2024年 4月 20日 (土)

新たな詐欺「オンラインサロンで儲けよう」が横行! 友人の紹介が一番危ない

人気店や企業から非公開の招待状をもらおう!レポハピ会員登録

   「絶対に儲かる」という話ほど危険なものはないが、引っかかる若者が後を絶たない。以前は「スマホで簡単に稼げる」として情報商材やノウハウを売る詐欺商法が多かったが、最近は利用者が急増している「オンラインサロン」を悪用した手口が横行しており、国民生活センターは2021年7月1日、注意喚起を行った。

   いったい、どんな手口なのか――。

  • オンラインサロンの「罠」に気を付けよう(イメージ)
    オンラインサロンの「罠」に気を付けよう(イメージ)
  • オンラインサロンの「罠」に気を付けよう(イメージ)

人を紹介しないと稼げないマルチ商法

   「オンラインサロン」とは、ウェブサービスやSNSなどを使った会員制コミュニティのことを指す。8年ほど前から登場し、著名な実業家や芸能人などが主宰する例が多い。ざっくりいうと、主宰者と会員だけが見られる、非公開のオンラインコミュニティという感じだ。

   スレッドを立てて、各々が書き込みをして交流したり、主宰者が投稿する限定のコンテンツを見られたり、ネット動画を通じて講座やイベントが開かれたりする。

   ジャンルは投資やビジネス、料理、ダイエット、美容、エンタメ、婚活セミナーなどさまざま。有料の場合が多く、月額1000円から数万円というところもある。相談事例にあるような、数十万円の高額な入会金をとるところもある。トラブルが多く発生しているは投資やビジネス型のサロンだ。

   最近多い相談事例と、問題点を指摘すると――。

【事例1】オンラインサロンに入会したが稼げなかった
「SNSで『稼ぎ方を教えます』とDM(ダイレクトメッセージ)が届き、無料通話アプリで相手に連絡した。そこで「ブログでアフィリエイト収入が得られる」「ビジネススキルを情報商材で提供するので、オンラインサロンで勉強できる」などと勧められ、約30万円でオンラインサロンに入会した。契約書はウェブ会議のやり取りで作成して交付された。ブログを始めたが、『オンラインサロンで○万円稼げました』などと偽りの発信をしろと指示されるようになった。また、内容も稼げるものではないことがわかった。解約して返金してほしい」(2021年1月、30歳代男性)

【事例2】同級生から紹介料を稼げると勧誘されたが、不安だ
「学校時代の同級生から、人に紹介すると紹介料がもらえるオンラインサロンを勧められた。同級生とサロンの担当者と3人のチャットに招待され、送られてきたURLからサロンの紹介動画を見た。そこで、誰かにサロンを紹介し、契約すれば紹介料約10万円がもらえる、会員カードを提示するとカルチャースクールなどで割引が受けられるなどの特典があると説明された。友人の紹介だから安心と思い、会費約25万円を支払った。しかし別の友人から『だまされているから、やめたほうがいい』と言われ不安になった。クーリングオフをするので返金してほしい」(2021年3月、20歳代男性)

   契約のきっかけをみると、見知らぬ人からSNSのDMが届いたり、学校や職場の友人・知人から声を掛けられたりするケースが目立つ。いずれも「いい副業がある」「稼ぎ方を教える」と、オンラインサロンへの入会を勧誘するが、オンラインサロンは、会員以外はアクセスできないクローズドのコミュニティなので、事前に中身を確認できないのが特徴だ。

   そのため、契約金を支払って入会してから「中身が違う」と騙されていることに気づく人が多い。友人だからといって気を許すのは非常に危険だ。

   じつは、勧誘時では投資で儲けると聞いていたのに、実際は人を紹介することで報酬を得るシステムになっているところがあるからだ。いわゆる「ネズミ講」式のマルチ商法である。

マル秘動画は内容ゼロ、さらに高額のセミナーを勧誘

オンラインサロンのトラブルの一例(国民生活センター作成)
オンラインサロンのトラブルの一例(国民生活センター作成)

【事例3】サロン経営のセミナーで、さらに高額なセミナーを勧誘された
「コロナ禍で無職になり、オンラインサロン経営のマル秘動画を見るために会員登録をした。動画は大した内容ではなかったが、動画内でWEB 会議を使った数千円のセミナーで詳しい話をするとあり、申し込んだ。そのセミナーで、さらに高額なセミナーの勧誘を受けた。借金があり支払いができないと断ったが、『この値段は今だけ』『今以外だと30万円あがる』と長時間勧誘され、根負けして約80万円で契約した。契約書面は交付されず、やめたいと思ったが、事業者から送られてきたデータを見たら、クーリングオフできないと書いてあった。返金は無理だろうか」(2020年10月、50歳代女性)

【事例4】サロン経営の副業を契約したが、書面を交付されない
「SNSで知り合った人から、オンラインサロン経営の副業を紹介された。具体的には、サロンの主宰者として好きな分野のサロンを開設し、SNSで会員を募るというもの。登録料2万円と毎月2万円の会費が必要だが、この副業を3人に紹介し、契約すれば紹介料3万円が入り、さらに毎月約2万円の報酬が入るため、元が取れると説明された。さらに他にも紹介できるビジネスがあり、それぞれに報酬が発生すると言われた。プチ起業だと思い、WEB上で会員登録し、登録料と月会費を支払った。しかし、交付されるはずの契約書などの書面はもらえず、不審なので解約したい」(2021年2月、30歳代女性)

解約しようとすると、アカウントをブロック

楽に儲かるはずだったのに(イメージ)
楽に儲かるはずだったのに(イメージ)

【事例5】解約したいが、事業者の連絡先がわからない
「SNSの広告を見て事業者に連絡を取ったところ、『不動産投資などでもうける方法を教える』と、約25万円の資産形成オンラインサロンを無料通話アプリで勧誘された。毎月2万円の分割払いで契約したが、説明と違い、会員を増やせば紹介料が入る内容だとわかり、支払いを中止した。すると、未納料約10万円を請求された。契約時にクーリングオフなどが記載された書面を受け取っておらず、事業者の連絡先がわからない。契約を解除して返金を求めたい」 (2021年3月、20歳代男性)

   事前に契約条件、契約内容を確認させないオンラインサロンが多い。また、契約後も書面自体を交付しないケースも少なくない。契約書が交付されていないため事業者の連絡先がわからない。

   契約期間内は中途解約ができるのか、できないのかも不明だ。不審に思い、解約しようとSNSで事業者にアクセスを試みると、アカウントをブロックされてしまう。こうなると、支払ったカネが戻ってくるのは難しくなる。

   国民生活センターでは、こうアドバイスしている。

「インターネット上には、もうけ話に関する情報が溢れていますが、確実にもうかる話などありえません。特に、事前に内容を確かめることができないオンラインサロンでは、入会したら広告や説明と違ったというトラブルが絶えません。たとえ友人・知人からの話であっても信用せずに、少しでも怪しいと思ったら絶対に事業者へ連絡しないでください」

   そして、次の項目に注意しよう。

(1)オンラインサロンを利用する際には、契約前に無料の試用期間の有無、入会費や月会費などの詳細、中途解約が可能かなどの解約条件、サロンの運営事業者情報などを必ず確認する。
(2)トラブルに備えて SNS などのやり取りの記録は消さずに残す。
(3)特に運営事業者の連絡先が SNS のアカウントだけの場合、トラブルが発生したら一切連絡が取れなくなるため要注意だ。
(4)「人に紹介すると稼げる」と言われたり、「聞いていた話をと違う」と不安になったりしたら、最寄りの消費生活センターに相談しよう。消費者ホットラインは「188」(いやや!)番だ。

(福田和郎)

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