2021年 9月 20日 (月)

東京五輪反対に自ら火に油を注ぐとは! 森喜朗会長の「差別発言」に海外メディアが呆れ返った(2)

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「女性の話は長い...」

   東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言が「女性差別」だとして、日本はおろか世界中で物議をかもしている。

   オリンピックの最大の理念である「男女平等」に反する点が問題になっているのだ。

「こんな人物が東京五輪のトップなのか」

   と海外メディアが呆れている。これで東京五輪は終わりか...?

  • バッハIOC会長は森発言をどう見る?
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「有名人は田んぼの中を走れ」にタレントが激怒

   さらに、森喜朗会長には3つ目の問題発言がある。2月2日、自民党本部での合同会議で、聖火リレーについてこう発言したのだった。

「密になるのはだめだということですが、出るほうも見るほうも楽しみにしている。人気のあるタレントはあまり人が集まらないところを走ったらいいじゃないか、田んぼで走ったらいいんじゃないかという声もあります」

   と言い放った。

   この発言に激怒したのが、お笑いタレントの田村淳さんだ。聖火リレーランナーに選ばれていたが、2月3日、youtube動画で「ご迷惑にならないよう辞退します」と公表した。2月4日放送の日本テレビ系情報番組に出演した田村淳さんは、森会長の発言にこう怒りをぶつけたのだった。

「田んぼを走ればいいという発言より、(田んぼを走らせてまでして)どんな形でもオリンピックをやるんだということに同意できないんです。強引にやってだれが幸せになるのかと。それに田んぼを走れという言い方は、農家の人にもタレントさんにも失礼じゃないですか。この人の、人を見下す態度は昔から全然変わっていないなと思いました」

   こんななか、2月4日午前、毎日新聞オンライン版が「スクープ」を配信した。「森喜朗氏、会長辞任の可能性に言及『女性が...』発言の波紋拡大で」というショッキングな見出しである。単独取材に成功した鈴木琢磨記者による記事で、森会長の心境をこう書いていた。

「森会長は2月4日、毎日新聞の取材に応じ、『女性を蔑視する意図は全くなかった』と釈明した。森会長は自身の去就に触れ、『辞任を求める声が強くなれば、辞めざるを得ないかもしれない』と、辞任の可能性に言及した。森会長は『軽率だった。おわびしたい』と述べ、発言の真意について『一般論として、女性の数だけを増やすのは考えものだということが言いたかった』と説明した。

森会長「女房、娘、孫娘にまで叱られたよ」

   さらに、森喜朗会長はさんざん妻や娘たちに叱られたという。毎日新聞の鈴木琢磨記者に、こうぼやいたのだ。

「昨夜、女房にさんざん怒られた。『またあなた、大変なことを言ったのね。女性を敵にしてしまって、私はまたつらい思いをしなければならない』と言われてしまった。今朝は娘にも孫娘にも叱られた」

   そして、鈴木記者に辞任の可能性を、こうほのめかしたのだ。

「そういう(辞任を求める)声が強くなれば、辞めざるを得ないかもしれないですね。もう私についていけないと組織委の役員とか皆さんがおっしゃるなら、それはやむを得ないこと。私自身も『老害』という批判を意識し、反省しながらやってきた。83歳ですから」
森会長が差別発言をしたと報じるAFP通信電子版(2月3日付)
森会長が差別発言をしたと報じるAFP通信電子版(2月3日付)

   この報道が流れて4時間後の2月4日14時から森氏の記者会見が開かれた。「すわっ辞任か!」という観測が高まったが、

「不愉快な思いをされた皆様にはお詫びをしたい」

   と話し、一連の発言について謝罪、撤回しただけで辞任は否定した。報道陣から、

「みんなが怒っています」
「五輪精神に反する発言をした人が組織委会長を務めることは適任ですか」

   と聞かれると、「さあ。あなたはどう思いますか?」と逆に記者に聞き返すありさま。「適任ではないと思います」と記者が答えると、森会長は、「そういうふうに承っておきます。おもしろおかしくしたいから聞いているんだろ!」と、捨てセリフを残して会見を打ち切った。

   こうした森会長の開き直った、投げやりな態度にネット上では怒りと呆れる声があふれている。

「日本のオリンピックの歴史に泥を塗る行為です」

   在米ジャーナリストの飯塚真紀子さんは、こう指摘した。

「世界のメディアの中には、森氏の発言を検証しているところまであります。フォーブス誌はスタンフォード大学が行なった研究結果を紹介していますが、男性と女性ではどちらがよく話すかについて行われた56の研究中、34の研究で男性のほうが女性よりよく話すことが証明されています。女性のほうが男性よりよく話すことが証明された研究は2つしかありませんでした。また、同誌は『女性は競争意識が強い』という森氏の指摘もおかしいとしています。同じスタンフォード大学のリサーチによると、男性の方がより競争意識が高く、自分の能力に自信過剰で、そのために、競争をより追求する傾向があるということです」

   日本大学の末冨芳教授は、こう批判した。

「森喜朗氏が『女性理事を選ぶというのは、文科省がうるさくいうんですよね』と指摘した文科省の複数会議で女性委員をしている立場からとして、差別発言は断じて容認できません。どのような法律的根拠、エビデンスに基づいて発言しているのか。国際社会では許されない性差別発言であり、公職にとどまること自体が疑問視されます。このような発言を許容することは開催の有無にかかわらず、日本のオリンピックの歴史に泥を塗る行為です」

   元女子柔道日本代表でスポーツ社会学者の溝口紀子さんは、こう指摘した。

「かつての全日本柔道連盟は、男性中心のトップのイエスマンで構成され閉塞的な内輪のルールで運営されていました。法令遵守よりも組織内の人間関係への配慮が優先され、選手選考や公金不正などガバナンスに問題があると指摘されました。現在、再発防止策としてスポーツ団体ガバナンスコードが運用されています。とりわけ『女性理事の目標割合を40%以上』を設定することで、会議を活性化することが求められています。森氏には五輪組織委のトップとしてジェンダーバイアスを解消し、オリンピズムを実現するべく、発信力を発揮してほしいと思います」

   米ロサンゼルス在住の映画ジャーナリストの猿渡由紀さんは、

「ダイバーシティー(多様性)が世界的キーワードになっている現代、ありえない発言です。ハリウッドでも、かつて映画監督は圧倒的に男性でしたが、現在、各地の映画祭上映作品の半分が女性監督のものになりました。もちろん意図的に採用したから増えたのですが、結果的に受賞作の多くも女性の作品が占めました。純粋にその作品がよかった、視点が新鮮だったことの証明です。国際的イベントであるオリンピックのリーダーが『女性を入れたくない』という発言をするとは、日本という国にとって大きな恥です」

   そう言って、呆れた。

(福田和郎)

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