2024年 4月 27日 (土)

経済界が激怒! 菅首相、破格の最低賃金引き上げは「衆院選」と「ゾンビ企業」淘汰が狙いか

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賃上げムードが広がれば、秋の衆院選で有利に

賃金が上がるのは嬉しいことだが...(写真はイメージ)
賃金が上がるのは嬉しいことだが...(写真はイメージ)

   読売新聞(7月15日付)「『28円上げ』政権の意向を反映 議論2日間『40円』VS『0円』」は、こう報じている。

「『これで最低賃金が700円台の地域がなくなる。一歩前進だ』と労働者側の委員は安堵した。労働者側にとって追い風になったのが、菅政権の意向だ。6月に閣議決定した経済・財政運営の指針『骨太の方針』では、『最低賃金の引き上げに取り組む』と明記した。感染拡大前は4年連続で3%引き上げが実現しており、事実上、今年の約3%(25円前後)引き上げを示唆した格好だ。秋の衆院選を見据えて賃上げムードが広がれば、国民の関心も引き寄せられるという思惑も透けてみえる」

   毎日新聞(7月15日付)「最低賃金交渉『公益見解』で一変 労使隔たり残して」が、露骨な介入を行った首相官邸の様子を、こう伝えている。

「経営者側の抵抗にもかかわらず過去最大の引き上げ幅になったのは、菅首相の強い意向が『公益見解』に反映されたからだ。首相は自民党総裁選に出馬した際も引き上げを公約に掲げ、6月に決定した『骨太の方針』には『早期に全国加重平均で平均1000円』を盛り込んだ。(所管の)厚生労働省幹部は『思い入れが強い。今回は特に過去最高額にこだわった節がある。箸の上げ下ろしまで官邸に縛られた』と話す。

全国一律にもこだわった。今回、大都市と地方との間に差をつけなかったのは、格差拡大に歯止めをかける狙いもある。厚労省幹部は『労働者保護もあるが、庶民の生活底上げをアピールしたいという衆院選を大きく意識したものになっている』と振り返る」

   朝日新聞(7月15日付)のコラム「視点:政治主導、プロセスに疑問」は沢路毅彦・編集委員が、これでは最低賃金制度が破たんしたのも同然だと批判した

「最低賃金法は(1)労働者の生計費(2)賃金水準(3)企業に支払い能力――の3要素を考慮するよう求める。コロナ禍が続いているのにベクトルが正反対になったのはなぜか。有識者委員(公益委員)らの公益見解から理屈を読み取るのは難しい。昨年との大きな違いは政権の意向くらいだ」

   沢路記者はこう結んでいる。

「プロセスには疑問が残る。労使が夜を徹して審議する外形を保ちつつも、与党・厚労省からは協議の前から『3.1%』という引き上げ率の結論が漏れ伝わってきた。示された引き上げの理由も貧弱。さまざまな経済指標をもとにした専門家の議論を明らかにし、広く納得感を得ようという気概も乏しい。現行制度の見直しが必要だ」
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