米国の金融の引き締め懸念から米国株が大きく下落。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性という地政学リスクが、株式と為替相場を翻弄している。東京株式市場は先週(2022年1月24日週)に日経平均株価が一時、2万6000円台に突入。ドル円相場も乱高下するなど、ボラティリティ(価格変動)の高い相場が続きそうだ。どうなる!?今週の株式・為替マーケット!東京株式市場 企業決算が本格化はじまる日経平均株価予想レンジ:2万6300円~2万7200円2022年1月28日(金) 終値 2万6717円34銭今週の東京株式市場の日経平均株価は、戻りを試す展開か。前週の日経平均株価は、4週連続の大幅続落となった。米国の金融政策の先行き、金融の引き締め懸念から米国株が大きく下落し、日経平均株価も一時、2万6100円台まで急落。2020年11月以来、約1年2か月ぶりの安値を付ける局面があった。今週の日経平均株価は、目先は戻りを試す展開となりそうだ。FOMC(米公開市場委員会)という大きなイベントを通過し、具体的な金融政策の変更が出てくる可能性が高い3月のFOMCまでは時間があること、米国の金融引き締め懸念という目先の悪材料は織り込んだこと、下げ幅が大きかったことで自律反発が期待できることなどから、日経平均株価はいったん戻りを試す動きとなりそうだ。ただ、米国の金融引き締めに関しては、まだ不透明な部分が多く、関連情報の内容次第では、相場は再び下値を試す可能性もあり、注意が必要だ。また、今週から企業決算が徐々に本格化し始めるため、個別株の物色の動きが強まる可能性が高い。東京外国為替市場 ドル上値は重くなりそうドル・円予想レンジ:1ドル=114円00銭~116円00銭2022年1月28日(金)終値115円24銭今週の外国為替市場でドル円相場は、もみ合いか。前週のドル円相場は、ドルが上昇した。米国株の下落やロシアによるウクライナ侵攻の可能性という地政学リスクが嫌気され、ドルは1ドル=113円台半ばまで下落したが、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果、米国の金融引き締めの方向性が明らかになり、米国の長期金利の上昇も支援材料となって、ドルは一時1ドル=115円台半ばまで上昇した。今週のドル円相場は、ドルが高値圏でのもみ合いとなりそうだ。米国の金融引き締めという材料は、目先、相場に織り込まれて長期金利の上昇も止まっている。加えて、ウクライナ問題の地政学リスクが残っていることで、ドルの上値は重くなりそうだ。ただ、米国の金融引き締めによる金利上昇圧力が、ドルの下値を支えており、ドルが大きく下落することは考えにくい。このため、米国の株式市場の動向や経済指標の結果などを材料としたもみ合い相場となりそうだ。経済指標は、国内では31日に12月の鉱工業生産、1月の消費動向調査、2月1日に12月の完全失業率と有効求人倍率などが予定されている。海外では、2月1日に米国の1月のISM製造業景況指数、2日に米国の1月のADP雇用統計、3日にECB(欧州中央銀行)定例理事会、米国の1月のISM非製造業景況指数、4日に米国の1月の雇用統計などが予定されている。(鷲尾香一)
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