2024年 4月 19日 (金)

「LINEの呪縛」から解放されるか? 格安スマホを巻き込む携帯大手3社の挑戦にネットから「頑張れ」コール

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   モバイル通信「無料メッセージ」の王者LINEの牙城が崩れるか?

   NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社が束になって、この分野に挑もうとしている。

   2021年9月2日、大手3社がこれまで共同で提供してきたメッセージサービス「+(プラス)メッセージ」を、格安スマホなどのユーザーにも拡大すると発表した。

   ネット上では「これで『+メッセージ』が使いやすくなる。LINEの呪縛から逃れられるかも」と期待が高まっているが......。

  • メッセージの受け取り、LINEにする? +メッセージにする?(写真はイメージ)
    メッセージの受け取り、LINEにする? +メッセージにする?(写真はイメージ)
  • メッセージの受け取り、LINEにする? +メッセージにする?(写真はイメージ)

格安スマホを巻き込んだ「反LINE」連合なるか

   この携帯電話大手3社の動きを朝日新聞(9月3日付)「+メッセージ、格安スマホでも 携帯大手3社、来春までに」が、こう伝える。

「NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社は9月2日、メッセージを電話でやり取りできる共同運営のサービス『+メッセージ』を格安スマホ事業者(MVNO)なども利用できるようにすると発表した。来春までに順次、使えるようにするという。
新たに利用可能になるのは大手3社の回線を利用する格安スマホ事業者と、UQモバイル(au)やワイモバイル(ソフトバンク)などの各社のサブブランド。楽天モバイルは対象外だ」
図:「+メッセージ」のサービス拡大のイメージ(大手3社の共同プレスリリースより)
図:「+メッセージ」のサービス拡大のイメージ(大手3社の共同プレスリリースより)

   これまで、「+メッセージ」のサービスは、大手3社は自社の主ブランドにしか提供してこなかった=上の図参照。それを、auなら「UQモバイル」、ソフトバンクならは「ワイモバイル」と自社の格安のサブブランドにも提供したうえ、自分たちの通信回線を使っている多くの格安スマホ会社にも拡大するというのだ。大手3社だけによる「+メッセージ」の囲い込みをやめて、大連合でLINEに対抗しようというわけだ。

   そもそも「+メッセージ」は、2018年5月に大手3社で提供を始めた。ショートメッセージサービス(SMS)の進化版で、2730文字までの文章と画像、動画を送れる。電話番号がわかればメッセージを送れるシンプルさが売り。2021年7月時点で約2500万人が利用しているという。

   iPhone、iPad向けに提供していたアプリのサービスだったが、Androidでもできるようになった。「+メッセージ」のアプリをダウンロードして利用する必要があるが、パケット通信になるので、1通でいくらという課金はない。Wi-Fi環境で使えば無料となる。

LINEを傘下にしたソフトバンクの立場が微妙だ

今回の「+メッセージ」のサービス拡大で、大手3社はLINEと対抗できるようになるだろうか。インターネットニュースメディアの「ITmedia Mobile」(9月4日付)は「MVNOに開放された『+メッセージ』 それでも課題は山積、打倒LINEは遠い?」が、こう報じる。
「『打倒LINE』ともささやかれた+メッセージだが、ユーザー数は7月に2500万を突破。SMSやMMS(マルチメディアメッセージングサービス)の進化版として、順調に規模を拡大しているように見える。一方で、対応端末や対応キャリア、サービス面などでは不満点も残る。サブブランドやMVNOへの提供でその1つが解決された格好だが、理想像にはまだ届いていない。+メッセージは、SMSやMMSを拡張したRCS(Rich Communication Service)の仕様にのっとり、アプリ上でメッセージや画像、位置情報などをやりとりできるのが特徴だ」
「本来のRCSには、飲食店の事前注文や航空券の予約、個人間送金、決済など、コミュニケーションから発展したさまざまなサービスを支えるプラットフォームとしての役割が期待されていたが、現状の+メッセージは非常にシンプルなメッセージのやりとりだけとどまっている。スーパーアプリ化するLINEなど、他のメッセンジャアプリに大きく後れを取っているといえそうだ」

   こうした技術上の遅れに加えて、新たな情勢の変化が問題だ、とITmedia Mobileは指摘する。

「また、+メッセージの提供を開始した2018年と現在では、市場環境に大きな違いがある。最大の競合であるLINEがソフトバンクの傘下に入ったためだ。既にRCSの『理想像』に近い機能を実現しているLINEが身内になったソフトバンクにとって、+メッセージを推進するモチベーションは薄くなっている。(大手3社の)足並みがそろっていない印象を受ける」

   そして、ITmedia Mobileはこう結ぶのだった。

「+メッセージと距離を置く楽天モバイルが徐々にユーザーを増やしているため、『分断』がさらに広がってしまう可能性もある。だからこそ、+メッセージをサブブランドやMVNOに開放する必要があったともいえる。サービス内容が現状のままだと、先行するLINEとの距離はますます遠のくばかりだ。少なくともアプリの改善や公式アカウントを開拓するペースは、今まで以上に上げていく必要がありそうだ」

プライベートならLINEはいいが、仕事では使いたくない

「+メッセージ」の画像(NTTドコモの公式サイトより)
「+メッセージ」の画像(NTTドコモの公式サイトより)

   ただ、インターネット上では、「アンチLINE派」からサービスの拡大を喜ぶ声も多い。

「これでやっとLINEの呪縛から解放される道筋が見えたね。プライベートならLINEは使い勝手がいいけど、仕事関係では使いたくないからね」
「Facebook Messengerを使っているけど、これを機に+メッセージに乗り替えようと思う。MVNOに開放するのにかなりの年月が...待たせやがって。電話番号が分かっている相手に、ショートメールを打つと文字制限があるから70文字ごとに3円かかる。+メッセージなら、電話帳から相手がアプリをインストールしているか一目瞭然だし、文字数を気にせずに無料で送れて便利だわ」
「LINEは個人情報の点で信用できないし、余計な機能が有りすぎて、純粋なメッセージアプリとし、使いづらくなっている。+メッセージには、メッセージアプリとしての利便性を追求していく方向での、今後のバージョンアップを期待したい」

   一方で、こんな弱点を指摘する声も。

「+メッセージは電話番号がないと交換できないから、会社の嫌いな上司にも番号を教えるハメになる。対するLINEは番号がなくても交換できるから手軽さがある」
「+メッセージは電話番号から詐欺メッセージが来るので、LINEに負けている」
「ユーザー数が2500万人を突破といったところで、キャリア端末へのプリインストール分を含んでいるから、実際の利用者はどのくらいいるのか。少なくとも周囲で+メッセージを使っている人は聞いたことがないし、+メッセージでやり取りしたいと提案を受けたこともない。皆、相変わらずLINEですね」
「キャリアは音声通話でも儲けたいでしょうから、今のままではパケット通話が出来ないのでLINEを超えることは難しいと思う」

(福田和郎)

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