2024年 4月 19日 (金)

初心者にオススメ 月3000円からの投資術

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   2016年夏に発売された「はじめての人のための3000円投資生活」(アスコム)は、翌2017年の日販・ビジネス書部門の年間ベストセラー1位となり、これまでに60万部売れた。

   その同じ著者が、5年ぶりに出したのが本書「貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス」である。前著と比べて読み、タイトルどおり、確かにパワーアップしたような気がした。

「貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス」横山光昭著(アスコム)
  • コツコツ3000円ずつの投資術
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投資信託への不安

   著者の横山光昭さんは家計再生コンサルタント。個別の相談・指導では独自の貯金プログラムを活かし、リバウンドのない再生と飛躍を実現し、これまで1万人以上の赤字家計を再生したという。「はじめての人のための3000円投資生活」のほかに、「年収200万円からの貯金生活宣言」「貯められる人は、超シンプル」などの著書がある。

   「毎月3000円投資信託を買い続けよ」という主張は変わらない。前著が多くの読者の支持を受けた理由を考えた。思うに毎月3000円というのがお手頃なのだろう。一日100円、ワンコイン。これなら毎日節約すれば、なんとかひねり出すことができそうだ。「投資生活」という言葉も響きもいい。毎日あくせく働いている訳だが、なんか偉くなったような気がする「投資生活」。

   「3000円投資生活」をスタートさせるには、ネットもしくは証券会社の窓口で証券口座を開き、月々3000円の積み立て型の投資を始め、オススメの投資信託を買うだけだ。

   前著ではバランス型の投資信託である「世界経済インデックスファンド」もしくは「eMAXIS バランス 8資産均等型」を勧めていた。だが、本書では「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(楽天投信投資顧問)をイチ押ししているのが特徴だ。

   この変化について、こう説明している。

「その時点(2016年7月)では、世界経済インデックスファンドが『簡単・安全・確実』な投資を行ううえで最適な商品だったのですが、2017年に、非常に信頼性が高く、コストの低い楽天・全世界株式インデックス・ファンドが発売されました」

   ファンドマネージャーが管理・調整するバランス型ファンドの前者よりも、全世界の株式のみで構成されたインデックス(指標)に自動連動した後者の方が「ローリスク・ローリターン」であり、初心者に向いている、と説明している。

   「投資信託を買って、損をした」という話をよく聞く。

   横山さんは「実際、ハイリスク・ハイリターンな投資信託、高い手数料を取っているわりには利益が低い投資信託、目先の流行に乗っただけの投資信託(好調なのは最初の数年だけで、あとは損するばかり)の投資信託なども、世の中にはたくさんあります」と書いている。

   楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、楽天投信投資顧問とアメリカの投資運用会社バンガード社が提携した商品であること、信託報酬を含むトータルコストが約0.22%(2019年8月時点)と、相場からすると非常に安いことを説明している。

「つみたてNISA」や「iDeCo」の制度を利用すると節税にも

   通常の口座でも買うことができるが、「つみたてNISA」や「iDeCo」の制度を利用すれば、さらに節税効果が出るという。20歳以上で最長20年間、年間40万円投資可能で、運用益は全額非課税である「つみたてNISA」。20歳以上60歳未満が投資可能だが、60歳まで売却出来ない「iDeCo」(掛け金が全額所得控除され、運用益は非課税)。先の楽天・全世界株式インデックス・ファンドのほかにも、さまざまな商品を挙げている。

   横山さんは「給与と貯金と公的年金だけで、人生100年時代の老後を生き抜くのは難しい。つみたてNISAやiDeCoを利用して、楽しく豊かな老後を目指そう」と書いている。

   本書の後半は、横山さんに家計の相談に来た、4つの家族の事例を紹介し、自分なりの投資バランスを考えよう、と呼びかけている。

   これを読むと、最初は月3000円で始めた人が、その後月3万円の投資をするなど、多くの人が投資額を増やしていることが分かる。

   横山さんは、「一度3000円投資を始めると、ほとんどの方の『お金に対する意識』が変わります。投資を始める前よりも、お金をうまく管理できるようになり、ムダな支出を省き、浮いたお金を投資にまわすようになるです」と、その変化について説明している。

金融機関が勧める投資信託には手を出さない

   さらに、「損をする可能性の高い投資」には手を出さないように戒めている。その代表として金融機関が勧める投資信託を挙げている。手数料が高い、リスクが高い危険性があるという。

   また、個別の株式、FX(外国為替証拠金取引)、不動産投資についても危険性を指摘している。特にFXについては「投資というより、完全にギャンブルだと思っている」と厳しい。

   最後に投資のプロらしく、自分のポートフォリオを公開している。全世界型のインデックスファンドを3、国内株式・米国株式・先進国株式・新興国株式のインデックスファンドの組み合わせを7の割合で持っている。

   組み合わせることによって、小回りがきくようになり、メリットも楽しみもあるという。インデックスファンドの組み合わせ方は、自分の性格や価値観をもとに決めてほしいそうだ。

   前著を読み、「月3000円投資」を始めようと思ったが、結局始めることができなかった評者のような人間でも、本書を読めば、「今度こそ」と思うかも知れない。コロナ禍で先行きが不透明になったいま、お金に対する考え方が変わった人も多いだろう。

   本書は初心者に親切な投資入門書である。

「貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス」
横山光昭著
アスコム
1320円(税込)

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