2024年 4月 25日 (木)

中国「恒大集団」超ド級の経営危機! 習近平は助けるか、見捨てるか? エコノミスト6人が分析(2)

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恒大集団を救済すれば、習近平の政策の否定になる

高層マンション群の開発をアピール(恒大集団の公式サイト)
高層マンション群の開発をアピール(恒大集団の公式サイト)

   そもそも、習近平政権の規制強化が恒大集団の経営危機を招いたのだから、「救済することは自らの政策を不定することになり、可能性は低い」とするのは、野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏の見方だ。「恒大問題の世界のリスクは金融危機よりも中国経済の減速」(9月22日付)の中で、こう説明する。

「もともとは恒大集団の過剰にリスクをとる経営手法に問題があったが、突如経営が行き詰まる直接のきっかけとなったのは、習近平政権による民間企業への規制強化だ。今回の混乱とそれに対する政府の対応の巧拙は、規制強化を今後も断行していけるかどうかの試金石となっている。
習近平政権は格差を縮小し平等な社会を作るという『共同富裕』(共に豊かになる)の実現を掲げ、富の配分を強化する方針を示している。昨年来、民間企業に対する規制強化を加速させてきた。決済アプリのアリペイを提供するアント・グループ、それを傘下に持つEC大手のアリペイなど、IT企業に対する規制強化を強めた後、先日は学習塾など民間教育業に対して強い規制を講じた。 これも、『共同富裕』の理念と関わる。そうした産業が激しい学歴競争と格差社会を助長し、教育費の増加を通じて庶民の生活を圧迫している、あるいは子供を持つことを妨げ出生率の低下にもつながっているとの説明である。
そして、規制強化の対象には不動産業も含まれている。不動産業が投機を煽り、住宅価格が高騰した結果、庶民の生活は圧迫され、また負担面から子供を持つ意欲が削がれていることへの対応である」

   そして、木内氏はこう結ぶのだ。

「恒大集団の経営危機は、政府が主導する企業の統制強化の結果で生じた側面が強い。仮に政府が安易に恒大集団を救済すれば、『共同富裕』の理念の下で進めてきている企業の統制強化が誤り、あるいは失敗だったと認めることになってしまうことから、その可能性は低いだろう。
しかし一方で、大きな混乱を政府が黙認する可能性も低い。例えば、恒大集団が保有する土地を一斉に売却すれば、地価が大幅に下落し、土地の保有者の資産が大きく目減りしてしまう。また、土地の売却収入に依存する地方政府の財政にも大きな打撃を与えてしまう。そのため、そうした事態の回避に政府は動くだろう。恒大集団の資産や業務は、他の不動産開発業者に引き継がれるような処理がなされるのではないか」

(福田和郎)

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