2024年 4月 27日 (土)

「第4波」感染列島なのにスポンサー主導の「聖火」に怒り 患者急増の大阪で中止に追い込まれる?(1)

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   新型コロナウイルスの感染拡大が全国で止まらない。大阪府では2021年3月31日、新規感染者数が599人と第3波のピークとほぼ同じ状況に達した。

   吉村洋文大阪府知事は、緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策が可能になる「まん延防止等重点措置」(通称:マンボウ)の適用を政府に求め、菅義偉首相も4月1日に認める。マンボウの適用は全国初だが、宮城、沖縄、兵庫、山形などにも追随する動きがある。

   そんななか、福島、栃木、群馬で「密」を生み出している聖火リレーに批判が殺到している。中止か、続行か――。

   五輪組織委員会側は、

「県民の健康を預かる知事にご判断をいただきたい」

   と、通過する都道府県の知事に下駄を預けた形だが、最後まで続けられるのか?

  • 聖火リレーの第一走者の元なでしこメンバー(東京五輪組織委公式サイトより)
    聖火リレーの第一走者の元なでしこメンバー(東京五輪組織委公式サイトより)
  • 聖火リレーの第一走者の元なでしこメンバー(東京五輪組織委公式サイトより)

第3波のピークに近づいた関西圏

「まん延防止等重点措置」の要請を決めた吉村洋文知事
「まん延防止等重点措置」の要請を決めた吉村洋文知事

   爆発的な感染が広がっている大阪府では3月31日、新型コロナウイルスの新規感染者数が599人に達した。これは東京都の414人を大きく上回る。大阪府で500人以上の感染が確認されるのは1月23日以来だ。

   また、隣接する兵庫県も同日、新たに211人の感染が確認された。こちらも1日の感染者数が200人を上回るのは231人だった1月28日以来、約2か月ぶりだ。ともに第3波のピークに戻り、関西圏のリバウンドがはっきりした形だ。

   大阪府の吉村洋文知事は同日、対策本部会議を開き、緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にする「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請することを決めた。

   またこの日、青森県も過去最多の81人、宮城県でも過去最多の200人と東北地方にも第4波が広がった。感染の再拡大が全国に広がっている。朝日新聞(3月30日)「『第4波』知事に危機感 大阪『今週が山』宮城『病床、余裕ない』」では、大阪府の吉村洋文知事だけではない、感染のリバウンドに危機感を表明した知事たちの声を、こう紹介した。

愛知県・大村秀章知事「間違いなくリバウンドに入った」
兵庫県・井戸敏三知事「警戒水域をもう超えているかもしれない」
愛媛県・中村時弘知事「この1、2週間がヤマだ」
沖縄県・玉城デニー知事「第4波が到来したと言わざるを得ない」

   そして、こう続ける。

「宮城県の村井嘉浩知事も3月29日の会見で『仙台圏では病院のベッドがほとんど埋まり、余裕がない』と警鐘を鳴らした。東京都でもリバウンドの傾向は明らかだ。『ワクチンがない状況でどうこらえていくのか。重要な時期だ』と小池百合子知事は語った」

増加中の変異ウイルス、なぜ東京は少ない?

感染が急拡大している大阪(写真は、大阪のシンボル通天閣)
感染が急拡大している大阪(写真は、大阪のシンボル通天閣)

   それにしてもなぜ、急拡大に入ったのか――。変異ウイルスの強い影響が考えられるが、どのくらいの割合でまん延しているのか、これから調べようというありさまだ。

   日本経済新聞(3月30日付)「自治体、変異型封じ急ぐ 北海道や沖縄、陽性者全員検査」では、やっといくつかの自治体が変異ウイルスの検査に取り組み始めたことを、こう伝える。

「政府はこれまで5~10%だった変異ウイルスのスクリーニング検査の実施率を40%に引き上げる目標を掲げている。北海道や沖縄などは、これを100%とすることで、可能な限り『見落とし』を防ぎたい考えだ」

   このほか、山口県や沖縄県でも陽性者全員にスクリーニング検査を実施。福岡県では、実施率を5割にアップ。栃木県が国立感染症研究所にゲノム分析を依頼してきたが、時間がかかるため独自に実施することを決めた。

   日本経済新聞が続ける。

「しかし、大都市圏ではスクリーニング検査に必要な十分な検体を確保できないケースもある。大阪府の担当者は『1万件以上の検査と40%のスクリーニング検査を両立させることは難しい』と話す」

   特にお粗末なのが、東京都の実態だ。先駆的に変異ウイルス検査を続けている神戸市では、全感染者の6割近くが変異ウイルスと判明しているのに、なぜ東京都で変異ウイルスが異常に少ないのか。

   テレビ朝日のニュース(3月30日)「感染拡大『変異ウイルス』増加...なぜ東京は少ない?」が、こう伝える。

「鳥取県倉吉市では、変異ウイルスクラスターが発生した。平井知事は『倉吉市の会社の社員寮で、11名の感染が明らかになった。調査をしているところ、すべて変異株陽性とした』と述べた。和歌山県は、3月29日までの1週間に確認された感染者のうち、64%から変異ウイルスを検出したと発表した。直近1週間の変異ウイルスの割合は、3月15日時点で25%だが、22日には40%、26日には63%にまで上昇していた」

   変異ウイルスを見つけ出すには、陽性の検体をもう一度PCR検査し、さらに全遺伝情報を解析するゲノム解析を行う。鳥取県と和歌山県では、すべての検体で、これを行っている。神戸市では11月下旬から新規感染者の60%に変異ウイルスの検査を実施している。これまでに兵庫県の変異ウイルスは182例。一方、東京都は41例と、かなり少ない数字だ。これは、東京が10%程度にしか変異ウイルス検査を実施していないからだ。いったい、なぜ検査しないのか。

   テレビ朝日が続ける。

「神戸市では以前から、ゲノム解析を一括で行う市の研究施設と病院とのあいだで連携する体制が整っていたため、多くの検査をこなすことが可能となっている。一方、民間の検査機関が多い東京では、神戸のように効率よく検体を集めるシステムがないため、急に検査数が増やせない。小池百合子知事は『東京の場合は民間病院や民間の検査数が極めて多い。いわゆる自由診療もその中に入るが、検体を届けていただくなど、そういう協力が必要。それは、おびただしく多い。そういう方々に協力を引き続きお願いしていく』と語る」

   そして、東京都の担当者はテレビ朝日記者に、こう吐き捨てたのだった。

「(変異ウイルス検査数を10%から40%に引き上げる国の方針について)40%という数字に科学的根拠はない。政治的に、たくさんやっているように見せたいだけではないか。国が言うからにはやらざるを得ないが、大都市で40%は難しい」

   【追記 2021年4月1日】
※ 新型コロナウイルスの感染急拡大を受けて、大阪府の吉村洋文知事は4月1日、東京五輪の聖火リレーについて「大阪市内では中止すべきだ」との考えを示した。大阪市の松井一郎市長も同日の記者会見で「大変残念だが、聖火リレーは見合わすべきと思う」と述べた。

(福田和郎)

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