2024年 4月 25日 (木)

汚染処理水の海洋放出  原発推進派と反対派それぞれの言い分

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「朝日、毎日、東京」VS「読売、産経、日経」

   風評被害への懸念、政府の丁寧な対応を求める点では、全紙が一致しているが、各社の原発へのスタンスの違いを反映し、トーンは差が出た。

   まず紙面展開を見ておくと、5紙が1面トップ。日本経済新聞だけは左肩の準トップ(トップは東芝社長辞任)と、いずれも大きく扱い、2~3面、社会面などにも関連記事を掲載する「大展開」になったのは当然だ。

   見出しは、脱原発を唱える朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の3紙は、「政府『安全』 不安拭えず」(東京)など政府の決定に批判的で、「風評懸念 漁業者反発」(毎日)など漁業者の不安、反対を強調。朝日新聞は、原発取材センター長の署名の囲み記事で「唐突な政治判断 地元反対押切」を切り捨てた。

   これに対して原発容認・推進3紙では、日本経済新聞が「福島第1廃炉へ一歩」と最大限の肯定的な見出しをとったほか、読売新聞、産経新聞は「飲料基準以下に希釈」(読売)など、政府の安全PRを積極的に見出しに取った一方、漁業者らの不安は触れる程度。産経新聞は「全漁連『遺憾』」と、ベタ(1段)の小見出しをとったが、「極めて遺憾であり、到底容認できるものではない」という全漁連の会長声明から一番弱い単語を抜き取った形で、「漁業者は抗議」(東京)、「漁業者反発」(毎日)とした2紙とのコントラストが際立った。

   「社論」を表明する社説(産経は「主張」)では、5紙が14日朝刊で、産経は正式決定前の11日に取り上げた。

   脱原発3紙は「見切り発車は許されない」(東京)「『保管場所がなくなる』との理屈で一方的に押し通そうとする手法には、誠実さがうかがえない」(毎日)「理解を得ぬまま放出することなく、対話を尽くす責務がある」(朝日)と、そろって批判する。

   具体的には、「2015年に当時の経済産業相が『関係者の理解なしには海洋放出は行わない』と約束」(毎日)、「東電は15年に福島県漁連に「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と文書で回答している」(東京)ことなどを指摘し、約束違反だと断じるとともに、「『風評という課題に対して、できることを全力でやる』と、小泉進次郎環境相は言う。しかし、具体策は示していない」(東京)など、政府の努力不足も指摘する。

   さらに、東電に対し、「高濃度汚染水を海に流したり、地震計を壊れたまま放置したりする不祥事を重ねてきた。柏崎刈羽原発ではテロ対策の不備も発覚した。事業者としての能力が疑われている」(毎日)などと、事業者としての適格性にも大きな疑問符を付けている。

   このほか、「新たなタンクを設けるなど、さらに貯蔵する余地はないのか」(朝日)、「海洋放出以外の代替策の検討が尽くされたのか、疑問視する声もある」(毎日)と、海洋放出以外の方法もさらに検討すべきだとも指摘している。

   以上3紙の指摘は、程度の差こそあれ、少なからぬ国民が感じる疑問をほぼ網羅しているといえるだろう。

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