2024年 4月 25日 (木)

「生乳」の大量廃棄を阻止せよ! コンビニ、スーパーが消費支援で応援団

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   牛乳などの原料となる生乳が年末年始に大量廃棄される恐れが出ており、小売各社や食品メーカーが消費を促そうと一斉に動き出している。

   新型コロナウイルスの感染拡大の影響で外食需要が落ち込むなか、冬休みに入り学校給食がなくなるためで、「応援しよう」という消費者の声も広がりつつある。

  • コンビニ、スーパーが「生乳」消費応援で結束!
    コンビニ、スーパーが「生乳」消費応援で結束!
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約5000トン、過去最高規模の生乳を廃棄の恐れ

   年末年始は通常、飲食店などが休業するため牛乳の需要が1年で最も少なく、乳業メーカーなどはこの時期、日持ちのするバターや脱脂粉乳など乳製品の加工を増やして対応してきた。

   しかし、2021~22年の年末年始はコロナ禍で飲食店やホテルなどの牛乳の需要は激減。一方、かつて深刻化したバター不足などが起きないよう、酪農関係者らはここ数年、牛の頭数を増やすなどして、生乳の生産増に努めてきた。この結果、この年末年始は乳製品に加工するだけでは処理しきれない生乳が大量に出てしまう状況だ。

   乳業メーカーや酪農家などで作る業界団体「Jミルク」(東京都千代田区)によれば、この年末年始の生乳の生産量は約7万5000トンに対し、処理できるのは約7万トンで、約5000トンと過去最高規模の生乳を廃棄せざるを得ない可能性があるという(21年10月時点情報に基づく推計)。

   生乳の供給量を抑えればいいが、牛は搾乳を止めると乳房炎という病気になるため、毎日搾乳する必要がある。牛の頭数を一度減らしてしまえば再び増やすまでには何年もかかり、コロナ禍から回復した時に再びバター不足などに陥る危険につながる。さらにJミルクによれば「乳牛は酪農家にとって家族同然で、単純に処分すればいいという話ではない」という。

   そこでJミルクをはじめ、農林水産省などが牛乳の消費拡大を呼びかけ、小売業なども応じる動きをみせている。

JA全農、牛乳をたっぷりの新商品を開発

   コンビニエンス業界では、ローソンが2021年の大みそかと22年の元日の2日間、ホットミルクを通常の半額の65円(税込み)で販売する計画で、「ミルク缶マークを掲げる店として応援したい」としている。ファミリーマートは店内で販売するカフェラテの購入者に30円引きのクーポンを発行し、セブン―イレブンも対象の牛乳を20円値下げするなどの支援をする。

   大手スーパーではイトーヨーカ堂が牛乳で作る家庭用デザート「フルーチェ」(ハウス食品)を対象の牛乳と一緒に買うと30円割引く取り組みを始めた。

   JA全農は牛乳をたっぷり使った新商品を開発した。ひと缶275グラムのうち国産牛乳を50%以上使ったボトル缶入りのミルクティーで、牛乳の濃さは一般的なミルクティーの5倍。12月から販売を始め、SNS上で「牛乳好きにはたまらん」などの反響があり、2週間足らずで10万本以上を販売し、年末年始にはさらに12万本を製造する予定という。24本入り3900円(税・送料込み)で、全農酪農部のオンラインショップ「酪市酪座」で購入できる(年末に頼むと新年1月7日以降配送)。

   一方、乳業メーカー各社はフル稼働でチーズなど乳製品の製造に当たっているほか、明治や雪印メグミルクなどはホームページ上で牛乳を使った「ミルク鍋」などさまざまな料理のレシピを紹介。消費を呼びかける動画を流すなどの取り組みもしている。

   各地域でもさまざまな活動が展開されており、北陸酪農業協同組合連合会はフードバンクや子ども食堂などへの県産牛乳の無償提供を始めた。

   こうした企業などの取り組みを好意的に受け止める消費者は多く、「年末年始の料理に取り入れようと思う」(東京都内の40代女性)などの声もあり、支援の輪がさらに広がる可能性がある。(ジャーナリスト 済田経夫)

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