2024年 4月 19日 (金)

男性の子育て促進に「男性の産休」を新設 法改正で企業に取得働きかけの義務

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   子どもの誕生直後に父親が最大4週間の「産休」を取れる制度などを盛り込んだ改正育児・介護休業法が2021年6月3日の衆院本会議で成立した。

   これまでも企業で働く男性のほとんどは育児休業を取得することができたが、取得率は低い状態が続いており、テコ入れした。

   新しい法律では、企業に対して従業員の育休取得の働きかけを義務付けるなどして取得率の向上を図っている。夫婦が協力して子育てに取り組める環境作りを強化することで、出産を前向きに考える夫婦が増えること(少子化対策)が期待されている。

  • 男性にも「産休」が認められるように…
    男性にも「産休」が認められるように…
  • 男性にも「産休」が認められるように…

2022年10月スタート

   男性の育児休業をめぐっては、2009年6月に成立した改正育児・介護休業法で取得条件の緩和を定めてから取得率は少しずつ向上しているが、歩みは遅い。2010年度の取得率は1.4%から13年度に2.0%となり、16年度に3.2%。その後、17年度5.1%、18年度6.2%となり、19年度は7.5%だった。

   女性の育休取得率は80%台が続いており19年度は83.0%。政府は今回の法改正をテコに、男性の育休取得率を25年度に30%に引き上げることを目標にしている。

   改正の大きなポイントの一つは、子どもの誕生から8週間を対象に最大4週間の育休を取得できる「出生時育児休業」制度の新設だ。女性の産後休暇期間に、男性も現行の育児休業以上に柔軟で取得しやすい休暇制度を、と設けられた。このため法案のうちから報道などで「男性版産休制度」と呼ばれるようになった。

   従来の育休制度では、原則として休業開始の1か月前までの取得申請が必要。この場合、仮に出産時期が早まった際、男性には「子どもが生まれてもすぐに休暇を取得できない」といった問題が生じることがあり、その解決策として考えられた。男性版産休制度のスタートは22年10月。

パタハラの歯止め役に

   大きなポイントのもう一つは、企業に対して、妊娠や出産を申し出た従業員(男女とも)に育休取得の働き掛けや制度の説明をしたりすることを義務付けること。企業がこれらの働きかけを怠った場合には社名を公表することがある。男性が育休の取得を前向きに検討できるよう職場環境を整備するのが狙い。これまでの状況から必要な情報提供と取得奨励を行う必要があると考えられたためだ。

   厚生労働省が2021年4月に公表した「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書によると、過去5年間に育休を取得しようとした男性のうち26.2%と4人に1人の割合で「パタニティーハラスメント(パタハラ)」被害に遭っていたことが判明。その原因になったことは、育休取得が49.6%とほぼ半数で、次いで「残業免除、時間外労働・深夜業の制限」を求めたことが38.9%。制度があっても利用しにくい現状が示された。

   ハラスメントは、「上司による、制度等の請求や利用を阻害する言動」(53.4%)が最も高い割合。次いで「同僚による、繰り返しまたは継続的に制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する言動」(33.6%)だった。報告書によると、こうしたパタハラ経験者の42.7%が育休の利用をあきらめた経験があった。

   新しい法律による取得働き掛けの義務付けは22年4月から。23年4月からは、従業員が1000人を超える企業には、男性の育休取得率を毎年公表するよう義務づける。

「現実とはまだギャップ」との指摘も

   政治・行政側からの育休取得促進の働きかけに対して、企業の間にも呼応した動きが強まっている。働き方改革などのコンサルティングを手がける株式会社ワークライフ・バランスは2021年3月、同社が取り組む「男性育休100%宣言」企業が100社になったと発表した。

   だが、ネットに寄せられた声は、法改正もまだまだ現実とのギャップがあることを指摘したものが少なくない。

「産休育休中の子供の世話ももちろん大変なんだけど、それ以上に女性がキャリアから弾かれてるのは、子供都合の(突然の)休みや、時間外の対応や、その他書類、申請、外注案件の管理などなどの『育児』の名の下に女性に押し付けられている雑務のせいなんやわ。 男性産休だけで満足しないでほしい」
「男性産休の改正法案が成立しましたね。 男性は従来の育休に加え、子の誕生後8週間まで最大4週間の育児休業を取得できるようにすると言ったもの。 仕事、給料を考えると取得に躊躇いがでてしまうものですよね。 世の男性も休めるなら休みたいですよね? 女性目線でも休めるなら休んでもらいたいですか?」
「男性産休制度も悪いわけじゃないんだけど結局今の若者世代はただ単に金がないのが1番の問題だと思うんですよ 若者の〇〇離れも同じで要はそれに使う金がないからだと思うんですよ 物価ばっか上がって給料上がんない世代だもん そりゃ日常生活でいっぱいいっぱいになりますわ」
「子育てへの経済的不安が一番出産の足かせになっていると言っておきながら、産休を伸ばすって矛盾してない? 休みの間、所得33%減るのに? 産休使って、子育てないがしろにして、副業しろってこと? そもそも、休めるから生もうとはならんでしょう。海外のように、手当てを増やして下さい」

   休業取得が容易に、というだけでは不十分と考える人が多いようだ。

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