2024年 4月 26日 (金)

おみやげ配りは女性? 力仕事は男性!? 一人ひとりの持ち味を活かした仕事を任せるには?〈前編〉(前川孝雄)

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   パワハラやセクハラなどハラスメント防止の法整備が進んでいますが、企業では貴重な人材の採用・定着・育成のためにこそ、ハラスメントが起きにくい組織風土創りが求められます。

   多くの上司層は悪気がないにも関わらずハラスメント・リスクを冒しがちです。またハラスメント・リスクを恐れて部下とのコミュニケーションが希薄になる職場も増えつつあります。こうした背景を踏まえて、本連載では管理職や経営者など上司層に向けてハラスメントを予防する上司力について解説します。

   「ハラスメントが起きにくい職場を創る」シリーズの第9回と10回では、セクハラ・リスクが伴いがちな男性上司から女性の部下へ、仕事の与え方のCASEから考えましょう。

  • ハラスメントが起きにくい職場を創るには……
    ハラスメントが起きにくい職場を創るには……
  • ハラスメントが起きにくい職場を創るには……

CASE 「お茶出しは女性、力仕事は男性!?」

【上司】「Aさ~ん。これ、M社さんからいただいた手みやげのお菓子。生ものだから、みんなに配ってくれないかな。それから、応接室のお客さんの所にもお菓子とお茶を運んでほしいんだ」
【Aさん】「いえ......。これから会議の準備なので、誰か別な人に頼んでください」
【上司】「そうなの? じゃあBさん、お菓子配りとお茶出し、お願いね」
【Bさん】「私もAさんのサポートで会議室の設営です。別に女性にこだわらず、C君ではどうですか」
【上司】「困ったな......。だったらC君、会議室の設営代わってあげてよ。力仕事なら男性だろう。それで、AさんとBさんはお菓子とお茶を宜しくね。お客さんもやっぱり女性に運んでもらうほうがいいから」
【C君】「あのう......。一人だけで会議室の設営は、ちょっとつらいんですが...」
【上司】「なんだ、男のくせにだらしないな。『気は優しくて力もち』じゃないとモテないぞ! 女性もお茶出しを嫌がるようだと貰い手がいなくなるからな~。」
【Aさん】「課長!?... それって立派なセクハラですよ!」

【解説】
昨今は、お茶出しなどは各自でする職場も増えており、やや誇張したCASEですが、これに近い事例はいまだ散見されます。特に、年配の管理職や経営者には既視感をもつ方も少なくないと思います。
上司は、何気ない感覚で、お菓子配りやお茶出しは女性社員の仕事とばかりにAさんとBさんに頼み、会場設営の力仕事は男性向きだとC君に依頼しました。適材適所の采配とはいえ、角が立たないように冗談も交えながらエールを添えましたが、意外にも部下の反応は厳しいものでした。

【ハラスメント・リスク】
ここで取り上げるのは、セクハラ(セクシャルハラスメント)のリスクです。通常、職場のセクハラとされるのは、「労働者の意に反する性的な言動」です。具体的には、性的な発言や冗談やからかい、食事やデートなどへの執拗な誘い、不必要な身体への接触や性的関係の強要などです。
しかし、報道やセミナーなどでも学び、さすがにこうしたあからさまな性的言動をする人は減ってきているでしょう。現在セクハラ発生の温床となりがちなのは、性別役割分担意識に基づく言動です。この観点からは、CASEの上司の発言は十分にハラスメント・リスクをはらむものです。

上司のアンコンシャスバイアス(固定観念、無意識の偏見)

   性別役割分担意識に基づく発言例としては、「サポート業務は女性が行うべき」「法人営業は女性には無理」、また「女性は子どもが小さいうちは母親として子育てに専念すべき」などです。

   また、これは対男性でも同様で、「一家を養うのは男の役割」「男のくせにだらしない」といったものがあります。

   こうした考え方や発言は「女らしさ」「男らしさ」の固定観念ですが、これが職場で容認され続けると、乗じて人の性的特徴を口にしたり性的関心を行動で示しやすくなったりと、セクハラ要因に結びつきやすいのです。世界的に見てもジェンダー意識や女性活躍が遅れている日本においては、特に意識改革が必要です。

   次回の「後編」では、このケースをもとに、部下の思いを正しく捉えハラスメント予防につなげるための心構えと方法を解説します。

※ 職場のハラスメント予防についてさらに詳しく学びたい方、また職場での研修導入を検討される方は、弊社FeelWorksが開発した「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」をご参照ください。

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