2024年 3月 28日 (木)

三菱電機、絶つことできない不正の根 悪質で深刻、自浄作用なし!

   三菱電機が鉄道車両向け空調機器などの製造過程で、長年にわたって出荷前に必要な検査を怠ったり架空のデータを記入したりしていたことが発覚した。35年以上前から繰り返されてきた組織的な不正で、杉山武史社長が辞意を表明する事態に発展した。

   同社では近年、他にも同様の不正が相次いで発覚している。旧財閥グループの名門企業は、なぜ不正の根を絶てなかったのか――。

  • どうなる!? 三菱電機(写真はイメージ)
    どうなる!? 三菱電機(写真はイメージ)
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安全性は「法令違反にはならない」!?

   今回の不正は2021年6月29日、一部の報道で明らかになった。問題の空調機器は、長崎製作所(長崎県時津町)で製造し、1985~2020年に約80社に出荷した約8万4600台。国内ではJRや私鉄など全国の鉄道会社納入していたほか、全体の約2割が海外向けだった。

   こうした空調機器は快適な温度、湿度を保つための制御機能や省エネ性能のほか、防水や電圧の変動などへの耐久性も求められる。

   長崎製作所は、出荷前に顧客が指定する方法で検査をする契約を交わしていたが、実際は指定された方法とは異なる条件で検査したり、一部の検査をしないまま架空の検査結果を成績書に記入するなどしていた。

   その後、空調機器に加え、鉄道車両向け空気圧縮機ユニットの一部でも検査不正があったと発表した。同ユニットは鉄道のドアの開閉やブレーキの操作で使われており、一部の検査で、前の機種の検査結果を流用していたという。この15年で国内に約1500台を約20社に納入したという。

   ただし、今回の不正が検査を取り決めたユーザーとの契約に違反することは認めつつ、「安全性に関する『法令違反』にはならない」(品質担当の福嶋秀樹常務執行役)と説明している。

   この一連の不正発覚を受け、杉山武史社長が7月2日になってようやく会見し、「鉄道事業者、利用者にご迷惑とご心配をかけて申し訳ない」と謝罪した。そのうえで、再発防止に向けて「社長の職を辞し、新たな体制で信頼回復に取り組んでいくことが必要」と引責辞任するとともに、同日付で外部弁護士を委員長とする調査委員会を設置し、9月までに調査結果と再発防止策を公表すると表明した。辞任時期については、7月中をめどに後任を決める考えを示した。

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