2024年 4月 20日 (土)

工事現場の「紅一点」容姿端麗な私 職人に「よけいな感情がわかないよう」接している女性の投稿が大炎上!(1)

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   男ばかりの工事現場に「紅一点」、新卒で入った施工管理の女性。自分で言うのもナンだが、小柄で容姿端麗、女っぽい声の私。

「若い職人さんたちに『女』を意識されて、よけいな感情がわかないように」

と、ことさら声を低くして無駄話をしないようにしている。

   まるで、テレビドラマのヒロインのようだが、

「これから職人さんたちとどう接したらよいでしょうか」

という、お悩み投稿が大炎上している。

「あなた、自意識過剰だよ」
「女である利点を生かしては」

と、賛否激論だ。専門家に聞いた。

  • 男ばかりの現場で「紅一点」として働く(写真はイメージ)
    男ばかりの現場で「紅一点」として働く(写真はイメージ)
  • 男ばかりの現場で「紅一点」として働く(写真はイメージ)

男性社会に「いろいろな意味で警戒しています」

   話題になっているのは、女性向けのサイト「発言小町」(2021年7月4日付)に載った「職場は工事現場で男しかいない」というタイトルの投稿だ。

「今年新卒で施工管理の会社に入りました。専門学校卒の新卒にしては給料がやや高いのでとても気に入っています。なぜ工事現場の施工管理人を選んだかというと、将来設計職に付きたいので建物の構造をよりよく理解するために、キャリアアップとして働いています」

   しかし、工事現場の職場は男性ばかり。年配の職人たちはふつうに接していてもまったく気にならないが、問題は若い職人たち。工事現場では足場も屋根もふつうに登り、危ない仕事になる。

「なので、仕事では一切女を捨てて取り組んでいるつもりです。しかし、私の外見はかなり小柄、小学3年の時から今でも異性に敏感にほめられるほうです。若い職人たちからどう見られているか心配です。男しか職場にいないのでいろいろな意味で警戒はしています」

   要するに、自分を「容姿端麗で可愛いほうだ」と言っているのだ。「そこに付け入られて、若い職人さんによけいな感情が湧き起こらないように」と、まるでテレビドラマのヒロインのように涙ぐましい努力をしているのだった。

「仕事上では必要最低限のこと以外は死ぬほど話したくないのですが、新卒の分際で愛想が悪いのもよくないと思います。私の場合、ふつうに話すと女の子っぽい声になってしまうので、声を低くして(若い職人を)管理指導するときは厳し目の態度です。仕事は全力でしたいので、円滑に進めるためにもう少し話し方を変えるべきなのか迷っています。どう職人さんたちと接したらよいでしょうか」

と悩んでいるのだった。

   この投稿に共感と同情を寄せたのは、次のカキコミぐらいだった。

「男現場で、可愛い女子が紅一点の職場ですね。声を低くし、男言葉での声掛けなど、今の意気込みでよいです。男現場だと、すぐに若い女子に粉をかける男が多数います。気をつけてください」

「職人さんには敬意をもって仕事しなさい」

   圧倒的に多かったのが、同じような「男職場」で働いた経験を持つ女性からの「自意識過剰だ」「勘違いしている」「仕事を身に着けるのが先だ」という厳しいアドバイスだった。

「業界で働いています。小柄な可愛い声の女の子だから誤解されたくない。そう思うこと自体が仕事と社会を舐めています。まだまだ知識も経験も浅いのだから、管理者として指導するなんて、上から目線で考えないで、職人さんたちを、仕事を教えていただく先生だと思って敬意をもって仕事をしたほうがよいです。あなたがそういう姿勢で一生懸命仕事を覚えていくことで、周囲に認められ、年齢や性別、見た目に関係なく、あなたを信頼して周りが動くようになるのです。設計だって現場の職人さんたちに信頼されなければ、図面を形にすることはできませんよ。ましてや、心の中で『死ぬほど喋りたくない』と思いながら、上辺だけで管理指導しようとするなんて、伝わるわけがないでしょう」
「私も技術屋として20年以上働いてきたので、現場の雰囲気や今の意気込みはわかります。容姿端麗ではない私でもチヤホヤされたり、小馬鹿にされたり、いろいろありましたから、自称容姿端麗だと悩みも多いでしょう。私からのアドバイスは、まずは3年今の仕事を続けること。職人さんたちはあなたの手足でもファンでもなく、仕事のパートナーです。意図せず教えてもらっていることもたくさんあります。相手を尊重しない人は、相手からも尊重されません」

   男性の現場関係者から、こんな意見があった。

「建築業界(施工管理)で40年働いたジジイです。昔はこの業界に女性は皆無でした。ここ10年ほどで施工管理や職人さんにも女性が入って来ています。あなたは、女性だからどうこうという意識が強すぎますね。まずは仕事の流れや作業方法・手順、安全管理を基礎からキチンと学んでください。今携わっている現場で学んだことを次の現場で活かせるようにしてください。それができるようになると、なぜそのようにしなければいけないか、どうしたらもっと効率よくできるかを考えましょう。そうすると建築の根本的な事や、法規制もなぜそうするかが理解できるようになり、人を動かせるようになります。仕事に男女の差はありません。取り組み方、思考の仕方が重要なのです」

「『デキる女性』は女の強みを活かしていますよ」

   一方で、「女性の利点を生かそう」「いい意味で女を使ってよい」というアドバイスも少なくなかった。

「私の知っている『デキる女性』は自分をよく知っている。男性と張り合っても仕方がないこと、女性としての強みを活かすほうがよっぽど効率的なこと。別に手を握って目を見つめたり、媚びたりする必要はないが、『女性として』ふつうに接するだけで、男性は『柔らかさ、優しさ』を『勝手に感じてくれる』。あえて『男性以上に厳し目の態度』なんて考えるからおかしくなる」
「あなたがなりたい設計側です。時々現場監理もやっています。正直女性ということを利用しつつ円滑にやっていますよ。女性らしいきめ細やかな現場監理みたいな感じで売っています。ブリブリで仕事を取れるのは女でも若いうちだけですから、私は逆に利用してもいいと思います」
「私も、かつてのあなたとほぼ同じ。大丈夫ですよ。工事現場は3Kで忙しいし危険なので、チョロチョロしている紅一点にデレデレする暇な職人はいません。あまり声を意識しなくても、少し体育会系みたいに受け答えをハキハキはっきりしたら、心配して目をかけてくれる年配者もいますよ。怪我をしないように」

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の、工事現場で「紅一点」で働く女性が、自分の「容姿端麗」に悩む投稿に関する論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――今回の投稿と、回答者の反応を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「投稿者さんがいま悩んでいるのは、話し方を変えるべきかどうか、といったご自身の『話し方』や『体格』、『容姿』などに関することのようです。担当している施工管理という仕事を遂行する上での課題認識としては、どこかズレてしまっている印象を受けました。投稿者さんは業務遂行上の課題認識について、もっと掘り下げる必要があるように感じます。
新卒で入社したばかりということからも、いま抱えている悩みは『仕事』とはどういうものかを経験し、理解していくなかで解消されていく部分が多いのかもしれません。その点、回答者の方々は、各々の仕事経験の中で培ってきた視点から、課題を掘り下げたうえでアドバイスされているように思います」

「活躍している女性のロールモデルが少なすぎる」

広い建設現場には多くの職人が働く(写真はイメージ)
広い建設現場には多くの職人が働く(写真はイメージ)

――今回の投稿は、男性が多い現場で「紅一点」の女性の働き方や、女性が働くうえで「容姿」の問題がどう影響しているかなどがからんでいると思います。女性を支援する「しゅふJOB総研」の研究顧問をされていますが、今回のテーマに合うような調査をしたことがありますか。

川上さん「ご質問の趣旨そのものではありませんが、就労志向のある女性を対象に、『女性の管理職比率が低いことについて、女性自身はどう思っているか』を調査したことがあります。
女性の管理職比率が男性に比べて極端に低い理由として、8割以上の人が『結婚や出産をすると管理職として続けづらい雰囲気が職場にあるから』と回答しましたが、次いで多かった理由は『前例となる女性管理職の数が少ないから』です。女性管理職が少なく男性管理職が圧倒的に多い環境が、女性の飛躍にマイナスの影響を及ぼしている可能性があるように見受けられます。
人口の男女比率から考えると、女性管理職の比率は50%が自然な数字だと思います。しかし、活躍している女性管理職のロールモデルが少なすぎるのです。中には明確な根拠もなく女性の能力を軽んじ、女性管理職比率は男性より低くて当然と考える人もいます。もし、職場全体にそのような空気が漂っていた場合、仕事の実力が認められて管理職に登用された女性がいたとしても、『女性だから』とか『容姿端麗だから』といった理由で抜擢されたのではないか、などと邪推されてしまうこともあるかもしれません」

(福田和郎)

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