転職サイト「ビズリーチ」の調査によると、転職希望者(求職者)の6割が、明確な転職意向が固まっていない段階で、ヘッドハンターに相談するケースが「増えた」と答えていたことがわかった。2021年5月26日の発表。先行き不透明なコロナ禍が、転職市場にどう影響しているかを知ろうという、ビジネスパーソンのセルフキャリアマネジメント意識が高まっているという。自身の市場価値を上げるための足掛かりを模索調査は、ビズリーチに登録するヘッドハンターを対象に聞いた。1年前と比べて求職者の傾向の違いについて、「明確な転職意向が固まっていない段階での相談が増えた」が62.2%で最も高かった。2位の「待遇(ポジションや給与)を重視する傾向が高まった」は39.7%で、その差は20ポイント以上あった。「主体的なキャリア形成の意識が高まった」(28.6%)や「日系大手企業に勤務する求職者からの相談が増えた」(14.3%)という回答も少なくなかった=下のグラフ参照。ビズリーチは、「ビジネスパーソンが自身のキャリアの選択肢や可能性を広げるために、転職意向を固める前から、中長期的に活動をしていることがわかる。また、自身のキャリアを主体的に構築していくための、セルフキャリアマネジメント意識が高まっていることがうかがえる」と指摘した。求職者からの相談はどのような内容が多いか、との問いには、「会社の将来に不安がある」が73.3%、「業界自体の将来に不安がある」が44.7%で、長引くコロナ禍で、経済状況が不透明となり多くのビジネスパーソンが不安を抱えていることがうかがえる。不安を払拭するため、求職者は「ヘッドハンターへの相談を通じて、自らの市場価値を知ったり、キャリアの選択肢を把握したりすることで、市場価値を上げるための足掛かりをつかみたいと考えている」と、ビズリーチは推測している。長引くコロナ禍にあっても、転職を成功させているビジネスパーソンはいる。ヘッドハンターの目に、その特徴はどう映っているか聞くと、多くのヘッドハンターが「自己理解ができていること」を挙げた。具体的にみると...・自分のできることや今後どうなりたいかを俯瞰し、それを第三者に伝えることができる人物・今までの経歴における成功要因の棚卸しができていること・以前より自身のやりたいことが明確になっていて、転職活動の軸がぶれていないなどだ。また、「求職者へのアドバイス」を求めた中では、「転職意向の有無にかかわらず、ご自身の環境に応じてキャリアの棚卸しを行うことにより、良い働き方が実現できます」と、自身の経験やスキルを振り返り、自己理解を進める「キャリアの棚卸し」が有効であるとの指摘もみられた。さらに、今後3か月で企業の中途採用活動がどうなると思うかを聞いたところ、「活性化する」(27.4%)と「どちらかといえば活性化する」(54.7%)を合わせ、82.1%が「活性化」すると予測した。なお調査は、2021年4月15~21日に実施。602人のヘッドハンターから有効回答を得た。同社によると、21年1月末時点で、約4600人のヘッドハンターが登録している。
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