2022年 10月 7日 (金)

会議で女性に「わきまえる」ことを求めてしまうお歴々の男性に、ぜひオススメしたい! それは......【vol.8】(川上敬太郎)

来店不要なのでコロナ禍でも安心!顧客満足度1位のサービスとは?

   兼業主夫となって初めて買い物した日。スーパーマーケットに入店して、すぐ違和感に襲われました。

   そのスーパーに行くのは初めてではありませんが、これまでの買い物はいつも休日。平日昼間に出向いてみると、そこは女性ばかり「主婦」一色の世界が広がっていました。

  • 男性ひとりで、平日昼間のスーパーマーケットに行ってみると......
    男性ひとりで、平日昼間のスーパーマーケットに行ってみると......
  • 男性ひとりで、平日昼間のスーパーマーケットに行ってみると......

男性講師ばかりの経営セミナーに違和感......

   長年会社勤めしてきたので、平日昼間を過ごすのは常にオフィス街。自社が入居するビルから一歩外に出ると、仕事スタイルの男女が颯爽と行き交う光景が目に入りました。

   その光景に慣れきっていただけに、女性ばかりの空間に足を踏み入れた時のポツンとした心細さたるや。「ど、どうも、失礼しますっ......」と、うつむきながら小さく独り言ちてしまいました。

   そんな買い物デビューから数日を経たある日。野菜が安いと聞いた別のスーパーに出向いた際には、店が近づくにつれて心臓がバクバクと音を立てました。

「なんだ、あの男? 主婦の領域荒らしやがって。とっとと帰れ!」

   店に入った瞬間、そんなふうにどやされる風景が頭をよぎり、終始ビクビクしながら買い物を終え、岐路についた時のすがすがしさときたら。まるで、初めての商談先で無事にプレゼンを終えた後に似た爽快感を覚えました。

   しかし、毎日スーパーに通っていると、だんだん慣れてくるものです。そして通う中でわかったこと。主婦のみなさんは、帰れ! などと言ったりしません。「うちらのナワバリに男が入ってきやがって」などと思う理由もないし、みなさん頭の中では「きょうの夕飯、何にしようか」とか、「そういえば醤油切らしてたから買っとかないと」とか、考えながら買い物をしています。

   そんなこんなで主夫生活にも慣れてきたころ、愛読している新聞を開いてギョッとしました。

「男の人しかいない・・・。」

   経営者セミナーの案内がバンっと全面に出ていましたが、そこにズラズラっと並ぶ講師陣たちの顔写真は貫禄ある男性ばかり。他のページを見ても、女性の姿もチラホラと見かけはするものの、ほとんど男性ではありませんか。平日昼間のスーパーとは、完全に真逆の光景です。

   しかし、考えてみると、新聞紙面が男性の顔写真ばかりというのは以前から見慣れていた光景です。つまり、変わったのは紙面側ではなく、私の受け取り方だということになります。スーパーでの心細い体験が、私に新しい視点を与えてくれたようです。

主婦のみなさんは主夫に「わきまえろ」とは言わない!

「そういや、閣僚会議で政治家が居並ぶ姿や、経営者が集うパーティーも男性ばかりだな」

   そんなことを思っていた時、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の当時の男性会長が、女性が多い会議は時間がかかると述べたニュースがふと頭をよぎりました。「私どもの委員会の女性は、わきまえておられる」という発言も物議を醸しました。

「こわもて男性だらけの会議に出席するだけでも緊張するだろうに、『わきまえておられる』なんて言われたら、女性はさぞかし発言しづらいはず......」

   それに対し、行きつけのスーパーで買い物をしている主婦のみなさんは、私を煙たがる様子などありません。店員さんたちは、私に何かを「わきまえる」よう求めることもなく、「いらっしゃいませっ」と毎日笑顔で迎え入れてくれます。

   それどころか、ある日レジで会計を終えると、店員さんから声をかけられました。

「『いつも』ありがとうございます」

   えっ、「いつも」来てるの知ってました? まあ、確かに目立ちますよね、私。こっぱずかしいけど、うれしいです。女性だらけの空間に、当初あれだけ感じていた心細さなどどこへやら。一気に吹き飛んでいってしまいました。

   もちろん、店員さんは私が男性だから声をかけたわけではなく、何度も来店しているお客にはそう言ってるのでしょう。つまり、他のお客さんと同じように、私に対しても声をかけてくれたわけです。自分の存在を受け入れてもらっている感じがしました。

   それに対し、会議で「わきまえる」ことを女性に求めてしまうお歴々の男性たるや......。しばらくのあいだ、平日昼間のスーパーで買い物してみてはいかがでしょう? 自分だけが異質な存在である空間が、如何に心細いものか肌でわかると思いますよ。

   女性たちは会議室の中で、その何倍ものプレッシャーを感じてきたはずです。そして、改めて考えてみてください。果たして、本当に「わきまえる」べきは誰なのかを。(川上敬太郎)

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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