2021年 12月 3日 (金)

5%の国民が「考える消費」をすれば、日本は世界のリーダーになれる!?

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   岸田文雄首相が「新しい資本主義」というキャッチフレーズを掲げている。その中身はまだ不透明だが、資本主義の見直しに、国民の関心が集まっているのは確かだ。

   本書「サステナブル資本主義」は、持続可能な社会を実現する新しい「資本主義」がどうすれば実現するかを論じた本だ。ユニコーン企業などに200億円投資し、成長企業を支援する経営・投資のプロが現場からSDGs(持続可能な開発目標)時代のヒントを導き出している。

「サステナブル資本主義」(村上誠典著)祥伝社
世界はお金が余っている でも、それでいいのか!?
世界はお金が余っている でも、それでいいのか!?

世界はお金が余っている

   著者の村上誠典さんは、シニフィアン株式会社共同代表。東京大学・宇宙科学研究所(現JAXA)を経て、ゴールドマン・サックス証券に入社。M&A、資金調達、IR、コーポレートファイナンスの専門家としてグローバル企業の戦略的転換を数多く経験。2017年に「未来世代に引き継ぐ産業創出」をテーマにシニフィアンを創業。スタートアップ投資や経営支援、成長企業向けのアドバイザーを行っている。

   本書の副題は「5%の『考える消費』が社会を変える」。「経済を拡大させ、労働分配率を引き上げる。そのために消費者ができること」という帯に引かれた。投資家や企業ではなく、消費者に資本主義を変える力があるのだろうか。そうした興味で読み始めた。

   資本主義の歪みを正そうと、「ESG(環境・社会・企業統治の頭文字をとった言葉で投資の際に長期的な成長を図るための観点)」や「SDGs」を意識した議論が最も活発に行われているのが、機関投資家を中心とした資本市場や金融機関だという。

   カネ余りを背景に、何千兆円というお金が持続可能な社会を目指し、投資という形で後押しされている。村上さんはこれに賛同しながらも、投資でできることには限界があるというのだ。今のままの資本主義のルールを前提にしていては、持続可能な社会の実現に不安を感じているのが、執筆の動機だという。

   働いている我々にはお金が余っているという実感はない。しかし、世界では実際にお金は余っているというところから書き出している。フランスの経済学者トマ・ピケティが近年明らかにした法則「r>g」から説明している。

   資本によるリターン「r」は、実体経済の成長率「g」を上回る不等式で、資本成長率が経済成長率を上回るというものだ。つまり、お金を持つ者はさらに富を得て、持たざる者との格差が広がる、という資本主義の功罪を端的に示している。

   単純化すると、現在、世界では以下のことが起きているという。

   人口が増加する→インフラ整備や、商品やサービスの購入量が増加する→一人当たりの実質GDP(国内総生産)が増加する→企業の売上高、利益が増加し、保有現金が増加する株式時価総額が増加する→投資家のお金が増加する。

   お金は個人、企業、投資家の3つのステージで増えるが、企業が手にするお金の価値以上に投資家の株式の保有価値が上昇する仕組みになっている。

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