2024年 4月 27日 (土)

独身女性は出世を目指さないとダメなの? その問いに「気楽に働くのは間違っていない」という専門家の根拠は...(1)

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

「じつは、これは複雑な悩みです」

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部は、今回の「独身女性は出世を目指さないといけないの?」という女性の投稿をめぐる論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。

――この投稿と回答者たちの反響を読み、率直にどのような感想を持ちましたか?

川上敬太郎さん「投稿者さんと同じような葛藤を抱えている方は多いように感じますし、決して特別な悩みではないように見えます。しかし、内容を紐解いてみると、じつは様々な要因が絡み合った複雑な悩みなのだと思います。投稿内容の中だけでも、少なくとも以下5つの問題が含まれています。
(1)出世願望がないことの是非。
(2)『縁の下の力持ち』はやる気がないのか。
(3)社歴に対する会社側の期待とのズレ。
(4)既婚か未婚かで会社側の評価が変わる。
(5)役職者の仕事がハード過ぎる。

――確かにいろいろな問題点がありますね。まず、投稿者は会社側の『向上心を持て』『キャリアアップを考えろ』という要求に対して不満を持ち、『出世なんかしたくない。気楽に細く長く働き続けたい』と訴えていますが、川上さんが研究顧問をされている、働く女性の実態を調べる『しゅふJOB総研』で、このテーマを調査したことがありますか?

川上さん「向上心やキャリアとは必ずしも出世だけを意味するものではありませんが、女性管理職比率の低さについては課題とされてきました。就労志向の女性に対し、しゅふJOB総研で『あなたは管理職になることを希望していますか?』と聞いたことがあります。
◇ 女性の管理職比率について、女性自身はどう思っているのか?

『管理職を希望する』『条件によっては管理職を希望する』のいずれかを選んだ人の比率は36%。一方、『管理職は希望しない』と答えた人は53%と過半数でした。同じ質問を男性にも行ったところ、管理職希望の人が57%と6割近くに及んだのとは対照的です。
これまでの社会認識や家庭内での制約などが影響を与えている可能性があるものの、全体傾向としては管理職を希望する女性は少ないのが実情です。しかし、だからといって、管理職を目指さない人たちには向上心がないと決めつけるのもヘンだと思います」

――投稿者は、「役職に就くと罰ゲームかと思うほど、仕事がハードになる」と述べていますね。

川上さん「先ほど挙げた5つのうち(1)の問題(=出世願望がないことの是非)に関連しますが、管理職は職業キャリアにおけるステップアップの一つに過ぎないと思います。管理職にならずとも、専門性を高めたり、ミスなく仕事をこなすことを追求したりと、目指すステップアップの道は人それぞれでよいのではないでしょうか。
また、(5)の問題(=役職者の仕事がハード過ぎる)として挙げたように、目前の管理職の仕事がキツ過ぎては、自分も目指そうという気持ちにならないはずです。会社側も管理職を目指す人を増やしたいのであれば、日々の職場の中で、管理職が魅力的な存在として映っているのかを確認する必要があります。

――なるほど。キャリアアップの道は、管理職だけでなく専門家の道もあるということですね。ところで、投稿者の「気楽に働きたい」という願いには、多くのシングル女性が共感しています。

川上さん「女性に限らず、仕事に対する考え方や向き合い方は人それぞれです。そこに正解も不正解もなく、それぞれの考え方は尊重されてよいはずです。これは(2)の問題(=『縁の下の力持ち』はやる気がないのか)に関連すると思います。
仕事には貴賤などありません。あらゆる仕事は誰かの役に立っており、貴い存在です。『気楽に働きたい』という願いが、仕事はいい加減でもよいという意味ならば、やる気がないと見なされても仕方ありません。しかし、ガツガツと出世を目指すのではなく、与えられた職務はしっかりとこなすので高い給与がなくても相応の待遇で構わない、という意味であれば、決してやる気がないわけではないはずです。そんな選択肢も尊重されてよいのではないでしょうか」

(福田和郎)

姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中