2021年 4月 15日 (木)

東芝経営陣の正念場 「物言う株主」が揺さぶる「不利益な議決権行使」の実態解明のゆくえ

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   東芝が2021年3月18日に開いた臨時株主総会で、昨夏の定時株主総会が公正に運営されていたかを調べるよう求めた旧村上ファンド系の投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が提出した議案が賛成多数で可決された。

   日本の大企業の株主総会で、経営陣が反対する株主提案が可決されるとのは異例。東証上場維持のための巨額増資で大株主となった「物言う株主」との対話に失敗した形で、体制をどう立て直すか、東芝経営陣は大きな課題を背負った。

  • 「物言う株主」が揺さぶられ、東芝経営陣は正念場を迎える……
    「物言う株主」が揺さぶられ、東芝経営陣は正念場を迎える……
  • 「物言う株主」が揺さぶられ、東芝経営陣は正念場を迎える……

東芝が不当な圧力 議決権行使を断念?

   東芝は不正会計と米原発子会社の経営破たんで債務超過に陥り、東証の上場廃止の危機に直面したことから、2017年に6000億円の巨額増資を実施し、上場を維持した。この時、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントなど「物言う株主」を含む、海外投資ファンドなどが増資を引き受けた。

   外国人の株主比率は2020年5月時点で計約63%にのぼり、エフィッシモは東芝株の株式の1割弱を握る筆頭株主だ。

   臨時総会にはエフィッシモのほか、別の米系の「物言う株主」が、資本政策を変更する際に株主の了承が必要とする定款の新設を求める提案もしたが、こちらは否決だれた。

   では、エフィッシモの提案を詳しく見てみよう。問題になったのは2020年7月の定時総会だ。議決権行使書の集計を委託した三井住友信託銀行が不適切な処理をしたため、議決権の一部が反映されなかったことが後日、明らかになった。同行の不手際は東芝に限ったものではないが、東芝では経営側と「物言う株主」が激しい攻防を繰り広げていたことから、問題が大きくなった。

   その総会についてはJ-CASTニュース(「選任賛成率、異例の『57.96%』物言う株主に悩まされる東芝・車谷社長のかじ取り」 J-CASTニュース 2020年8月25日付)でも報じたが、役員選任議案で、車谷暢昭(のぶあき)社長兼最高経営責任者(CEO)の賛成が57%と、過半数を辛うじて上回るにとどまったこともあり、エフィッシモが問題視。東芝は再集計したうえで、議案の可否に影響はなかったとして、「社外取締役4人で構成された監査委員会による調査を行ったが疑惑は見つからなかった」と結論づけた。

   これに対しエフィッシモは「説明のつかない不自然な点が存在している」などと反発。一部の株主が東芝から不当な圧力を受け、議決権行使を断念したと主張し、調査を求めて臨時総会の招集を要請した。

   今回の可決により、会社から独立した弁護士3人が「3か月以内に調査し報告」するとされており、6月開催予定の定時総会が再調査を経た「決戦場」になる。

「株主軽視」の姿勢 東芝経営陣に批判

   エフィッシモの提案については、事前に米国のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズなど議決権行使助言会社2社が賛成を推奨していたことから、一定の支持を集めるとはみられていた。実際に、エフィッシモの発表によると、米大手機関投資家のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)、フロリダ州の退職年金基金を運用するステート・ボード・オブ・ アドミニストレーション(SBA)が、同ファンドの提案に賛成票を投じたという。東芝経営陣の株主軽視とも見える姿勢への批判がある程度広がったといっていいだろう。

   再調査はどうなるのだろうか――。

   2020年7月の株主総会については、「当時の経済産業省参与が、東芝に不利益な議決権行使をしないよう圧力をかけたとの報道があった」(エフィッシモ)というように、経産省も絡んでの実態解明が焦点になりそうだ。

   じつは、この総会は、安全保障に関わる日本企業への外資規制を目的に、6月に改正外為法が全面適用されてから最初の総会だった。東芝も同法の対象なので、エフィッシモの投票が株主総会前日まで承認されなかった。同法に基づく事前審査が長引いたためとされるが、「エフィッシモが提案していた社外取締役候補を否決できるか、ぎりぎりまで見極めたうえで承認したのではないか」との見方が関係者のあいだでささやかれた。

   経産省と関係があるかは不明だが、東芝の内部調査では、大株主の1社が「ある人物から接触があり議決権を行使しなかった」と回答したことも明らかになっている。この「人物」は特定されていないという。東芝は「会社としてこの問題に関与していない」として、「ある人物」とは無関係だから問題はないとの姿勢だが、独立した弁護士の調査で、こうした点も含め、どんな事実が飛び出すのか、注目される。

   多くの株主は、きちんと利益を上げ、配当し、あるいは株価を上げてくれれば満足する道理で、実際に東芝は半導体事業や米国の液化天然ガス事業、家電、パソコン事業を売却、再生可能エネルギーに積極投資するなど、事業再構築に着々と取り組んできた。

   この1月には東証1部に復帰を果たしたところだけに、臨時総会の議決で、経営陣としては出端をくじかれた形。裏を返せば、物言う株主との関係を「甘く見ていた」ともいえる。

   調査結果により、車谷CEOのリーダーシップへの疑念が高まり、定時株主総会で車谷氏の取締役再任をめぐり再び経営陣と物言う株主が対決する展開も予想される。東芝の現体制は正念場を迎えることになる。(ジャーナリスト 済田経夫)

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