2022年 5月 26日 (木)

「お荷物」新幹線にマイッタ!? コロナ禍だけではないJR九州が窓口業務を削減するワケ

機能が進化した八角形ベゼル型"G-SHOCK"

   コロナ禍で生じたさまざまな行動の変化は、感染が収束しても以前のようには戻りそうにない――。こうした見方がビジネスの世界では主流になってきた。

   人の移動を前提とするため、行動の変化による影響が大きい鉄道業の中でも、JR九州は2022年3月から駅の窓口業務を大幅に縮小することを決めた。

  • JR九州は切符の窓口販売を48駅で廃止する(写真は、自動改札口のイメージ)
    JR九州は切符の窓口販売を48駅で廃止する(写真は、自動改札口のイメージ)
  • JR九州は切符の窓口販売を48駅で廃止する(写真は、自動改札口のイメージ)

全駅の6割が無人駅

   切符の窓口販売を48駅で廃止する。現在、JR九州の全568駅のうち窓口で切符を販売しているのは261駅で、その約2割に相当する。県庁所在地の中心的な駅では、窓口の営業時間を短縮する。たとえば博多駅(福岡市)では、現在の5時30分~23時を、3時間半短くして7時~21時とする。このほか29駅が新たに無人駅となり、無人駅は全駅の6割近くを占めることになる。

   窓口業務縮小の代わりに、指定席券を購入したり、クレジットカードによる支払いをしたりできる「指定席券売機」の導入駅を増やす。窓口業務縮小による収益改善は年間で数億円と見込んでおり、2021年3月期の連結売上高が3000億円程度のJR九州にとってはわずかな金額だ。それでも断行せざるをえないのは、JR九州特有の事情がある。

   JR旅客6社のうち、先行して株式を上場した本州3社(JR東日本、JR東海、JR西日本)は、首都圏や関西圏といった人口が多い大都市圏を抱えたり、ドル箱の東海道新幹線を運行していたりする。

   しかし、JR九州は管内の人口が本州3社と比べて少なく、1987年の国鉄分割民営化の時点から条件の悪さは明白だった。そこで生き残り策として託したのは、観光名所が点在する九州に外から人を呼び込むことだった。

   2013年に運行を開始した寝台列車「ななつ星in九州」は、豪華な列車を投入し、ツアー形式で九州各地の観光地を数日かけて巡り、高額の料金設定ながら現在も予約を取りにくいほどの人気を持続している。

   観光を重視するJR九州の姿勢を示す象徴ではあるが、それだけでは全体を支えきれない。コロナ禍の直前まで高い伸びを示していた訪日外国人(インバウンド)が途切れ、日本人の旅行も度重なる感染の波で大幅に減った。注力していた商業施設の収益も悪化して、2021年3月期の連結最終損益は189億円の赤字に落ち込み、続く9月中間決算も黒字化できなかった。

西九州新幹線の前途多難......

コロナ禍でインバウンド需要は途切れたまま......
コロナ禍でインバウンド需要は途切れたまま......

   今回のサービス削減を招いたのはコロナ禍だけではない。管内の人口が少ないうえに、少子高齢化も速いペースで進んでおり、乗客数の先細りは必至だ。

   加えて、2022年秋には西九州新幹線(長崎ルート)が武雄温泉駅-長崎駅で暫定開業するが、佐賀県内の大半の区間は地元自治体の反対で着工のめどが付いておらず、新幹線網と切り離された状態が当面続く。そもそも需要がそれほど見込めない区間であり、福岡方面から向かうには途中で在来線に乗り換える必要があるため、開業効果さえおぼつかない。

   こうしたなか、今回の窓口業務の縮小でも効果はわずかで、新たに「お荷物」の新幹線も抱えるようになり、自助努力には限界がある。地域交通機関であり、上場企業でもあるJR九州。今後も難しい経営を迫られ続けそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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