2024年 4月 26日 (金)

菅首相、大丈夫? 2050年「温室効果ガス」排出量ゼロ 企業の43.4%が「目標達成は困難」

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   菅義偉首相が華々しくぶち上げた、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする目標に、企業の43.4%が「達成は困難」とみていることが、帝国データバンクの調べでわかった。2021年1月19日の発表。

   菅首相は昨年10月26日、国会での就任後初の所信表明演説で、成長戦略の柱に「経済と環境の好循環」を掲げ、「2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにする」との政策目標を表明。2021年度の税制改正大綱や総合経済対策にも、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」が盛り込まれるなど、企業への支援策を積極的に打ち出している。

   しかし、コロナ禍で東京都や大阪府、愛知県、福岡県などの11都府県に2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、現状はそれどころではなくなっている。目標達成に向けた取り組みも後手に回っている状況だ。

  • 温室効果ガスの排出量ゼロへ!(写真はイメージ)
    温室効果ガスの排出量ゼロへ!(写真はイメージ)
  • 温室効果ガスの排出量ゼロへ!(写真はイメージ)

「温室効果ガス」優先度低い実態が浮き彫りに

   政府の旗振りやSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みなど、世界的な機運の高まりもあり、政府や自治体のみならず民間企業でも取り組み目標を掲げる動きが現れている。

   調査によると、温室効果ガスの排出抑制に対して、回答があった1万1479社のうち、82.6%が「取り組んでいる」と答えた。「取り組んでいない」企業は13.6%、「わからない、不回答」は3.8%だった。

   温室効果ガスの排出抑制に対して何らかの対策は講じている企業は多いものの、企業に「排出量実質ゼロ」の目標達成の可能性を聞いたところ、「達成は困難」と答えた企業は43.4%と、4割を超えた。さらに、「達成できない」は17.9%だった。

   一方、「達成可能」と回答した企業は15.8%。このうち、「今以上の取り組みをすることで達成可能」とした企業は13.3%。「現在の取り組みで達成可能」な企業は2.5%にとどまった=下の円グラフ参照

   「達成は困難」と答えた企業の具体的な意見をみると、

「目標を達成するためのロードマップを示す必要があり、産業界との連携を深める必要がある」(電気計測器製造、神奈川県)
「言うは易し行うは難しで、具体的な計画と目標がわからない」(し尿収集運搬、石川県)
「取り組みについて何をどのようにすべきか、何を手始めに重点的に取り組むかなどの明確な説明が必要」(農産保存食料品製造、大分県)

といった内容だった。

   企業は温室効果ガスの排出抑制などの環境問題への取り組みは必要であるとしつつも、政府が具体的な政策を民間の丸投げしているとの印象を持っているようだ。

ランニングコスト削減を目指し「省エネ」が43.0%でトップ

   では、その取り組み内容についてはどうなのだろうか?

   調査によると「省エネ」が43.0%で最も高い。次いで「クールビズの実施(ウォームビズ含む)」が42.6%、「ハイブリッド車、電気自動車の導入」が28.0%などと続いている=下表参照

   また、温室効果ガスの排出抑制に取り組む目的では、電気料金などの「コストの削減」が55.7%でトップ。次いで「法令順守」も48.9%と高い。また、「CSR(企業の社会的責任)の一環」や「SDGsへの対応」となった。

   一方で、取り組みにおける課題では、「他に優先すべき項目がある」が27.4%で最も高い。次いで「主導する人材(部署)がいない」が26.9%、「どこまで取り組めばいいのかわからない」が25.8%、「取り組むためのノウハウやスキルがない」が24.5%と続いている。

   調査した帝国データバンクは、「温室効果ガスの排出抑制に取り組んでいる企業は8割超」としながらも、「コロナ禍の対応に追われ、温室効果ガス問題の優先度が低い実態もある」と報告している。

イノベーションの創出なくしてカーボンニュートラルは実現せず

   企業の動向をみると、日本経済団体連合会は昨年12月15日、「2050年 カーボンニュートラル(Society 5.0 with Carbon Neutral)実現に向けて -経済界の決意とアクション-」を表明。電力や水素、産業、運輸、民生の5分野16項目の「取り組むべき課題の例」をあげた。

   電源の脱炭素化や電力システムの次世代化、安価で潤沢な水素供給の実現、電気自動車・燃料電池車などの電動車の開発と普及、「ネット・ゼロ・エネルギー」の家やビルの普及などがそれ。経団連は、「新たなイノベーションの創出なくして『Society5.0 with Carbon Neutral』は実現しえない。グリーン成長を巡る国際的な競争が激化するなか、イノベーションの創出は、今後のわが国の競争力強化にとっても死活的に重要な課題である」としている。

   2020年6月に開始した「チャレンジ・ゼロ」では、すでに約170の企業・団体が、カーボンニュートラルに向けたイノベーションの創出や、これに取り組む企業に対するファイナンスなど、約360のプロジェクトに挑戦することを表明している。

   なお、調査は帝国データバンクが全国2万3688社を対象に、2020年12月16日~2021年1月5日に実施。有効回答企業数は1万1479社。回答率は48.5%だった。

姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中