2021年 4月 15日 (木)

コロナ禍のマンション、価値が上がるエリアはどこ!? 半額物件もあるかも...

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   「2021年、不動産は暴落する」というショッキングな文言の帯が目に入り、本書「激震! コロナと不動産」を手に取った。2021年1月25日に不動産経済研究所が発表した、2020年に首都圏で発売された新築マンションの平均価格は6084万円とバブル期の1990年に次ぐ過去2番目の高値水準という報道があったばかりなのに、今年は暴落するのか?

   そんな疑問を持ちながら読むと、コロナ禍の昨年から、各地でさまざまな変化が起こっていたことがわかった。

「激震! コロナと不動産」(榊淳司著)扶桑社
  • 湾岸エリアのマンション群はどうなるのか……(写真はイメージ)
    湾岸エリアのマンション群はどうなるのか……(写真はイメージ)
  • 湾岸エリアのマンション群はどうなるのか……(写真はイメージ)

「買う人」より「売る人」が増える

   著者の榊淳司さんは不動産ジャーナリスト。東京23区内、川崎市、大阪市などの新築マンション建築現場を年間500か所以上の現地を調査し、各物件別の資産価値評価を有料でレポートしている。著書に「2025年東京不動産大暴落」(イースト新書)、「限界のタワーマンション」(集英社新書)などがある。

   実際にはマンション価格はまだ下がっていない。政府の景気対策が効果を上げていること、不動産価格の動きは景気動向から半年以上は遅れるからである。

   しかし、2021年から住宅ローンの返済が困難になった人々の精算、売却が本格化するため、需給関係が変化すると見ている。新型コロナウイルスによる日本の不動産市場への負の影響は、2021年に本格化し、その後、何年も継続するだろうと結論を述べている。

   コロナ禍にもかかわらず、2020年、中古タワーマンションや新築戸建ての販売は好調だった。新型コロナウイルスによる外出自粛やリモートワークの普及によって、自宅の住環境に不満を持った人々の中で、住み替えのできる経済力のある層が動いたという。しかし、こうした層は少数派だ。

   収入を減らした、あるいは職を失った多数派の人の中には、貯金を取り崩したり、金融機関に返済を猶予してもらったりしている人も少なくないだろう。猶予期間は通常半年なので、2021年の年明けから任意売却物件が急増するだろう、と榊さんは見ている。

   2019年10月の台風で浸水被害を受けた川崎市・武蔵小杉にあるタワーマンションに住む男性からの相談事例を紹介している。台風前から成約価格は1割以上下がっていた。「出来るだけ早く売るのがいいですよ」とアドバイスしたという。

「住みたい街」に変化 「遠すぎた街」も選択肢に

   本書では、東京の湾岸エリアにある2つのタワーマンションの行方に注目している。一つは東京五輪の選手村として利用され、閉幕後に全面改装して分譲される予定だった「晴海フラッグ」。もう一つは、江東区有明の複合商業施設「有明ガーデン」内の住居施設、「シティタワーズ東京ベイ」というタワーマンション3棟だ。

   仮に五輪が中止または延期になった場合、「五輪」という付加価値、ストーリーが消え、「五輪価格」が維持できなくなると見ている。

   リモートワークによって、「通勤」という枷がなくなり、郊外やベッドタウンの「住みたい街」が変わりそうだ、としている。

   人気が下がりそうな街・沿線として、湾岸エリア(晴海・有明)、武蔵小山(東京都品川区)、武蔵小杉(川崎市中原区)、津田沼(千葉県習志野市)、地下鉄東西線沿線を挙げている。

   反対に人気が上がりそうなのが、湘南・熱海(JR東海道線)、三浦海岸(神奈川県三浦市)、成田周辺(千葉県成田市)、高尾(東京都八王子市)、山中湖(山梨県山中湖村)。

   リモートワークの普及は、十数年間続いた「都心回帰×タワマン」の流れを変え、郊外の中古戸建て、都内のミニ戸建てが人気になっているそうだ。

   「どこに買うか」という住まいの購入だけではなく、「どこに借りるか」という賃貸住宅選びにも変化が出ているという。2020年9月に住宅情報サイト「ライフルホームズ」が発表した「借りて住みたい街ランキング」を紹介している。

   1位が本厚木(神奈川県厚木市)、2位に葛西(東京都江戸川区)、3位が大宮(埼玉県さいたま市)、4位が千葉(千葉県千葉市)と続いている。通勤の負担が軽減されたため、「遠すぎた街」まで選択肢に入ったという。

   本厚木の駅前の商業集積はすさまじいものがあり、「毎日あの街をウロウロと歩けばどれだけ楽しいだろうと考えてしまう人が多いと思う」と書いている。葛西も地味だが、大きなショッピングモールやスーパー銭湯があり、日常の暮らしは便利そうだ。大宮も商業施設が集積しており、交通の要衝だ。「家賃が高くない」のも共通しているという。

大学生のワンルームマンション需要に変化

   投資物件にも変化が出そうだという。大学のオンライン授業が普及し、地方出身の大学生の中には都内のワンルームマンションを引き上げ、地方の実家に住み、授業を受けている人も少なくない。大学周辺の賃貸ワンルームマンションの需要は減ると見ている。実際に東京都、神奈川県、埼玉県で計1万1100戸の単身者向け賃貸住宅の需要が消失した、と不動産サービス・タスが2020年8月にレポートを発表したことを紹介している。

   本書は「週刊SPA!」を発行している扶桑社から出ているため、本書の随所に同誌特別取材班によるルポが掲載されている。コロナ禍により、タワーマンションでラウンジやジムなどの共用施設が閉鎖されていることやリモートワークが急増し、羽田空港「新ルート」下のマンションの不動産価格に影響が出ていることをレポートしている。

   「東京都心やその周辺でなくてもよい」という価値観の転換は、日本の不動産業界に大きな影響をもたらしそうだ。数年単位では3~5割程度の下落になっている物件も出てくるだろう、と著者は予想している。

   評者は平成の大バブルの崩壊時に、手持ちのマンション価格が5割下落し、大きな含み損を抱え、その解消に長年苦しんだ苦い記憶がある。暴落は、「売る」側にとってはマイナスだが、「買う」側にとってはプラスである。東京オリンピックの開催の可否、新型コロナウイルスワクチンの効果など、今年の転換になるポイントを見逃せない。

「激震! コロナと不動産」
榊淳司著
扶桑社
860円(税別)

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