2021年 7月 31日 (土)

「コロナを抑えるには罰、罰、罰だ!」時短拒否で50万円、入院拒めば前科が付くってアリ?(1)

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「何が何でもコロナの感染拡大を抑える。それには罰、罰、罰だ!」

   とばかりに、菅義偉政権は2021年1月18日、罰則の導入を柱にした新型コロナウイルス特別措置法と感染症法の改正案をまとめた。

   営業時間の短縮要請に応じない飲食店には50万円の過料、入院を拒否した感染者は100万円の罰金で前科が付く、協力を拒んだ民間病院は名前を公表......。

   ビシ!ビシ!ビシ!を叩くムチの音が聞こえてきそうな内容だ。もともと罰則には及び腰だったという菅首相だが、いったいどうしたのか?

  • 「罰則」の脅しでコロナを抑えようという菅義偉首相
    「罰則」の脅しでコロナを抑えようという菅義偉首相
  • 「罰則」の脅しでコロナを抑えようという菅義偉首相

自民幹部「頑張ってきた飲食店に罰則って、理解されるか」

   政府が1月18日にまとめた新型コロナウイルス感染症対応の特別措置法と、感染症法の改正案の骨子は次のとおりだ。

【特措法の改正案】
(1)これまでの「指示」を「命令」に強化。緊急事態宣言の対象区域で、知事が事業者に休業や営業時間短縮を命令できる。命令違反には50万円以下の過料(注:前科が付かない行政罰)。
(2)緊急事態宣言の段階として、新たに「まん延防止等重点措置」を設ける。知事が営業時間の変更を命令できる。命令違反には30万円以下の過料。
(3)命令を出す場合に事前に「立ち入り調査」を行う権限を新たに設ける。緊急事態宣言下やまん延防止等重点措置下で、立ち入り調査に応じないと、20万円以下の過料。
(4)これまでは規定はなかったが、新たに対策を講じる事業者に対し、国や地方自治体が支援を講じる義務を明記。
【感染症法の改正案】
(1)感染者が入院勧告を拒否したり、入院先から逃亡したりした場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(注:前科が付く刑事罰)
(2)保健所の調査を正当な理由がなく拒否したり、ウソをついたりした場合は50万円以下の罰金。
(3)民間病院や医療関係者が、国や地方自治体から協力要請を受けながら、正当な理由がなく拒否した場合は名前を公表できる。

   このように、両法の改正案ともに厳しい罰則規定を盛り込んでいるのが特徴だ。

   これまでの特措法は、知事は飲食店などに指示を出せるが、応じない場合の罰則はなかった。これでは「強制力」がなく、事業者や医療機関の協力を得ることが難しい。そのため、罰則の導入は昨年(2020年)春から全国知事会が再三にわたって政府に要請してきたことだった。

   ところが、安倍晋三前首相、菅義偉首相ともに内閣は「私権の制限」がともなう特措法の改正には消極的だった。昨年、秋の臨時国会で立憲民主党などが独自の特措法改正案を提出しても、

「新型コロナが収束した後に、一連のコロナ対策を検証してから」(安倍前首相)

などと呑気に構えていたのだった。

   それが一転、政府が突貫工事で法改正を急ぐ理由を、朝日新聞(1月19日付)「強まる私権制限、懸念も 後手批判、法改正急ぐ政権」がこう説明する。

「政府が法改正を急ぐ理由の一つは、コロナ対策が『後手』批判を浴び、支持率が下がったことがある。昨年、野党が独自の改正案を出しても政府は取り合わなかった。ただ、昨年末から官邸で『野党の抵抗がなさそうで改正の雰囲気が出てきた』(幹部)と、早期改正論が前面に出てきた。別の官邸幹部は『いざという時の伝家の宝刀を持つことは大事だ』と必要性を強調する」

   自民党内には罰則導入に反対の意見も少なくない。朝日新聞が続ける。

「自民党内には世論の反発への警戒も出ている。『頑張ってきた飲食店を狙って罰則をつけるなんて理解されるのか』(党幹部)。ただ、首相が新型コロナ対策に実績を早期に求められる中で、政府に抜本的な見直しを迫るのは難しい状況だ。政府・与党としては、2月上旬の成立を目指し、野党との国会審議に突っ込む構えだ」

と、悲壮な決意を見せるのだった。

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