「大東亜以下メール」で明らかになった学歴フィルター 大丈夫! 入社後は実力勝負、「成果」こそ優先される(城繫幸)

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   マイナビが登録中の学生に送信したメールの一部に「大東亜以下」と書かれていたことが発覚し、波紋を呼んでいる。

   すでに指摘されているように、「大東亜」とはよくある大学のグループ分け呼称の一つで、大東文化大学、東海大学、亜細亜大学などの含まれるグループだ。それ以下と以上で、なんらかの線引きが行われていたことは間違いないだろう。

   とはいえ、学歴フィルターなんて何十年も前からふつうに存在するもので、今さら驚くような話でもない。

   ただ、SNSなどを見ているといくつか誤解もあるようなので、簡単に論点をまとめておこう。

  • 東大生が選ぶ就職先の人気上位は外資系企業ばかり……(写真は、東京大学)
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学歴フィルターはあくまでも採用の効率化が目的

   採用人数に対して10倍以上の応募のある人気企業であれば、必ずなにがしかの学歴フィルターは使っているはずだ。

   そうしないと採用活動が非効率となり、本当に優秀な人材を必要な数だけ確保することが困難となるためだ。

   たとえば、早慶上智青学以上は囲い込みも兼ねて優先的に選考日程を組み、それ以外は後日に回す。東大生はエントリーが後であっても面接に追加する......etc

   というようなことは、大手企業ならどこでもやっている話だろう。

   ただし、これは学生にとってもメリットのある話だ。最初からほとんど内定の芽がないのに、会社説明会から選考過程までフルで付き合わされても迷惑なだけだろう。

   また、学歴フィルターのよくある誤解の一つに「入社後もその影響が残る」というものがある。

   学歴フィルターは大手企業ならどこでも存在するものではあるが、筆者の知る限り、入社後もそれが影響力を持つという会社は存在しない。

   入社後は完全に実力勝負が基本であり、学歴を成果より優先するような余裕のある会社は(少なくとも21世紀の現在は)存在しないはずだ。

過渡期を迎えている学歴フィルター

   最後に、学歴フィルターに関する近年のトレンドを付け加えておきたい。

   ここ数年、採用担当者と話すと、学歴そのものに対する疑問の声を聞く機会が増えたように思う。

   「学歴が役に立たない」という意味ではなく「学歴で応募者を線引きすることにどこまで意味があるのか」ということだ。

   たとえば、東大京大生の就職希望ランキングの最新版では、上位10社のうち外資系企業が6社を占める。「モノづくり」が日本企業のお家芸と言われて久しいが、日本メーカーの最上位は14位の味の素だ。

参考リンク:「6月速報:東大京大23卒就活人気ランキング」(ONE CAREER)

   要するに、「学歴で優遇しようとしても向こうにその気がないんだったら意味がないのではないか」という疑問を、多くの採用担当者が抱いているということだ。 では、どうするか。

「学歴に固執せず、本当に当社で働きたいという熱意のある人材を採るべきではないか。そのために学歴フィルターは緩和し、幅広い人材にチャンスをあたえよう」

という流れが、緩やかだが幅広い業種で起きているというのが筆者の見立てだ。

   これから就活するという人は、「学歴フィルター」という言葉に過度に委縮することなく自信をもって就活に臨んでもらいたい。(城繫幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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