2021年 4月 15日 (木)

【社長の本棚 第1回】ハーバード・ビジネススクールで学んだ「競争戦略論」が人生を変えた(アクサ生命社長兼CEO 安渕聖司さん)

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   アクサ生命保険の代表取締役社長兼CEO、安渕聖司さんは4冊の本を持ってインタビューに現れた。

   その中で、ひときわ異彩を放つのが、1冊の大きく分厚い原書。マイケル・ポーター著「COMPETITIVE STRATEGY(競争戦略論)」だ。

   安渕さんの人生を、大きく変えた本だという。

  • アクサ生命の安渕聖司社長の人生を変えたマイケル・ポーター著「COMPETITIVE STRATEGY(競争戦略論)」
    アクサ生命の安渕聖司社長の人生を変えたマイケル・ポーター著「COMPETITIVE STRATEGY(競争戦略論)」
  • アクサ生命の安渕聖司社長の人生を変えたマイケル・ポーター著「COMPETITIVE STRATEGY(競争戦略論)」

ポーターと共にあったビジネスの道

――「競争戦略論」との出会いは、どういうきっかけでしたか。

安渕聖司さん「三菱商事に籍を置いた1988年からの2年間、ハーバード・ビジネススクールに留学しました。1年目の後期にマイケル・ポーター本人のクラスで直接教わることができました。多くのケーススタディで、産業と競争、企業の戦略、何より物事を分析・評価するフレームワークを学びました。
1週間に13のケーススタディを議論するというハードなスケジュールの中でしたが、ポーター教授のクラスには特に力を入れ、予習だけではなく、しっかり復習してメモをつくったおかげで、このコースでの成績はトップ10%に入り、無事にMBAを修了する力になりました」

安渕社長は、「ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーターの授業はハードだった」と話す。

――その後の仕事にも役に立ったのでしょうか。

安渕さん「卒業直後の1990年から、三菱商事でM&Aのアドバイザリーという新しいビジネスを担当しましたが、ポーター教授の授業で深く学んだおかげで、顧客である企業の業界における立ち位置を含め、戦略を効果的に分析し、打ち手を提案することが出来ました。また、1999年、三菱商事が投資した、米投資ファンドのリップルウッドの日本法人立ち上げにかかわり、転籍。その後移ったUBS証券やGEキャピタルでも、戦略としてM&Aを積極的に活用しましたが、戦略分析のフレームワークはとても役に立ちました」

――現在は、アクサ生命保険にいらっしゃいますが、今もポーターの影響はありますか?

安渕さん「ポーターはその後、進化しました。企業が本業の強みを活かして、社会的課題の解決を目指すことで、価値を創造しようという『共有価値の創造(CSV)』という考え方です。アクサは『すべての人々のより良い未来のために。私たちはみなさまの大切なものをお守りします』というパーパスを掲げています。私たちは、生命保険会社としてお客さまのライフマネジメントに寄り添い、安心をお届けし、社会の持続的な発展をサポートするという重要な役割を担っています。お客さまである中小企業経営者のみなさまには商工会議所や自治体、全国健康保険協会の支部など、地域のステークホルダーと連携し、『健康経営』の導入や実践支援を行うほか、NGOやNPOと協働し、減災教育などの地域社会の強靭化やソーシャルインクルージョンなど、さまざまな社会的課題に向き合ったプログラムを実行しています。ポーターの言うCSVを推進し、社会の持続性を高め、長期的な価値を創造する存在でありたいと考えています」

社員にオススメの1冊は「ファクトフルネス」


「指導者とは」を読んで、チャーチル元首相のリーダーシップには感銘を受けた(写真は、アクサ生命の安渕社長)

――「指導者とは」など、他の3冊についてもご紹介ください。

安渕さん「『指導者とは』(文藝春秋)は、アメリカのリチャード・ニクソン元大統領が、直接交流のあった、英国のウィンストン・チャーチル元首相、フランスのシャルル・ド・ゴール元大統領や、日本の吉田茂元首相など世界の指導者について書いた、人物論の本です。第1章に書かれているチャーチルのリーダーシップには感銘を受けました。10年間在籍したGEでは、本格的なリーダーシップの研修を毎年のように受けて、成長の機会となりましたが、その間もこの本は常に参照していました」
「『ビジネスで一番、大切なこと』(ダイヤモンド社)は、ハーバード・ビジネススクール教授のヤンミ・ムンの本です。原題が『ディファレント』で、消費者をよりよく理解することから、本当の『違い』を作り出すという、マーケティングの本です。私自身、人と違ったキャリアを歩いてきたこともあり、人と違うことは大切にしていますので、共感しました。どこにポジションを置くかという意味では、ポーターともつながるところがあります」
「『ファクトフルネス』(日経BP)は、社員に勧めている本です。貧困や教育など、多くの面で世界は良くなっているのに、なぜか悪くなっていると思っている人が多い。なぜ、そうなるのか? 多くの間違った思い込みがそうさせるのですが、この本はデータと事実に基づいて、そうではないことを丁寧に説明しています。世界を正しく理解することにより、将来に対するポジティブな希望を持つことができます」

知的好奇心が仕事人生を切り拓いてきた

――安渕さんはふだん、どのようなときに本を読んでいるのでしょう。

安渕さん「時間があればいつでも本を読んでいます。紙の本、電子書籍を問わず、いつも複数の本を同時に読み進めています。紙の本には付箋をつけます。キンドルには重要なところに『ハイライト』をマークして、後でパソコンでハイライト部分だけを再読します。読んでいるのは、ミステリーやSF、自然科学や歴史・社会分野が多く、ビジネス書は意外に少ないですね。学生時代から読書記録をカードやノートに付けています。蔵書はこれまでかなり処分して来ましたが、マンションの本棚には今も3000冊はあります。
また、『日経産業新聞』に『私の本棚』というコラムがあり、2009年から定期的に寄稿して、さまざまな分野の本を紹介しています。本の持つ力を再認識したのは、自分が本を書くという経験をした時です。きっかけは、社外での講演の参加者の中に、新潮社の編集者がいて、本の執筆を勧められたことでした。本を読むのと書くのは大違いで、1冊の本にどれだけのエネルギーと内容が必要かを思い知りました」

   そうして生まれたのが、「GE 世界基準の仕事術」(2014年、新潮社)だ。2006年にGEに入社したとき50歳だった。1年後にはGEキャピタルの複数の日本法人を統括するリーダーになった。「新しい人間でも積極的に評価し、昇格させていくGEという会社のすごさを改めて実感した」という。

   この本には、全員に求められるリーダーシップ、明確な基準が設けられている「評価」システム、経営トップもコミットする「人材育成」、GE独自の「仕組み」や心地良く働ける基盤となる「カルチャー」づくりなどが書かれている。

   安渕さんは、もう1冊「GEの口ぐせ」(PHPビジネス新書)も書いている。

   安渕さんは「知的好奇心が自分の仕事人生をドライブしてきた」と話す。三菱商事から、「ファンドの世界を知りたい」とリップルウッドに転籍。「投資銀行を経験したい」とUBS証券へ。さらにGEキャピタルでグローバル企業の経営を学び、そしてアクサへと転進してきた。

   常に学び、人とは違うことをしたいという安渕さんの傍らには、いつも本がある。(渡辺淳悦)


安渕社長の4冊。「ファクトフルネス」は社員にオススメの一冊

プロフィール
安渕 聖司(やすぶち・せいじ)
アクサ・ホールディングス・ジャパン株式会社代表取締役社長兼CEO
アクサ生命保険株式会社代表取締役社長兼CEO
1955年兵庫県生まれ。79年早稲田大学政治経済学部卒、三菱商事入社。90年、ハーバード・ビジネススクールMBA修了。リップルウッド、UBS証券を経て、2006年にGEコマーシャル・ファイナンスにアジア地域事業開発担当副社長として入社。07年、GEコマーシャル・ファイナンス・ジャパン社長兼CEO。09年GEキャピタル社長兼CEOに就任。19年4月より現職。
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