2024年 4月 26日 (金)

テレワークに思わぬ「落とし穴」! コロナ禍後も継続する企業は1割?【テレワークに役立つ一冊】

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米調査、在宅勤務者の3人に1人が仕事中に飲酒

   以降の章でそのデメリットを挙げている。まず、上司・会社の立場から。社員がサボる=勤怠管理が難しい、と書き出している。アメリカ依存症センターが、2020年3月に実施した調査を紹介、在宅勤務者のうち3人に1人が仕事中にお酒(最も多いのはビール)を飲んでいた。

   日本でもTwitterに「断酒します」「昼酒は在宅勤務の特権」などの書き込みがあり、在宅勤務中の飲酒が少なくないことがわかる。

   いくつかの監視ツールも紹介しているが、監視よりも成果を見る日立の新人事制度について詳しく解説している。「ジョブディスクリプション」(職務記述書)により、社員の仕事内容を明確化し、それによって賃金評価につなげる。「ジョブ型雇用」への転換だ。

   日立は管理職レベルで2013年度からジョブ型への移行を始めた。全世界の管理職5万ポジションをランクづけした。現在、一般社員や新規採用へと広げている段階で、労使交渉での主要テーマになっているという。

   このほかに、予想以上に導入にお金がかかること、不十分なセキュリティ対策による情報漏れ、期待どおりに生産性は向上しない、などの問題点とその対策を挙げている。

   一方、社員側はどうか。一緒にいる時間が増えることでの夫婦危機、まさかの長時間労働、メンタル危機などの「落とし穴」を挙げている。

   自宅にいるのになぜ長時間労働になるのか? 通勤時間がゼロになり、その分を仕事に回すこと、周囲から話しかけられることがなく、作業が中断されずオーバーワークになりやすいなどがその理由だ。始業・終業時間は必ず記録することが大切だ。

   コロナ後もテレワークを続けたいというアンケート結果が多いが、専門家は否定的だ。テレワーク研究者で東京工業大学環境・社会理工学院の比嘉邦彦教授のこんな予測を紹介している。

「テレワークは3割弱くらいの企業で実施されているとみられるが、終息後にどのくらい残るかと言うと、私は1割弱くらいだろうと考えている。前々からやっている企業は継続するだろうが、(コロナ騒動で)慌てて導入した企業のうち続けるのは4~5%くらいではないか。個人的には、(実施企業のうち)全体の1割が残れば上出来だと思う」

   また、メンバーシップ型雇用に慣れてきた日本では、テレワークの前提となるジョブ型雇用は根付かないという見方もあるようだ。

   結論として小林さんは、多くの会社は従来のメンバーシップ型を続けながら、一部をテレワーク化する方向に向かうのではないか、と見ている。コロナの終息後こそが、テレワークの正念場になるかもしれない。(渡辺淳悦)

「テレワークの『落とし穴』とその対策」
小林剛著
大空書房
1100円(税込)

 
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