売チャンネルの多角化は国内販売に比べても高価格帯中心の商品が多く売れる海外市場向け販売でも効果を発揮した。2019年の輸出タオルは1キログラム当たり4000円を突破したが、これは輸入タオルに比べると4~5倍にもなる価格だが、帝国データバンクによると品質の高さを強みとして中国や台湾などアジア市場を中心にシェアを拡大するなどグローバルな高級タオル市場で確固とした地位を確立したという。

   これにより、小ロット生産・高単価なタオル生産でも業績拡大可能な業態へ転換する道が拓け、業績改善を後押しする要因の一つとなっている。

   今後の国内タオル業界も高級タオル市場で収益を確保する展開になるとみられるが、2020年は緊急事態宣言による営業自粛などで百貨店などでの販売が落ち込んでおり、前年比3割程度の減収となったタオルメーカーもある。コロナ禍が、販売に大きな影響が及んだケースも少なくない。

   業務用も、稼働率の低迷が続くホテル向けなどでは大幅な需要減がみられ、回復にはしばらく時間を要するとみられる。

   ただ、衛生面の意識変化を追い風に、タオルの使い捨てといったニーズの変化や、エステサロンなど業務用の高付加価値タオル需要が底堅いメーカーもある。しかし、それもタオル需要全体の減少分を補うことは難しいとみられる。

   帝国データバンクではそのため、2020年の国内タオルメーカーの売上規模は一時的に前年を下回る傾向で推移すると予想している。

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