2024年 4月 19日 (金)

これから米国株を始めるならコレ! 週刊ダイヤモンドが指南 エコノミストは「狙える不動産」【ビジネス誌 読み比べ】

   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスマンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   「週刊ダイヤモンド」(2021年5月22日号)の第1特集は、「厳選! 買える! 米国株 最新決算! 最強株」と題したカブ特集だ。日米共に株価は高値圏にあるが、乱高下に翻弄され、株高を享受できていない個人投資家も目立つ。最新決算を踏まえた今後の投資戦略と「強い」株を紹介している。

  • 「週刊エコノミスト」は「狙える不動産」がテーマ(写真はイメージ)
    「週刊エコノミスト」は「狙える不動産」がテーマ(写真はイメージ)
  • 「週刊エコノミスト」は「狙える不動産」がテーマ(写真はイメージ)

株式は「金融相場」から「業績相場」に移る転換期

「週刊ダイヤモンド」2021年5月22日号
「週刊ダイヤモンド」2021年5月22日号

   総論として、株式市場が「金融相場」から「業績相場」へ移りつつあることを挙げている。「業績の強弱へ素直に株価が反応する傾向が見られた」というJPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストの分析を紹介。最新決算を踏まえて、「勝ち抜ける優良株を探し出せ」と檄を飛ばしている。

   パート1の「最新決算で選んだ最強の日本株」では、マーケットコメンテーターの岡村友哉氏が選んだ、次の15銘柄を紹介している。

双日、ZOZO、ニッポン高度紙工業、シーティーエス、コマツ、日立製作所、JVCケンウッド、富士通、アドバンテスト、デンソー、エンプラス、東京エレクトロン、野村ホールディングス、東日本旅客鉄道、商船三井

   業績堅調で、株価に出遅れ感のある銘柄だという。

   小売り&外食業界はエポックメイキングな企業が登場するとして、旧スシローグローバルホールディングスのFOOD & LIFE COMPANIESに注目している。回転寿司では店舗数が一番多く、売上高営業利益率も一番高く、DX(デジタルトランスフォーメーション)投資も積極的だ。都市部への出店加速が見込まれ、新しい成長のステージに入ると予測している。

   パート2の「株価10倍高も狙える厳選米国株」では、これから挑む人が押さえるべき、米国株入門3つのポイントを解説している。

   1つ目は、米株式市場が日本同様に「金融相場」から「業績相場」に移る転換期を迎えていること。

   2つ目は「金利」の行方を注視すること。GAFAなどのグロース株(成長株)と銀行、石油などバリュー株(割安株)に大別されるが、「景気が不況から回復に向かう際は金利が上がりやすい。その際、グロース株よりバリュー株のほうが強くなる」という大まかな関係性があるそうだ。

   3つ目は、投資の時間軸を意識すること。米国株に詳しい4人の専門家が、短期、中期、長期の時間軸で投資戦略を指南している。

   ウォーレン・バフェット氏やジョージ・ソロス氏ら5人の大物投資家の運用先を分析したグラフも興味深い。バフェット氏は優れた銘柄を永続的に持ち続ける「長期厳選投資」が基本だが、米アップルだけは例外的存在だという。直近で運用先の4割超を占める最大の投資先になっている。他の4氏もアップル株を投資先上位に組み込んでおり、「カネのなる木」にしていた。

   米ベンチャー投資家の山本康正氏が注目する7社も紹介している。ウォルマート、ペイパルHD、アドビ、セールスフォース・ドットコム、スノーフレーク、クラウドストライク・HD、オクタだ。山本氏はビジネスモデルと経営者に着目して、これらの7社の成長期待が大きいと推奨している。

   このほかにも多くの米国株の厳選リストが掲載されている。これから米国株を始めてみようという人には懇切丁寧な内容になっている。

素早く稼げる労働事件のカジュアル化が弁護士界のトレンドに

   週刊ダイヤモンドの特集2は、「社長が知るべき!労働法の新常識」。2020年4月の民法改正により、「賃金請求権の消滅時効」が延長されたことで、労働者から過去の残業代を一気に請求される可能性が出てきた。弁護士が扱う労働事件のうち、「残業代未払い」に関するものが最も相談数が多いという。

   賃金請求権の消滅時効が5年に延長されたが、賃金の支払いにおいては労働基準法が適用され、消滅時効期間は5年ではなく、当面は3年となる。そのため、昨年から数えて3年後、今から2年後の2023年4月以降は3年分の残業代を、労働者にまとめて請求される可能性がある。過去の判例や最新の対応策を解説し、危機を脱出する方法を指南している。

   さらに、経営者を困らせる「モンスター社員」(そもそも、払うべき残業代をきちんと払えば、そうはならないが......)に対応する方法として、問題社員に日報を書かせることを提案している。

   今、弁護士業界では労働事件が流行しているという。その背景には訴訟しなくても手堅く素早く稼げる労働事件の「カジュアル化」があるそうだ。消費者金融過払い金請求、B型肝炎賠償金請求などに次ぐトレンドとして、労働事件が浮上しているというのだ。

   働いている人がいる限り、労働事件のタネは尽きない。経営者、労働者双方に労働法への理解が求められている。

東洋経済は次の成長事業が不透明な「東芝」を特集

「週刊東洋経済」2021年5月22日号
「週刊東洋経済」2021年5月22日号

   「週刊東洋経済」(2021年5月22日号)の第1特集は、「漂流する東芝 舵取りなき12万人の悲運」。車谷暢昭社長CEOの電撃辞任に揺れる東芝の内情をリポートしている。

   同誌は東芝には3つの課題があるという。1つは大株主との関係だ。ファンドからの買収提案に応じ、非公開化するか、上場を維持しても「モノ言う株主」との対立を解消する必要がある。2つ目はポスト車谷体制だ。執行役員クラスに有力な候補がおらず、緊急再登板の綱川智社長の「次」が見当たらない。3つ目はガバナンス強化と成長戦略の構築だ。

   車谷社長辞任の一部始終など舞台裏を明かした記事が続く。人物相関図のチャートなどは興味深いが、正直言って食傷ぎみだ。それよりも、車谷体制で不採算事業からは撤退したが、次の成長事業が不透明だという指摘が興味深かった。

   2020年3月期の部門別営業利益では、上下水道・鉄道などのインフラが477億円で最も多く、次いで発電設備などのエネルギーが318億円、昇降機・空調・照明などビルが291億円となっている。リストラによって経営再建は見た目には果たせたが、再成長には高いハードルがある、と結んでいる。

   第2特集は「アパレル人材サバイバル」。コロナ禍で多くのアパレル企業が店舗の大規模な撤退を迫られている中、SNSを活用したブランドの情報発信力が求められている。ネット通販(EC)と店舗でも高い能力を発揮できる人材の養成が急務だ。

   ショッピングセンターを中心に約130店舗を持つアダストリアの福田三千男・会長兼社長は「お似合いです、と言うだけの販売員はもう必要ない」として、残ったリアル店舗はブランドを発信する役割が主体となり、ブランドについて全部を理解しているスタッフが求められるようになる、と語っている。

   今までは何も勉強しなくても販売員になれてしまう側面があったが、これからは商品の価値や作り方、マーケティングのあり方まで理解できるようにしていかないといけない、と販売職の人材育成の必要性を指摘している。

個人投資家が押し寄せる? 不動産クラウドファンディング

「週刊エコノミスト」2021年5月25日号
「週刊エコノミスト」2021年5月25日号

   「週刊エコノミスト」(2021年5月25日号)の第1特集は、「狙える不動産」。国内外からマネーが流れ込み、不動産の大型物件の売買が活性化している近況をリポートしている。クラウドファンディング(CF)を活用する新規事業者も増え、個人投資家のマネーを呼び込んでいるという。

   従来、個人の不動産投資は賃貸用マンション・アパートかJ-REIT(上場不動産投資信託)くらいだったが、不動産CFに投資する個人投資家が増えているのだ。不動産CFの件数や出資募集額はそれぞれ2019年度に前年比4倍、2.7倍へと急増している。

   投資を検討する際には、事業者の信用力や不動産の目利き力があるかどうかを確認するよう、呼び掛けている。

   コロナ禍による本社ビルの売却の動きやコロナ禍で苦境に陥っている運輸や宿泊業者が不動産を軸にビジネスモデルの変革に取り組んでいることを報告している。JR東日本は不動産アセットマネジメント事業会社を設立し、グループ所有不動産を組み入れて私募ファンドを組成し、数年間で1000億円規模を目指している。また、JR西日本は物流施設開発を進めて不動産事業を拡大している。

   第2特集は「おもしろ新発見 密にならないレジャー」。「3密」を避けるために、キャンプや釣り、自転車、ボートが一大ブームになっていることを紹介している。

   移動・宿泊・仕事と多用途に利用できるキャンピングカーの販売総額は2019年に526億2577万円と過去最高を記録したが、コロナ禍でさらに増加傾向にあるという。600万円~800万円がボリュームゾーンと通常の自家用車よりも高めなので、1日1万~3万円のレンタルやシェアリングからの利用を勧めている。(渡辺淳悦)

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