2022年 5月 20日 (金)

「伝説の最強ガラケー」が復活! なぜ? イマドキ売れるの?? KDDI担当者が弾き出した「勝算」

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   最先端の機能を満載したスマートフォン全盛の時代に、あの「伝説の最強二つ折りで武骨なデザインの「G'zOne TYPE-XX」(KDDIの公式サイトより)」が戻ってきた!

   KDDI(au)は2021年12月10日に、押しボタン式で折りたためる旧来型の「ガラケー」の新機種を発売する。

   かつて、「クルマで踏みつぶしても壊れない」として人気を誇ったタフネス携帯の復活モデルだ。イマドキ、そんな武骨な携帯電話に需要があるのだろうか。担当者に聞いた。

  • アウトドアで使える携帯電話の条件は?(写真はイメージ)
    アウトドアで使える携帯電話の条件は?(写真はイメージ)
  • アウトドアで使える携帯電話の条件は?(写真はイメージ)

「クルマで踏みつぶしても壊れない」頑丈さがウリ

   KDDI(au)の12月6日の発表によると、発売する新機種はDDI(第二電電=KDDIの前身の1社)が2000年から12年にかけて販売していた「G'zOne」(ジーズワン)と呼ばれるシリーズの復活モデルだ。

   「G'zOne」は、カシオ計算機が米軍も使った超タフネスな時計の人気ブランド「G‐SHOCK」(ジーショック)で培った頑丈さを追求する技術を携帯電話作りに投入。2メートル近い高さから落としても壊れない耐久性、押しボタン式で作業用手袋をしたままでも操作できる便利さ、スマホのように意図しない接触による誤作動もないなどの理由で、建設・工事現場や農林水産業で働く人、登山などアウトドアの人に一定の人気があった。

   しかし、カシオ計算機が携帯電話事業から撤退したのを機に、2012年で生産を中止した。

   新機種の「G'zOne TYPE-XX」(ジーズワン・タイプダブルエックス)は9年ぶりの復活で、カシオ計算機がデザインを担当、京セラが製造を手がける。ガラケーは1世代前の通信規格である「3G」対応が一般的だが、KDDIが「3G」サービスを来年(2022年)3月末で終了させるため、ガラケー存続を願うニーズに応えた。現在主流の通信規格「4G」に対応する。

   小売価格は5万2800円(税込み)だが、3Gの終了に伴う移行支援措置を利用できるG'zOneのユーザーは無償で新機種に交換できる。

   KDDIによると、スマートフォンが主流の今も、二つ折りのG'zOneにはファンが多く、

「土を触る仕事のためスマホを操作しづらく、ボタンタイプが手放せない」「アウトドアには水に濡れても安心なガラケーが欠かせない」

という声が届いていたという。

   そこで、新機種はさらに頑丈さを進化させた。米国防総省(米軍)の備品調達規格に定められた耐環境試験に通過している。1.8メートルの高さから製品を鉄板やコンクリートに26方向から落下させる試験をはじめ、直射日光、粉塵、低圧、水流、高温、高湿度、振動など19項目の荒っぽいテストに耐えた。すべて、アウトドアの厳しい環境でも使えるようにするためだ。

水割りグラスに突っ込み電話すると「おー!鳴る!」

米国防総省の過酷な規格もクリアした頑丈な「G'zOne TYPE-XX」(KDDIの公式サイトより)
米国防総省の過酷な規格もクリアした頑丈な「G'zOne TYPE-XX」(KDDIの公式サイトより)

   今回の復活には、ネット上では歓迎の意見が多い。ヤフーニュースのヤフコメ欄では、G'zOneシリーズの特に頑丈さを懐かしむ声が寄せられている。

「以前TYPE-R(タイプアール)を使っていた。自転車で段差に乗り上げたとき、胸ポケットから飛び出て走ってきた車に踏まれた。ガキッという音がしたが、ガラス面にボタンの跡の傷が少しついたのと電池ケースの爪が1か所折れただけで、まったく支障なく動作した。再登場はうれしいね」
「最終型G'zOneを長らく愛用していました。海で遊んでいて落としてしまい、約5メートルの深さまで沈みましたが、何とか回収して開いてみたらまったく何ともない! スゴイタフな携帯だと思って手放せず、iPhoneと2台持ちで使っていた時期もあります。過酷な屋外の工事現場とかでの需要は十分にあると思います」
「飲み屋で水割りのグラスの中に突っ込み、そのまま数時間放置してみんなでその携帯に電話した。『おー!鳴る、鳴る!(笑)』と遊んでいたのを思い出しました」
「バイク乗りとしては突然の雨が厄介なのです。その点、G'zOneはまったく濡れることを気にしなくていいのがありがたかったです。濡れる、落とす、転倒で叩きつけられる...。こればかりはiPhoneではダメなのです」

葬儀社と自衛隊が愛用する意外な理由は

二つ折りで武骨なデザインの「G'zOne TYPE-XX」(KDDIの公式サイトより)
二つ折りで武骨なデザインの「G'zOne TYPE-XX」(KDDIの公式サイトより)

   確かにこのように「懐かしむコール」は多いが、スマートフォン全盛の今、「伝説のガラケー」を復活させても果たして売れるのだろうか。KDDI(au)は狙いをどこに定めているのか。J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部は、KDDI渉外・広報本部の担当者、中尾亮介さんに話を聞いた。

   ――あえて今、9年前に生産を中止した『ガラケー』を復活させた狙いはどこにあるのですか。

中尾亮介さん「G'zOneシリーズには、根強いファンがいます。農林水産業や建設工事現場の方々だけでなく、アウトドアを愛する人々を中心に、今でも使い続けて人が多くいます。正確な数は申し上げられませんが、現在でも数万人が使用しています。ほかのフューチャーフォンと違って、3Gが終わっても使い続けたいという、いわばガラケーに対する『忠誠心』が強い方々なのですね。そうした方々から『残してほしい』という要望が届いていました。
たとえば私も意外に思ったのは、葬儀社の方から、『G'zOne』が便利だから使っていますよ、と聞いたことです。葬儀社の方は風雨がどんなに強くても、レインコートを着ないで外に立ち続けなくてはなりません。そんな時、雨に濡れても大丈夫で、ボタン式で話しやすく、また音声が大きく、風雨の音にもかき消されない『G'zOne』は重宝しているとのことでした。 また、一般的な聞いた話になりますが、自衛隊の方にもご利用いただいているとうかがいました」

   ――なるほど。しかし、これからは5G(第5世代移動通信システム)の時代に入ります。なぜ、従来の4Gにとどめて、5Gの対応をしなかったのですか。

中尾さん「基本的にお客様が何を求めているかを考えると、アウトドアで電池持ちして充電せずに何日も使えること、風雨にも耐えて頑丈であること、また、価格の安さの問題もあります。5G対応にして価格が高くなってもよいのかというバランスも考えました。
また、G'zOneのファンの方々は、カシオさんが携帯電話を続けていた頃からの愛好者が多く、40代~60歳代が中心になります。この方々は、過酷な環境で電話ができることを求めています。5Gに対応したスマートフォンにあるさまざまな機能をつけるより、タフネスケータイの利用しやすさを追求した結果、4Gでいいだろうという結論に達しました」

武骨なデザインに秘められた「隠しキャラ」

   ――つまり、G'zOneの愛好者は年配者が多いし、もともとアウトドアに使う人は山や海の厳しい環境の中では「話せればよい」と考えているからというわけですね。

中尾さん「今は携帯電話を2台持っている人が増えています。5G対応を求める方はそうしたスマホをもう1台持ち、山や海などの厳しい環境に行くときはG'zOneをお持ちいただきたいと考えています」

   ――アウトドアに特化して、「G'zOne」の再出発を図るという狙いですね。

中尾亮介さん「そのとおりです。『G'zOne TYPE-XX』は米国防総省の備品最新調達規格を通過しており、頑丈さには絶対の自信を持っていますが、今回、初めて『塩水噴霧』実験もクリアしました。これは海に落としても大丈夫ということです。
実際、あるテレビ局が『水槽の中に入れてみましょう』と、オプションでつくストラップをつけて落としたら、見事にプカプカ浮きました。端末にはついていませんが、ストラップには浮き袋機能がついているからです。
山や海のアウトドア用の機能としては、風の強い日や、雨や川の音が気になる時でも聞きやすい大音量スピーカー、各種センサーと連動したコンパス、気圧・高度、湿度、潮位計や日の出・日の入りの時刻表示などのアプリがついています。みなアウトドアでは必須の情報で、きっと大いに役立つでしょう」

   ――しかし、現代的なスマートフォンに比べると、デザインがゴツゴツして武骨な印象を受けます。若い世代に受け入れられるだろうか、という疑問の声も聞かれます。

中尾さん「20年前からG'zOneを長く愛用した人たちの期待に応えた形ですよ。40歳台以上の人がメインターゲットです。長年のファンからすると、カシオさんの腕時計『G-SHOCK』(ジーショック)の魅力的で懐かしいデザインに現代的な要素を取り入れました。
カシオさんで歴代のG'zOneのデザインを手がけたひとり一人に集まっていただき、『G'zOne TYPE-XX』のデザインに参加してもらいました。細部にまでこだわっております。 かつてのカシオさんの携帯電話には『カシオペンギン』(カシペン)という人気キャラクターがありました。今度の『G'zOne TYPE-XX』には『カシペン』が隠しキャラとして入っています。どこにいるか、探す楽しみもありますよ」

(福田和郎)

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