海外メディアも報じる橋本聖子新会長のセクハラ「男みたいな性格、ハグは当然」は援護射撃になるか?(1)

   東京五輪・パラリンピック組織委員会は2021年2月18日、女性差別発言で会長を辞任した森喜朗氏(83)の後任に橋本聖子氏(56)を選出した。「密室人事」と猛批判を浴びながら、理事会では異論一つ出ずにあっけなく決まった。

   しかし、早くも海外メディアは橋本聖子氏がフィギュアの高橋大輔選手に「無理チュー」をしたセクハラ事件を取り上げている。

   また、「森の娘」と自認するほどのベッタリの仲の森喜朗氏の「院政」を心配する声もある。大丈夫か、橋本聖子新会長?

  • 組織委の会長に就任した橋本聖子氏(本人の公式サイトより)
    組織委の会長に就任した橋本聖子氏(本人の公式サイトより)
  • 組織委の会長に就任した橋本聖子氏(本人の公式サイトより)

「ママのところに来なさい」という思いのキス

   五輪組織委の新会長に選ばれた橋本聖子氏(56)は2月18日16時、就任の挨拶に臨んだ。

「身の引き締まる思いであります。東京五輪は男女平等を理念にしております。理事会の女性比率の向上に取り組むチームを立ち上げることが決定していますが、今月内にしっかりと体制を打ち出していきます。何よりコロナ対策を優先させて、安心・安全な大会を目指します」

と挨拶を述べた。

   「密室人事」「不透明すぎる」と内部からも批判があったのに、実際の理事会は数分もしないうちに終了。外にいた報道陣が中に入るのに手間取り、橋本氏の挨拶開始に間に合わない者もいたほどの早さだった。

   それにしても、逆風の中での船出だ。この日、橋本聖子氏の7年前の「セクハラ事件」を取り上げた週刊文春(2021年2月25日号)が発売されたからだ。「高橋大輔『キス強要』橋本聖子はセクハラ常習犯」という見出しの記事は、「キス強要シーン」の写真付きで、こう報じている。

橋本聖子氏のセクハラ問題を報じる週刊文春(2021年2月25日号)
橋本聖子氏のセクハラ問題を報じる週刊文春(2021年2月25日号)
《ソチ五輪閉会式を終えた2014年2月24日深夜2時。JOC(日本オリンピック委員会)スタッフらによる打ち上げパーティー。前代未聞の事件が始まる。27歳だったフィギュアの高橋大輔選手を一人の女性がパッと抱き寄せ、(いいじゃない)と言わんばかりにキスをし始めた。選手団団長の橋本聖子氏だった。当時、日本スケート連盟会長、JOC常務理事、選手強化本部長もかねる権力者だ。対する高橋選手は、JOCから支援を受ける現役選手。立場を利用したセクハラ・パワハラ行為と指摘されても仕方ない》
《嫌がるように身をよじる高橋選手。それでも最後は観念せざるを得なかったのか、キスを受け入れた。そのキスは1回、2回ではなく、執拗に繰り返された......》

   そして、週刊文春はこう続ける。

《橋本氏は周囲に「頑張った息子に、ママのところに来なさい、という思い。最初は嫌がっていたが、その後はそんなことはなかった」と語っている。しかも、彼女の「セクハラ行為」はこれだけではなかった――。泥酔した時の「セクハラ行為」。元同僚の女性議員は「聖子さんはキス魔。女子会でもあると、みんなにキスを迫る。鍛えているから羽交い絞めにされて」......》

   さっそく、橋本聖子氏が森喜朗氏の後任に浮上した2月15日頃から、海外メディアがその動きを伝えつつ、橋本聖子氏の人となりの紹介記事の最後には決まり文句のように「男子フィギュアスケート選手へのSexual harassment(セクハラ行為)が日本の雑誌に報道された」と書かれた。AFP通信、米紙ワシントン・ポスト、米紙スター・トリビューン、中国スポーツメディア新浪体育......など。

IOCもセクハラ報道を把握し、難色を示している

   日本の共同通信が海外に配信する英語版記事でも、ソチ五輪での出来事が触れられている。だから、海外メディアが橋本氏のプロフィールを書くときは、共同通信を参考にすることが多いから、「セクハラ問題」が盛り込まれやすい。何よりまずいのはIOC(国際オリンピック委員会)の委員がよくチェックすると言われる五輪ニュース専門サイトの「インサイド・ザ・ゲームズ」でも橋本氏の「黒歴史」を取り上げたことだった。

過去のセクハラ事件を報じるAFP通信(2月17日付)
過去のセクハラ事件を報じるAFP通信(2月17日付)

   このことが世界に拡散して、「女性差別発言」の森喜朗氏の後任者が「男性差別主義者」の女性会長か、と指弾されては、コントのオチにもならないではないか。じつはIOCも橋本氏の「セクハラ問題」には懸念を抱いていると、朝日新聞(2月18日付)「後任選び刷新感重視 五輪組織委会長巡り検討委」が報じている。

「2014年のソチ五冬季五輪閉会後、フィギュアスケートの男子選手に無理にキスをしたと週刊誌に報道されたことに再び注目が集まることを、橋本聖子氏は嫌がっていたという。IOCも過去の週刊誌報道を把握し、難色を示しているとの見方も関係者の間にあった。(そんな問題があったにもかかわらず)橋本氏に一本化する方向で最終調整に入ったのは、候補者選考の検討委員会の座長を務めた御手洗冨士夫・組織委名誉会長が、橋本氏にこだわったという」

(福田和郎)

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