2024年 4月 19日 (金)

ワクチン職域接種中止! 菅首相の悪癖「アクセル踏んで急ブレーキ」に企業の怒り炸裂(2)

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   東京五輪・パラリンピックの強行に向け、菅義偉政権が新型コロナウイルス対策の決め手として始めたワクチンの職域接種が、わずか1週間で新規受付の中止に追い込まれた。

「あまりに多くの企業から申し込みが殺到して、ワクチン供給が追い付かなくなった」

というのが理由だというが......。

   アクセルを踏めるだけ踏んで急ブレーキをかける。菅義偉政権の悪い癖がまたでたようだ。

「尻を叩くだけ叩いてせかされたうえ、ハシゴを外された」

という怒りの声があふれている。

  • 職場でワクチンを打つ女性(イメージ)
    職場でワクチンを打つ女性(イメージ)
  • 職場でワクチンを打つ女性(イメージ)

飲食業の人々に打ってもらいたかった

   大混乱する職場でのワクチン接種に、各地で怒りの声が起こっている。

   関西の中小企業連合が初めて職域接種に取り組んだ大阪府岸和田市の困惑ぶりをNHKニュース(6月29日付)「大阪・岸和田市の商工会議所 会員企業対象にワクチン接種を開始」が、こう伝える。

「大阪府岸和田市の商工会議所が職域接種を6月29日から始めた。日本商工会議所によると、会議所が行う職域接種は、関西では初めて。中小が中心の約1900の会員企業に参加を募ったところ、これまでに約350社から6300人分の申し込みがあった。会議所のビルにある会議室で約400人がワクチンを接種した。同会議所は、希望者全員への接種を8月末までに終えたいとしているが、確保できているワクチンは約5000人分で、不足分の確保のめどは立っていない。同会議所の中井秀樹会頭は『中小零細企業はかなり疲弊している。できるかぎり早く接種を終えて、一日でも早く安心を届けたい』と話していた」

   三重県では、コロナに苦しむ飲食店を中心とした中小企業の職域接種に暗雲が立ち込めた。NHKニュース(6月29日付)「三重・中小企業団体 職域接種のワクチン、供給予定は10分の1」がこう伝える。

「中小企業の経営者でつくる『三重県中小企業家同友会』は、会員企業の従業員など合わせて1000人(2000回分)を対象にした職域接種の実施を国に申請した。しかし、現時点でワクチンの供給スケジュールが示されたのは、最初の200回分だけで、必要な量の10分の1にとどまる。同友会では飲食業などで働く人にも職域接種への参加を呼びかける予定だったが、今後、どのように接種を進めていくか不安を抱えている。職域接種の会場となる高齢者施設を経営する浜中俊哉社長は『ワクチンが全員に届かないとなると心苦しい』と話す」

   こうした政府の姿勢に怒りをぶつけるのが、山梨県の長崎幸太郎知事だ。読売新聞(6月25日付)「山梨知事『早い者勝ちの状態、戦略ないまま走った』...接種申請の受け付け中止に苦言」が、こう伝える。

「政府が職場接種や自治体が設ける会場の申請受け付けを一時中止すると表明したのに対し、山梨県の長崎幸太郎知事は6月24日の記者会見で『早い者勝ちのような状態になっていて、戦略がないまま走ってしまったことは残念だ』と苦言を呈した。政府は、ワクチン配送量が上限に達したことを理由としている。知事は『ずさんな対応としか言いようがない。スムーズに、かつ小さなところにも目配りした政策を希望する』と述べた」

従業員と家族ならまだしも、彼女までOKとは

   ネット上では、政府の見通しの甘さと、企業側の「水増し請求」を問題視する意見があふれている。

「友人の会社では、従業員・関連会社(下請け含む)の人数に家族数を想定したうえに、さらに10%を乗せて申請を出したということでした。(すでに自治体の地域接種を受ける高齢者が重複していることも理解はしていた)。国も急ぐのは理解できますが、職域接種を申請する側も、もう少し配慮があって然るべきではないでしょうか」
「私の場合、〇〇区(東京都)で予約できたが、健康保険組合の職域接種へも変更可能、国の大規模接種会場へも変更可能...という3重予約可能の状況になっていました。そりゃあ選択肢が多ければ、予約被(かぶ)りしますよね。健康保険組合も全組合員分を確保していたみたいです。健康保険組合で整理できたのかはわかりませんが、余分は返上してもいいでしょう」
「職域接種の対象者の節操のなさ=従業員とその家族はまだしも、彼女、近所の人もオッケーみたいな流れになってしまうと、それこそ収拾がつかないということも原因と思います」
「進学塾で先生が接種するから、受験生がいる家庭の親も接種しませんかと勧めている塾があります。職域接種が休止になったので、延期に追い込まれていますが、かなり先に動いたのでやりきれるかもしれません」
「政府が積極的にそういうことをしてくれと言っていたから、企業だって家族や取引先、地域の人にも打つという対応をして地元に貢献しようとしたわけで、そういう企業を責めるべきではないと思います」

   一方で、政府にはこんな批判の声も。

「職域接種で際限なく数を増やせるような事をするから予想以上の数になり中止せざるを得なくなった。先行接種の医療従事者の家族は放置されている状況で、職域接種では家族も含めることは理解に苦しむ」

近隣住民を呼ぼうかと手間取っているうちに...

ワクチン供給量を明かさない河野太郎担当相
ワクチン供給量を明かさない河野太郎担当相

   また、自分の会社の例を引き合いに、節度をもった運用を求める人が多かった。

「弊社、社員や関連会社の接種人数が多いため家族の接種は受け付けません、とキッパリ。真面目な会社なので、キチッとしたところに文句はないが、とにかくかき集めて営業としてばらまく節操がない会社もあるのかと思うと、悔しくなってくる」
「わが社は、全社員(正社員、契約社員、派遣社員)と同じ事務所内で働く委託先社員分の合計で大急ぎで当局に申請。ワクチン納期もギリギリまでわからない中での医療側(射ち手)と両にらみ調整のようでした。日程決定し、正式に社内申し込みを開始すると、地域接種の方や様子見の方もいるので、申請数が余りそうになるが、廃棄も許されないので、家族に枠を広げている状況です」
「うちの会社は、社内に職域接種で打ちたいかと社内で要望を確認しつつ、近隣住民に配慮して住民からも弊社で打ちたいかとアンケートを取っていたら募集が終わった。結局ワクチン確保は、社員数に対して微々たる数で近隣住民は希望者全員、社員のごく一部だけ接種することになった。動きが遅れた理由は近隣住民を呼ぶかどうかの検討や、住民の希望確認に時間がかかったこと。最初から従業員だけにしておけばよかったのにマヌケ過ぎる」
「家の娘の会社では職域接種の申し込みは本人のみです。しかし、本人への確認作業中に中止の話があり、申し込みが間に合ったのか、ダメなのか、まだ本社から連絡がないそうです。職域接種は本人だけだと思っていました」

   もっとも、今回の政府の無茶ぶりの対応を是とする見方も少なくない。

「職域接種の範囲が広すぎる、無法がまかり通るという意見もわかるが、ワクチン接種の一番の目的は集団免疫の獲得だ。チャンスがあれば、どんな形でもいいから積極的に接種するのはよいことだと思う。職域接種に用意したワクチンが足りなくなるほど申し込みがあるのは、むしろ喜ばしいことではないでしょうか」

(福田和郎)

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