2022年 1月 29日 (土)

渋沢栄一の言葉は100年たっても古びない

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   「日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一を主人公にした、NHK大河ドラマ「青天を衝け」が佳境を迎えている。

   三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎との確執が描かれたばかりで、経営者の利益ばかりではなく社会への貢献を説く、姿勢に共感した人も多いだろう。本書「渋沢栄一 100の訓言」は、栄一の玄孫(孫の孫)である渋澤健さんが、栄一の著書などからその思想と言葉を現代的に解釈した解説書だ。

   「渋沢栄一 100の訓言」(渋澤健著)日本経済新聞出版社

  • 新しい1万円札の「顔」となる渋沢栄一翁
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会社は経営者のものではない

   著者の渋澤健さんは1961年、栄一の玄孫として生まれた。米・テキサス大学化学工学部卒。米・UCLA大学でMBAを取得。米系投資銀行で外債や為替などの運用に携わった後、米大手ヘッジファンドを経て、2001年に独立し、シブサワ・アンド・カンパニー設立。08年、コモンズ答申を立ち上げ、会長。著書に「渋澤流30年長期投信のすすめ」「運用のプロが教える草食系投資」など。

   渋澤さんは旧東京銀行に勤める父親の仕事の関係で、小学2年生のときアメリカに引っ越した。大学を卒業するまでアメリカで過ごし、日本に帰国後も外資系金融機関に勤務したため、「渋沢栄一」という存在は、本の背表紙で思い出すくらいだったという。

   そんな渋澤さんが栄一に関心を持ち始めたのは、起業を思い立った頃だ。500社も会社を立ち上げた栄一の言葉に、何か参考になるものがあるかもしれない、と栄一の伝記資料を読んだ。

   100年ほど前の言葉なのに、その考えや思いは、現代の日本にそのまま使えるものだと思い、本書を執筆した。「渋沢栄一訓言集」、「論語と算盤」など著書からの引用を右側ページ、その解説を左側ページという見開きの構成で、100の言葉を紹介している。

   「心にも富を貯えるための教え」「規律を学ぶための教え」「運のつかみ方を知るための教え」「会社の本質を見抜く教え」「お金儲けの哲学が光る教え」など、10章からなる。いくつか引用しよう。

「現代における事業界の傾向を見るに、まま悪徳重役なる者が出でて、多数株主より委託された資産を、あたかも自己専有のもののごとく心得......」(「論語と算盤)

   会社を自分だけの利益獲得の踏み台にする者、故意に株価を操作したり、株主に対して利益をごまかそうとしたり、こうした悪徳な行為を指弾している。

「他人を押し倒してひとり利益を獲得するのと、他人をも利して、ともにその利益を獲得するといずれを優れりとするや」(「渋沢栄一訓言集)

   ときには他人や他社と共同して、大きな利益を上げるべきだ。パイの取り合いをするより、パイ全体を大きくすることに目を向けるべきだと説いている。

「事業経営に利益を希望するは当然である。されどその結果ばかりに着眼せず、まず己れの本分をつくすことを目的として、事に従うべきものである」(「渋沢栄一訓言集)

   結果を出すことだけを目的にしていては、利益が出たら「よかった」で終わり、失敗すれば、「すべて無駄」ということになる。それよりも「自分が持っている能力を追求し、磨き、実行する。それらの努力の実ったものが、結果である」。そう思えば、結果がどうあれ後悔はなく、失敗しても、経験や成長など、何かが残るだろう。

   渋澤さんは、さらにこう付け加えている。

「それに、ビジネスで成功した人も失敗した人も、皆、人間として辿り着く結末は同じ『死』です。その最後の日まで、精一杯生きたいと思いませんか?」

   このくだりを読み、「青天を衝け」の前半に登場した幕末の青年たちを思い出した。攘夷を唱え決起し、多くの者が亡くなった。栄一も仲間だったが、数奇な運命のもと、明治新政府に仕え、やがて民間の力を集め、銀行や会社を興した。栄一も多くの失敗を経て成長し、成功したのである。

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