ポスティングシステムで米大リーグ移籍をめざしていたプロ野球・読売巨人軍の菅野智之投手でしたが、残念ながら交渉が成立しなかったと現地メディアが報じ、話題になっています。当初は10球団近くが菅野獲得に関心を示しているとされていましたが、本命と目されたニューヨーク・メッツが争奪戦から降りるなど、具体的な合意には至らなかった様子。「菅野の値段が高すぎた」ことが原因だとも報じられていますが、米メディアは今になって「世界で最も完成された投手」とその実力を褒めたたえています。「逃した魚は大きかった」のでしょうか?米メディア、今になって「Suganoは掘り出しモノだ!」「年齢的にも残されたチャンスは少ない」と、大リーグへの挑戦を表明していた菅野智之投手。久しぶりの「大型物件」とあって注目が集まっていましたが、本命と目されたニューヨーク・メッツの他にも、ボストンレッド・ソックスやサンフランシスコ・ジャイアンツといった有力球団が争奪戦を繰り広げていると報じられていました。ところが、期限の直前になって候補球団が次々と交渉から撤退。最終的に、2021年シーズンは巨人と契約を更新することで合意したとのニュースが、現地メディアを駆け巡りました。SuganodidnotcometoanagreementwithanMLBteambeforethepostingwindowexpired(菅野は、ポスティングシステムの期限が切れる前にメジャー球団と合意に至らなかった:米スポーツサイト)JapaneseaceTomoyukiSuganowillreturntoJapan,couldbeMLBfreeagentnextoffseason(日本のエース菅野智之は日本に戻るが、来期はフリーエージェントで大リーグの可能性がある:米CBSニュース)報道によると、菅野投手は巨人と4年契約を交わすものの、来季以降のメジャー移籍を可能にするために1年ごとに契約を見直すことができる権利を付与されているそうです。CBSの見出しからも、「これで終わりではない」「来期がある」といった期待がひしひしと伝わってきますが、実際、「菅野メジャー断念」を伝える米メディアは「Suganocouldbeabigpickup」(菅野は掘り出しモノだ!)といった「絶賛コメント」が目立ちます。手に入れられると思っていたのに逃してしまった......。まるで、「逃した魚は大きい」と今になって後悔しているかのような報道ぶりです。菅野投手が来シーズンの後にもう一度大リーグに挑戦するかどうかはわかりませんが、少なくとも「市場価値」が上がったことは確かでしょう。Suganoは高すぎた!?今回、大リーグ球団との交渉で合意にいたらなかったのは、菅野投手側が示した金額が高すぎたからだと報じられています。Itlooksliketheaskingpricewasjusttoohighfortheteam(ただ、希望金額がチームにとって高すぎただけのようだ)実力は十分に認めているが、コロナ禍による経営難に直面している球団にとって金額が高すぎた......。「欲しいけど手が届かなかった」ことも、米メディアが菅野投手に「未練タラタラ」になっている理由の一つでしょうか。実際、菅野投手を紹介するコメントは、絶賛モードです。Accomplishmentsjumpoffthepage(飛び抜けた業績)SuganoisthemostaccomplishedpitcherintheworldwhohasyettoappearinMLB(菅野はまだ大リーグの経験がない、世界で最も完成度が高い投手だ)SuganohasbeenthemostconsistentlyexcellentstartingpitcherinJapansinceMasahiroTanaka(菅野は、田中将大以来、日本で最も安定して業績を上げている先発投手だ)さらに、菅野投手が速球やスライダー、スプリッター(フォークボール)やカーブなど多様な球種を誇ることや、日本国内での輝かしい受賞歴などを細かく紹介しているメディアも目立ちました。今期の移籍市場は終わったのに、なぜか熱い米メディア。大型移籍の本命は「コロナ後」だと捉えているのでしょうか。それでは、「今週のニュースな英語」は、菅野投手の卓越した業績を紹介する米メディアの表現から「jumpoffthepage」を取り上げます。直訳すると「ページから飛び出してくる」という意味。本などの紙面から、目を引く文字や絵が目に飛び込んでくる状況を表していて、「飛び抜けている」「卓越している」といった意味で使われる慣用句です。Hisaccomplishmentsjumpoffthepage(彼の業績は飛び抜けている)someofthemjumpoffthepage(飛び抜けて優れている人が何人かいる)noneofthemjumpoffthepage(飛び抜けて優れた人は一人もいない)大リーグ挑戦は「子どものころからの夢だった」と語っていた菅野投手。報道を見る限り、今回のポスティングシステムが不成立に終わったことで、逆に米国での「菅野株」は上がっているようです。「逃した魚ほど大きく感じる」法則は、万国共通なのでしょうか。菅野投手にとっては、案外「得策」だったかもしれません。(井津川倫子)
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