【6本目】今回はカテーテルや人工心肺装置など世界で高シェアを誇る「テルモ」(4543)を分析していきたいと思います。身近なテルモの製品を紹介すると、新型コロナウイルスの重症患者向けに使用される人工肺ECMO(エクモ)を開発しているのが、テルモです。安定的な収益を生み出す事業ポートフォリオテルモの事業は、「心臓血管カンパニー」、「ホスピタルカンパニー」、「血液・細胞テクノロジーカンパニー」の3つで構成されています。「心臓血管カンパニー」では、バルーンカテーテル、脳動脈瘤塞栓コイル、人工心肺装置など医療効果と医療経済性の高い高付加価値な医療器具を販売しており、「ホスピタルカンパニー」では、注射、輸液システム、輸液剤、電子体温計、電子血圧計などさまざまな医療現場で使用される基盤医療機器を販売しています。また、「血液・細胞テクノロジーカンパニー」では、血液と細胞の可能性を拓く最先端技術を研究し、単体の売上高はまだ小さいのですが次の収益源の柱となるべく事業育成を行なっているところです。2021年3月末の時点で、売上高の構成比と地域別売上高構成比は以下のようになっており、非常にバランスの取れた事業ポートフォリオであることがわかります。また、売上高が日本に依存し過ぎていないことから、海外でも充分戦っていける技術を有していることが読み取れると思います。カンパニー別売上収益と地域別売上収益(テルモの第106期株主通信より)心臓血管カンパニーが勢いに乗る!2021年8月4日に発表した第1四半期決算で、売上高は前年同期比30.8%増の1717億1600万円、営業利益は前年同期比100.5%増の362億3300万円、純利益は前年同期比99.7%増の278億9500万円となりました。この好決算には、昨年度に始まった新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響が大幅に緩和され、さまざまな診療科において延期されていた待機症例の実施、検査や診断、入院の増加などによる医療需要の回復が見られことなどが背景としてあるようです。その中でも特に、心臓血管カンパニーの増収が目立ち、前年同期比47.9%増の996億円を売上げました。この好決算を受けて、テルモは連結予想を上方修正しており、ビジネスに追い風が吹いていると考えています。さらに、世界の医療機器の需要は底堅く、今後5年間で約5~6%の成長する見通しで、2025年の市場規模は60兆円と試算されています。こういったビジネス環境も、テルモの堅調な収益性を後押しすると考えています。世界の医療機器市場の動向(テルモの「中期成長戦略プレゼンテーション」資料より)同社の予想PER(株価収益率)は44.9倍と、若干の割高感を感じさせる数字になっていますが、今後の増益期待と安定的な需要を考慮に入れて、9月6日の初値5001円でテルモ株を100株購入したいと思います。テルモ(4543)年初来高値(2021年9月24日) 5500円年初来安値(2021年3月24日) 3788円取得時の株価(2021年9月6日)5011円取得株数 100株北海道大学とがぴ北海道大学工学部3年。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに投資を始め、現在は米国株に幅広く投資している。趣味はYouTube鑑賞で米エンゼルスの大谷翔平選手の活躍をハイライトで見るのが毎朝の日課。今まで投資研究会で培ってきた知識や経験を活かせるように頑張ります!埼玉県出身。
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