2024年 4月 26日 (金)

「5年間通い放題!」がホントは1年? 「脱毛エステ」のトリックに引っかかる男性が急増中

「永久保証!」
「5年間通い放題!」

   そんなサービス満点の宣伝文句につられ、近年は男性も通う人が増えている脱毛エステサロン。

   しかし、「途中で止めたのに返金なし?」「解約したのに支払いが続くとは!」と、中途解約をめぐるトラブルが絶えない。

   国民生活センターは、「脱毛エステの中途解約・清算トラブルに注意!」という報告書を2021年12月23日に発表。警鐘を鳴らしている。

  • 脱毛サロンのキャッチコピーには十分気をつけよう(写真はイメージ)
    脱毛サロンのキャッチコピーには十分気をつけよう(写真はイメージ)
  • 脱毛サロンのキャッチコピーには十分気をつけよう(写真はイメージ)

「永久保証」を1回でやめたのに高額の解約料!

   国民生活センターによると、脱毛エステをめぐるトラブル相談は毎年3000件近くに達している。近年は、女性だけでなく、男性でもひげや脚、そして下半身のデリケートゾーンの脱毛を希望する人が多くなり、2021年(11末現在)はトラブル相談の23%を男性が占めるありさまた。

   こんな事例のトラブルが多い。

【事例1】永久保証をうたう脱毛を40万円で契約し1回施術後、解約したら10万円請求された
インターネットで評判の良かった脱毛サロンに出向いた。「40万円支払えば永久に脱毛が受けられる。これ以上お金はかからない」と説明され、高額だが一生この値段で受けられるのであればと思い、ローンを組み契約した。1回目の施術を受け、痛みがあることを伝えたら「これ以上出力を抑えると効果がなくなるので我慢して」と言われた。
施術は3か月に1度しか受けられず、これ以上続けられないと思い解約を申し出ると、1回の施術代8万円と違約金2万円で合計10万円の解約料を請求された。契約書をみると「期間は1年間、施術は5回までが有償、6回目以降は無償」との記載があった。1回しか施術を受けていないのに解約料が高額で納得できない。(2021年3月、20歳代女性)

【事例2】施術有効期間が3年間と言われ契約したが、中途解約ができる期間は1年だった
「6か月で卒業」とうたう脱毛エステのホームページを見て店舗に行った。3年間で30回のコースを勧められ、高額だったので断ったが、「この値段は今日だけ」「半年~1年あればキレイになる」と引きとめられ、36回払いの個別クレジットを組み総額60万円の契約をした。6か月で10回通ったが効果を感じず、解約したいと申し出ると、「今解約しても約16万円支払ってもらう」と言われいったん保留にした。
その後1度も施術を受けず1年が過ぎ、もう一度中途解約を申出たら「1年間の契約期間を過ぎているので、中途解約しても返金はない」と言われた。契約書をよく見たら、確かに契約期間は1年間と書かれていたが、一方で「施術有効期間は3年間」と手書きで書かれており、私は3年間中途解約も可能な契約だと思っていた。施術を受けた分だけ支払って解約したい。(2021年6月、20歳代女性)

【事例3】「3年間通い放題コース」を契約し中途解約すると、有償部分は1回のみと返金を断られた
インターネットで男性向け脱毛エステを調べ、無償カウンセリングを受けに店に出向いた。「カウンセリング当日に限り契約できる特別なコース。脚とVIO (編集部注:下半身のデリケートゾーン)のコースでそれぞれ3年間通い放題(最大18回)で脱毛できる」と勧められ、合計30万円の契約をした。これまで脚とVIOそれぞれのコースを2回消化したが、毛包炎を起こしたこと、コロナ禍で支払いに不安を感じたことから中途解約を申し出た。
すると「中途解約はできない。初回の1回が有償で残りの最大17回の施術は無償である。すでに初回は施術済みなので返金もない」と言われた。契約書には1回当たりの単価の記載はなく、特記事項として「期間は36か月、中途解約不可」と書かれていた。私の契約は中途解約し返金を求められないのか。(2021年5月、 20歳代男性)

お客にあえて誤解させる誇大広告のトリック

【事例4】解約して初めて「18回ほどで効果が出る施術だが、返金対象は8回まで」とわかった
未成年の娘のために脱毛エステを契約しようと2人で出向き、カウンセリングを受けた。「今だと5年間全身通い放題がお得です」「自宅で使える約10万円の脱毛機器もついてきます」と勧められ、全身脱毛通い放題コース25万円、家庭用脱毛機器10万円を個別クレジットで、総額約40万円の契約をした。
娘は1年で7回程施術を受けたが効果がないと言い、中途解約を伝えた。ところが、「18回目くらいから効果が出る。8回以内であれば返金があったが、キャンセル扱いになった回数も含んで8回以上消化しているため、契約残額はすべて支払ってもらう」と言われた。そのような説明はなかったので納得いかない。(2021年5月、30歳代女性)

   こうしたトラブルは、なぜ起こるのだろうか。

   エステティック業者がうたう「永久脱毛」「期間・回数無制限」「○年間通い放題」「○年保証」などという宣伝コピーや、カウンセリング時のお客に対する説明が非常に紛らわしく、消費者側に誤解を与えているからだ=下図「契約内容を誤認させるやりとり」参照

   いや、あえて誤解を与える表現でお客を釣っている面があり、国民生活センターでは、日本全身美容協会、日本エステティック振興協議会、日本エステティック機構の業界3団体に「トラブル防止対策」の徹底を強く要望している。

店のスタッフとお客の契約内容を誤認させるやりとり(国民生活センターの作成)
店のスタッフとお客の契約内容を誤認させるやりとり(国民生活センターの作成)

   では、どこが誤解を与える内容なのか――。じつは、「期間・回数無制限」や「○年間通い放題」など、長期間にわたって施術を受けられるコースには、特定商取引法に基づく契約上、「有償で施術を受けられる期間・回数」(有償提供サービス)と「無償で施術を受けられる期間・回数」(無償提供サービス)とに分かれている。

   契約時から一定の期間・回数を「有償提供サービス」とし、それ以降の「無償提供サービス」については、 いわゆる「アフターサービス」としているところが多い。

   そして、「有償提供サービス」の期間中には中途解約は可能で、一定の割合で返金をするが、「無償提供サービス」期間については中途解約を受け付けないし、返金もしないところが大半だ。なぜなら業者からすると「アフターサービス」、、つまり、業者が善意でやっており、特にやらなくてはいけない義務がないからだ=参考1「解約の申し出がきく期間」参照

参考1:解約の申し出が可能な期間と不可能な期間(国民生活センターの作成)
参考1:解約の申し出が可能な期間と不可能な期間(国民生活センターの作成)

複雑すぎる脱毛コースの提案に気をつけよう

   ところが、お客のほうはそうは思っていない。たとえば「5年間保証」「通い放題」「回数無制限」というキャッチコピーから「契約が5年間続いており、いつでも途中で解約でき、その分のお金が戻ってくる」と思い込まされている=下図「5年間通い放題」のイメージギャップ

「5年間通い放題」のお客と店のイメージギャップ(国民生活センターの作成)
「5年間通い放題」のお客と店のイメージギャップ(国民生活センターの作成)

   しかし、契約書をよく読むと、有償提供サービスは1年だけで、4年間がアフターサービスだったとわかり、地団太を踏むことになる。この両者のイメージギャップの違いからトラブルが起こるわけだ。

   国民生活センターでは、こうアドバイスをしている。

「一般的に脱毛エステは長期間にわたってサービス提供を受ける契約になります。脱毛機器が自分の肌に合っていない、事情が変わって通えなくなったなど途中で解約せざるを得ない状況になるかもしれません。解約条件をよく確認して慎重に検討しましょう。長期間の契約が心配なときは都度払い(編集部注:1回分ごとに支払うシステム)ができるコースやエステ店を選択しましょう。
たとえば『5年間通い放題』コースを勧められても『5年間』という数字をうのみにしないで、必ず有償の期間・回数を契約書面で読み、いつまで、何回まで通ったら中途解約ができなくなるのか確認しましょう。エステ店によっては脱毛コースが多数存在し、部位ごとに複数のコースを組み合わせるなど、複雑な契約内容を提案するケースも少なくありません。『今日だけ割引』などと急かされても安易に契約することは絶対いけません」

(福田和郎)

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