2024年 4月 19日 (金)

「ドコモ低価格プラン」にガッカリ! 格安スマホと組んでどこが値下げか? 狙いはシニア層の獲得とは...

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?
「ええっ、ドコモショップで他社の格安スマホを売るの!?」

   携帯電話料金の値下げを期待していた人たちから驚きと失望の声が起こった。2021年10月7日、NTTドコモが格安スマホ事業者2社の携帯電話契約を系列販売店で扱うと発表したのだ。

   ドコモの狙いはどこにあるのか。携帯電話料金はさらに安くなるのだろうか。

  • 狙いはガラケーから乗り換えるシニア層か(写真はイメージ)
    狙いはガラケーから乗り換えるシニア層か(写真はイメージ)
  • 狙いはガラケーから乗り換えるシニア層か(写真はイメージ)

「550円の新プラン」の第1報に踊ったが...

   NTTドコモの驚きの発表を、読売新聞(10月8日付)「ドコモ低価格プラン、販売店で契約可能に... 格安スマホ業者と連携」がこう伝える。

「NTTドコモは10月7日、格安スマートフォン事業者(MVNO)と連携し、全国の系列販売店で低価格の料金プランの申し込みを始めると発表した。自前の格安ブランドを持つ競合他社に対抗し、安価にスマホを利用したい顧客の取り込みを図る。ドコモは、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)と、フリービットの2社と連携する。このうち、『OCNモバイルONE』ブランドで格安スマホ事業を展開するNTTコムは、月間データ容量が0.5ギガ・バイト(GB)で税込み550円の新プランを10月21日から始める。3GBは990円となる」

   フリービットの取り扱いは12月から始める。また、連携先の格安スマホの契約者が、ドコモのポイントサービスの「dポイント」が貯まるようにする。ドコモにとっても会員基盤の拡大につながる仕組みで、今後も他の格安会社との連携拡大を目指す方針だ。

   それにしても、NTTドコモが格安スマホ業者に系列の販売店でサポートする狙いはどこにあるのだろうか。読売新聞はこう説明する。

「利用者にとっては、乗り換え手続きは必要なものの、全国約2300のドコモショップで新プランの契約ができるようになる。格安スマホや、ドコモが今春開始した割安ブランド『ahamo』(アハモ)はインターネットでの手続きが中心で、高齢者らには申し込みが難しかった。
携帯電話業界では、低価格帯の競争が激しくなっている。(IT関連の)調査会社MM総研によると、スマホ利用者の半数以上は月間のデータ通信量が3GB以下にとどまる。こうした環境を踏まえ、KDDI(au)は『UQモバイル』、ソフトバンクは『ワイモバイル』といった格安ブランドを強化している。対して、ドコモは自前の格安ブランドの設立そのものは見送った。格安事業者の経営を圧迫しかねないとの判断もあったとみられる」

   つまり、KDDI(au)、ソフトバンクを含め大手3社の中で、ドコモだけが格安のサブブランドを持っておらず、データ使用量が少なく、手ごろな料金を望む多くの層のニーズに応えられなかった。その「空白」を格安スマホとの提携で埋めようというわけだ。

   この結果、ドコモは20GB以上の大容量を「ギガホプレミア」など、3GB以上20GB未満の中容量を「ahamo」など、3GB未満の小容量を「ギガライト」や格安スマホのプランなどでカバーする、棲み分けの料金プランが完成したことになる=下図参照

NTTドコモの新しい料金プランの棲み分け(公式サイトより)
NTTドコモの新しい料金プランの棲み分け(公式サイトより)

   これによって大手3社間で小容量向けの低料金プランが一応出そろったわけだ。時事通信(10月7日付)「ドコモも低料金プラン 格安スマホ2社と連携 小容量向け戦略出そろう、携帯大手」が、こう報道する。

「小容量向けの料金プランでは、ソフトバンクがオンライン手続き専用の「LINEMO(ラインモ)」で3GB、月990円のプランを今年7月に投入。KDDIはオンライン専用の「povo(ポヴォ)」を改定し、基本料を0円にしたうえで利用者が使いたいデータ量を選べるようにした。3GB(30日間)のデータ料金は990円となる。楽天モバイルは月1 GBまで0円、3GBまでなら1078円で利用できる。ドコモを含め、3ギガは1000円程度でそろった」

「子どもやシニアの見守り機能が充実」

   今後は小容量向けプランの競争が激化することになりそうだが、インターネット上では、ドコモ自身の携帯料金値下げではなかっただけに、「ガッカリした」という声が多い。ヤフコメでは専門家たちから「ドコモにはシニアユーザー獲得の狙いがあるのでは」という指摘が相次いだ。

   ITライターで、WEBマガジン「ウレルブン」代表の酒井麻里子氏は、ドコモの狙いをこう分析した。

「他社の1000円以下のプランでは、LINEMOのミニプランが3GB990円。povo2.0も、3GB・有効期限30日のトッピングを選んだ場合は同じく990円となっています。MVNO(格安スマホ)では、IIJmioが2GB858円、HISモバイルが1GB590円、NUROモバイルは3GB792円というプランを出しています。
1GBあたりの料金を他社と単純比較してしまうと、『0.5GBで月額550円』はすごく安いというわけではありませんが、ドコモショップ店頭申し込みができる点は強みになりそうです。従来のドコモのプランに不満はあったものの、自力でオンライン専用プランやMVNOへ乗り換えるのはハードルの高さを感じていたシニアユーザーなどの受け皿になるのではないでしょうか」

   モバイル/IT/ガジェット系フリーライターの島徹氏も、こう指摘した。

「注目はフリービットの『トーンモバイルfor docomo(仮称)』の取り扱いでしょう。トーンモバイルは子どもなどファミリー層向けに見守り機能を充実させた独自端末を含むサービスです。通信事業者のスマホ販売はよりサポートや独自サービスが求められるなか、子どもを含むファミリー層に強いサービスの提供は、ドコモショップとdアカウントを用いたファミリーの囲い込みや将来の新規顧客確保を期待できます。
トーンモバイルはブランド認知の面でプラスになるでしょうし、ドコモ冬モデルで拡充したシニア向けスマホの販売にも繋げられます。現在の月1000円前後のスマホ市場は、大手通信事業者4社のうち3社がサブブランドを含め1000円以下のサービスを提供しており、価格勝負のMVNOは顧客拡大が難しくなりつつあります。そんななか、独自サービスに価値のあるフリービットのトーンモバイルの動きは気になるところです」

   モバイル・ITライターの石井徹氏もフリービットのトーンモバイルに注目した。

「ドコモショップでMVNOのプランも選べるようになり、ドコモスマホを合わせて購入することも可能です。契約時にはdアカウントを使うため、dポイント関連の各種サービスも提供されます。ドコモ側にはdポイント経済圏に留まってもらえるという狙いがあり、MVNO側には販路拡大というメリットがあります。
今回取り扱われる2社のうち、同じNTTグループの『OCNモバイルONE』は月額550円で月500MBというプランを新設しました。もう一方のフリービットは子どもや、シニアユーザーの見守り用途に特化した『TONE』(トーン)ブランドを投入します」

「結局、価格は大手の横並びなのだなあ」

携帯電話料金の値下げに期待したが...(写真はイメージ)
携帯電話料金の値下げに期待したが...(写真はイメージ)

   一方、一般ユーザーからはこんな疑問の声が相次いだ。

「結局のところ価格は横並びなのだなあ。プランもほぼ一緒。もう少し競争が起きるといいのにね。楽天はその一石にはなったのだろうけど、認知度はともかく質が、ね」
「格安スマホはある意味『わかっている』客を相手にしてきたから、(接続が)遅くても許容されていたわけで、ドコモショップで売ってしまうと客とサービスのミスマッチから、みんなが損をする結果にならないでしょうか? ドコモショップに来る客は格安スマホなんて知らない人が多数派のはず。当然ドコモ品質を求めて来店する。そういう客に格安スマホを売ったらドコモショップは遅いと苦情を言いにこられるし、客としても求めるものと違って満足できないでしょう」
「(ソフトバンクの)LINEMOみたいなプランを期待していたのに残念。何が悲しくて混んでいるショップを予約してまで格安スマホを申し込むんだい? それこそネット申し込みで充分だろ? こんなの代理店の儲けにしかならないのに、知らない客を騙して契約しようとしているのがミエミエ。実際、NTTコムのOCNモバイルONEを使っているが、昼にモタつくわ、バッテリーが持たないわ、で最悪。解約しようと思っていたらこの発表、本当にムカつく」
「単純に、ahamoでの契約は保たれたままahamo内での低料金プランを出すことは難しいのでしょうか? povoにしても、せっかくauから変更手続きしたのに、わずか数か月でまた契約し直さなきゃならないプランとして、新たに出されても...。支払い方法までクレジットカード限定だとか、今までの支払い方法も引き継げないだなんて、なんだか選択肢が増えるのはよいことかもしれませんが...。なぜ、こんなに複雑にするのだろうと思います」

(福田和郎)

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